11 / 83
第1章
令嬢は必死です
しおりを挟む
その後の学園はなんとも殺気だっていたような気がした、特に女子生徒だけだが。
教師や生徒会へのアピール、家格のアピール、いかに優れた令嬢なのかやらやら。
特に乙女決定戦に興味のないアリアローズからしたら皆んな頑張ってるなぁと思うくらいだった。
それにいつもならティータイムにちゃっかり参加しているカインザーク殿下もこの時ばかりは御令嬢に捕まり対応している為とても平和なティータイムをセリーヌと過ごしている。
それにしても
「本当皆さん必死ですね」
「それはそうよ、爵位の低い方々からしたら殿下とお近づきになれる絶好のチャンスなのですから。貴方くらいよ、興味のない男爵令嬢なんて。それに…」
「それに?」
「聖ランドネルに選ばれることが出来れば家名をあげるチャンスですわ」
何!?
それは盲点でした!家名をあげれるのなら全力でやらないと!!
「セリーヌ本当に家名をあげれるのね!?」
「ええ、殿下の妃候補にもなれますし溢れたとしても高爵位の方から縁談も頂けるそうですよ」
含み気に笑うセリーヌを前にアリアローズは野心で心を躍らせていた。
そうよね、選出は決まっているのだし優勝しないでも人目にはつくのよね。
それならいいわやってやる!!そして未来の高待遇旦那様を見つけて見せる!!
メラメラと闘志を燃やすアリアローズを穏やかな笑顔で眺めるセリーヌだった。
「貴方!この様な場所でなんてはしたないのかしら!!その汚らしい物を私の前に持ち込まないで!」
また始まった。
パンドラ乙女の悪役令嬢は今日も絶好調の様だ。そしてこのスチルは見た事がある。
リリアンヌが手作りクッキーをティータイムに持ち込んでいるのを目障りと言ってリザベラが虐めるのよね。
でもそのクッキーは実はニースベル殿下から頂いたクッキーで結局リザベラの方がニースベル殿下からの好感度を下げる事になるんだったかしら。
まぁ、私から言わせれば婚約者以外の女性にクッキーをあげている事自体どうかと思うが其処は乙女ゲーム。
「また始まりましたわね」
何も知らないセリーヌはティーカップに口をつけると横目で見ながら呆れた様に話す。
こう見えて侯爵令嬢であるセリーヌは余り権力に興味がない。誰が誰と関わろうが自分の家に関係が無ければ一切気にしないのだ。それがまたアリアローズには嬉しい所だった、でなければ男爵令嬢とこうしてティータイムを過ごしたり対等に話している事すら無かっただろう。
「あっ、もうそろそろ終わりそうですよ。ほらニースベル殿下が終息させてます」
丁度クッキーの件を話している所かな、リザベラ嬢が青い顔をして頭を下げているのが見える。
ふむ、やっぱり好感度はニースベル殿下が一番高いようね。でも他の攻略者の方々も周りにいるからいい感じに逆ハールートに進んでいるのかしら?
まっ、私には関係ないからね。
テーブルに向き直しお菓子を口にしようとするとスッっとお菓子がテーブルから消えた。
あれ?と思いお菓子を追うとそこにはリリアンヌがにっこり笑いながらお皿を持っていた。
「ご機嫌ようアリアローズ様、お席ご一緒しても?」
「リリアンヌ様ご機嫌よう。えっと…」
チラッとセリーヌを見てどうしようかと悩んだが、リリアンヌはカタンと皿をテーブルに置きセリーヌが居るのを素知らぬ顔で横に着席してきた。
「アリアローズ様以前話した事覚えてらっしゃいますか?あれからカインザーク殿下とお変わりないようですが?」
「カインザーク殿下とですか…そうですね、確かに変わりありませんね」
余りに唐突だったので少し冗談混じりに答えてみる。
「そうですか、なら余りカインザーク殿下に思わせぶりな態度はお辞めになって下さい。カインザーク殿下も困っておりましたわ」
ん?思わせぶりな態度ですか?それは…
「口を挟む様ですけど、殿下が困っているのなら来なければ良いだけの話し。リリアンヌ様がお伝えする様な事ではありませんわ」
沈黙を保っていたセリーヌが漸く口を開いたかと思ったら思いっきり牽制だった。
そうよね、セリーヌは知らないけれどもリリアンヌからしたらカインザーク殿下が居なければ逆ハールートには進めないし結構重要な所よね。
「リリアンヌ様、私とカインザーク殿下はお気にする様な関係ではございません。以前もお話しましたが入学当初に少し殿下のお怪我を治療した事に御恩を感じているのかと思います。殿下にももう気にしないで頂ければとお伝え下さい」
「ふーん、そうですか、分かりました殿下にはその様にお伝え致します。では私は失礼しますね」
何だか腑に落ちない様子だったがリリアンヌは席を立ちその場を後にした。
その後セリーヌは怒り奮闘だったがリリアンヌからしたら重要な確認だったし、肩を持つ訳ではないが一応セリーヌをなだめてその日は宿舎に帰宅した。
教師や生徒会へのアピール、家格のアピール、いかに優れた令嬢なのかやらやら。
特に乙女決定戦に興味のないアリアローズからしたら皆んな頑張ってるなぁと思うくらいだった。
それにいつもならティータイムにちゃっかり参加しているカインザーク殿下もこの時ばかりは御令嬢に捕まり対応している為とても平和なティータイムをセリーヌと過ごしている。
それにしても
「本当皆さん必死ですね」
「それはそうよ、爵位の低い方々からしたら殿下とお近づきになれる絶好のチャンスなのですから。貴方くらいよ、興味のない男爵令嬢なんて。それに…」
「それに?」
「聖ランドネルに選ばれることが出来れば家名をあげるチャンスですわ」
何!?
