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第1章

学園祭4

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「さて、アリアローズ嬢この薬は本当に君が作ったのかな?あの力で?」

「あの力?あっ、そうです!!回復魔法使いました」

「おい!!あー本当無用心すぎるぞ!」

あ、そうだった。言ったらいけないんでした。あははーって笑って誤魔化しとこうかな…

「回復魔法ですって?まさかそんな事ある訳ないじゃないですか!」

「そのまさかなんだよ。ニースその薬かせ」

カインザークはニースベルから小瓶を受け取るとゴクンと躊躇いもなく一口で飲み干した。

「カインザーク殿下!!」

パァーッと一瞬緑の光に包まれ何事もなく元に戻った。

「殿下!!お体は大丈夫ですか!!毒見もせず飲んだら行けません!!」

「ああすまない。だがアリアローズ嬢の薬なら大丈夫と思ってな。それに…この薬はやばいな」

「えっ!?やばいって何がですが!私も飲みましたけど失敗してなかったですよ!」

「カインどうやばいの?」

ニースベルに聞かれて空になってない瓶をニースベルにも飲む様に促した。

ゴクンとニースベルも一口で飲むと同じように一瞬だけ緑の光に包まれる。

「本当ですね、確かにこれはまずいですね」

だから何がですか!!

「すみません。私にも判る様におっしゃって下さいませんか」

「そうですね、アリアローズ嬢これランティスにも作れますか?」

はい、と答え回復薬を精製する。

「どうぞ」

ランティスは薬を不審がりながらも一口飲む。

「な、何ですかこれは!!普通の回復薬ですらここまで回復効果は得られませんよ!貴方これは作ったらいけません!!」

ええええ!!

「あの、、、実はですね、これ希釈はもっと薄くしてるんですが、、レネティシス領の栄養剤として領地内だけで通常販売してるんですけど…我が家の資金源として…」

父も最初反対しましたけど、資金繰りの為最大限に薄くして売ることを納得したんだよね。って、わぁー3人の目が怖いです。

「アリアローズ嬢、お前国の回復薬飲んだことあるか?国のお偉いさんが頑張って作ってもこの回復薬の効果の半分しか得られないんだぞ。それを簡単に売ってるとか…レネティシス領は一体どうなってるんだ」

「そうですね、これはここだけの話にしましょう」

ニースベルの言葉にランティスも深く頷く。

「とは言え、これのお陰で体力も回復しました。正直疲れてないと言ったら嘘になりますからね。ありがとうございます」

「いえ、それなら良かったです。お二人とも顔色も良くなりましたしもう大丈夫そうですね。」

自慢ではないがあの回復薬は本当に効く。アリアローズ自ら治験しているので間違いない。まだ学園祭は1日目ですしね、今から疲労困憊では最後まで楽しめない。まあ生徒会が楽しんでいるかと言われれば…なんか違う気もするが

「そう言えば、さっきカインが疲れてるように見えたと言いましたよね?」

「はい、ニースベル殿下が質問している時もボーってしてましたし何かおかしかったので疲れているのかもと」

そう、あの時のカインザーク殿下は少し変だった。一点を見つめてぼーっとしている様な心ここにあらずな雰囲気だった。

「あはは、そう言うことですか。それは疲れているとは少し違うかもしれませんね。ねっカイン?」

ニースベルは意味深げに笑いながらカインザークを見る。

「う、うるさい。こっち見るな!」

プイッと不貞腐れた様に顔を背けるカインザークはいつもより可愛らしく見える。

「と、言うことなので邪魔者は消えますね。さあランティス行きましょう。後ほど呼びにきますね、では後はごゆっくり」

そう言って2人は行ってしまった。






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