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第1章
学園初日
しおりを挟むーー2年後ーー
「お父様、お母様行ってきます!!」
待ちに待った学園へ入学の日、お父様とお兄様に心配されてから立派な淑女になる為に日々努力してきた成果をやっと出せる。
「アリア待ちなさい」
何だろお父様真剣な顔をして…
えっ、私の入学そんなに心配なんですか?!
「アリアひとつだけ約束して欲しい。学園へいる間無闇に治癒魔法は使ってはいけないよ。いいね。」
何でだろう?
家では普通に使っているのに?
まぁ、お父様の心配がそれで小さくなるなら…
「はい、分かりました。気をつけます」
そう言うと兄のレイモンドと一緒に馬車に乗る。
ランドネル学園は4年生の初等部と3年生の高等部に別れている。学年は違うが同じ敷地内にいるので何かあれば直ぐに駆けつける!と未だに心配している。
「着きましたよ。行ってらっしゃいませ、レイモンド様、アリアローズ様」
執事のバトラーに見送られいよいよ始まる私の淑女第一歩。
見ててくださいお父様、お兄様!立派に勤め上げ学園で良い評価を頂きますから!
「じゃあ僕はこっちだから先に行くね」
レイモンドがアリアローズに別れを告げて一足先に学園へ向かう。
よし、いざ!!
門を潜るとそこは既に貴族の社交の場という雰囲気が漂っていた。
綺麗な衣装を見せびらかすように着飾り爵位や立場・財力を誇示する人々…
幾ら新学期とは言え豪華すぎませんか?
私この中でやって行けるのかな…
さっきまでの自信は何処へ行ったのか、アリアローズには爵位も財力も誇示出来るものはないし、自分のアピールポイントもない。
そもそも、そんな事をアピールするつもりもないし興味もないので友達すらできるのか不安がよぎった。
ゴーンゴーン
始業を告げる鐘の音が聞こえる。
気がつくと周りにいた人達はゾロゾロと校舎へと入っていく。
大変!初っ端から遅刻なんてやらかしたらお父様やお兄様になんて言われるか。
淑女らしく急いでる素振りを見せないように且つ早く歩く。
フフ、私の淑女特訓が早速役に立つなんて。
特に何をした訳ではないが一通りの淑女に必要な教育は受けさせてもらったつもりだ。
それでもまだ足りないのだろうけど、後は学園で学べばいいと言うことにした。
あれ?
向こうから話し声が聞こえて来る。
もう直ぐ始業の時間なのに…迷子かな?まあ案内出来るほど校舎は知らないけど、一応見に行って見ようかな…
真っ直ぐな廊下を通り過ぎると少し開けた所がありその角を曲がると園庭に出れるようになっていた。
あ、あの人か…あれ?
よく見るとそこには涙を流しながら男性に抱きしめられている様に見える男女の姿があった。
うーん、これはお邪魔だったかも。と体を反転し教室へ戻ろうとした。
ドンっ!!
「っいった!!く無い…」
何かにぶつかって反動で転んだと思ったのに痛くない。
「あっ、わ、すすっすいません。よそ見していて、大丈夫でしたか?!」
アリアローズが当たったのは物ではなく人であり、更にはその人の上に倒れ込んだらしく下敷きにしていた。
「い、いや。こちらこそすまない、よそ見をしていた。御令嬢こそお怪我は?」
うわーこれが本物の紳士と言うやつですね。
それに、人の下敷きになっているのにその気配り。流石貴族の学園!
いや、関心してる場合ではない。
「はい、私こそ前を確認せず申し訳ありません。この通り私は大丈夫です」
「そうですか、良かった。では、これで、、痛っ」
「もしかしてお怪我を?」
うわ、私が下敷きにしてしまったからよね…
どうしよう。でもここで見捨てるわけにはいかない、よね。
「あの、もし良ければ診せて貰えませんか」
「?、あぁ、、」
怪訝そうに見られながらも痛めたところを見せてくれた。少しではあるが足首が赤く腫れてきている。
うーん、これは捻挫かしら?多分折れては無いと思うけど…
でも、万が一もあるし私の所為で怪我したんだもの今後に支障をきたすと良くないよね…
「あの、今からする事は誰にも口外しないでもらえますか。」
そう言うとアリアローズは足首に手を当て治療魔法を唱えた。
「!!!、これは一体!?痛みが消えた…」
「はい、治させて頂きました。もとはと言えば私の不注意ですので。でも、この事は秘密でお願いします。では、私行きますね。ご機嫌よう」
怪我も治したし、深く突っ込まれる前に逃げよう。
あーぁ、早速お父様との約束を破ってしまいました。
でもこれは私の責任だし仕方ありませんよね…
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