それは盲点でした!家名をあげれるのなら全力でやらないと!!
「セリーヌ本当に家名をあげれるのね!?」
「ええ、殿下の妃候補にもなれますし溢れたとしても高爵位の方から縁談も頂けるそうですよ」
含み気に笑うセリーヌを前にアリアローズは野心で心を躍らせていた。
そうよね、選出は決まっているのだし優勝しないでも人目にはつくのよね。
それならいいわやってやる!!そして未来の高待遇旦那様を見つけて見せる!!
メラメラと闘志を燃やすアリアローズを穏やかな笑顔で眺めるセリーヌだった。
「貴方!この様な場所でなんてはしたないのかしら!!その汚らしい物を私の前に持ち込まないで!」
また始まった。
パンドラ乙女の悪役令嬢は今日も絶好調の様だ。そしてこのスチルは見た事がある。
リリアンヌが手作りクッキーをティータイムに持ち込んでいるのを目障りと言ってリザベラが虐めるのよね。
でもそのクッキーは実はニースベル殿下から頂いたクッキーで結局リザベラの方がニースベル殿下からの好感度を下げる事になるんだったかしら。
まぁ、私から言わせれば婚約者以外の女性にクッキーをあげている事自体どうかと思うが其処は乙女ゲーム。
「また始まりましたわね」
何も知らないセリーヌはティーカップに口をつけると横目で見ながら呆れた様に話す。
こう見えて侯爵令嬢であるセリーヌは余り権力に興味がない。誰が誰と関わろうが自分の家に関係が無ければ一切気にしないのだ。それがまたアリアローズには嬉しい所だった、でなければ男爵令嬢とこうしてティータイムを過ごしたり対等に話している事すら無かっただろう。
「あっ、もうそろそろ終わりそうですよ。ほらニースベル殿下が終息させてます」
丁度クッキーの件を話している所かな、リザベラ嬢が青い顔をして頭を下げているのが見える。
ふむ、やっぱり好感度はニースベル殿下が一番高いようね。でも他の攻略者の方々も周りにいるからいい感じに逆ハールートに進んでいるのかしら?
まっ、私には関係ないからね。
テーブルに向き直しお菓子を口にしようとするとスッっとお菓子がテーブルから消えた。
あれ?と思いお菓子を追うとそこにはリリアンヌがにっこり笑いながらお皿を持っていた。
「ご機嫌ようアリアローズ様、お席ご一緒しても?」
「リリアンヌ様ご機嫌よう。えっと…」
チラッとセリーヌを見てどうしようかと悩んだが、リリアンヌはカタンと皿をテーブルに置きセリーヌが居るのを素知らぬ顔で横に着席してきた。
「アリアローズ様以前話した事覚えてらっしゃいますか?あれからカインザーク殿下とお変わりないようですが?」
「カインザーク殿下とですか…そうですね、確かに変わりありませんね」
余りに唐突だったので少し冗談混じりに答えてみる。
「そうですか、なら余りカインザーク殿下に思わせぶりな態度はお辞めになって下さい。カインザーク殿下も困っておりましたわ」
ん?思わせぶりな態度ですか?それは…
「口を挟む様ですけど、殿下が困っているのなら来なければ良いだけの話し。リリアンヌ様がお伝えする様な事ではありませんわ」
沈黙を保っていたセリーヌが漸く口を開いたかと思ったら思いっきり牽制だった。
そうよね、セリーヌは知らないけれどもリリアンヌからしたらカインザーク殿下が居なければ逆ハールートには進めないし結構重要な所よね。
「リリアンヌ様、私とカインザーク殿下はお気にする様な関係ではございません。以前もお話しましたが入学当初に少し殿下のお怪我を治療した事に御恩を感じているのかと思います。殿下にももう気にしないで頂ければとお伝え下さい」
「ふーん、そうですか、分かりました殿下にはその様にお伝え致します。では私は失礼しますね」
何だか腑に落ちない様子だったがリリアンヌは席を立ちその場を後にした。
その後セリーヌは怒り奮闘だったがリリアンヌからしたら重要な確認だったし、肩を持つ訳ではないが一応セリーヌをなだめてその日は宿舎に帰宅した。
0
お気に入りに追加
285
あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。

前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!
鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……!
前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。
正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。
そして、気づけば違う世界に転生!
けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ!
私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……?
前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー!
※第15回恋愛大賞にエントリーしてます!
開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです!
よろしくお願いします!!

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる