173 / 176
第十二章 航空自衛隊 百里基地
13
しおりを挟む
その週末の土曜日。私たち魔法少女四人は例によって茨城県小美玉市にある自衛隊の基地へ向かっていた。ドライバーはいつも通り逢川さん。酒々井町内での興行と何ら変わらないメンツだ。
「ねえねえ聖那! 基地行ったらお兄さんいる?」
国道五一号線で鹿嶋市に入ると同時くらい美鈴さんにそう訊かれた。そう言えば美鈴さんお兄ちゃんのこと気になってたっけ……。ふとそんなことを思い出す。
「いると思うよ。でも……。会えるかは微妙かも。航空ショー出るみたいだから」
「えー! 楽しみにしてたのにー。ま、しゃーないか。……でもすごいね。戦闘機で飛んじゃうなんて」
美鈴さんは表情をコロコロ変えながらそう言うと軽いため息を吐いた。やはり弥生さんの言うとおり美鈴さんはかなり恋多き乙女らしい。
それから車はひたすら真っ直ぐな道を水戸方面に向かって走った。左手に見える鹿島サッカースタジアムを抜け切り通しみたいな道を進んだ。こうして国道を茨城方面に進むのも随分と久しぶりだ。
「弥生ちゃん。もう来週から撮影なんだよね?」
不意に香澄さんが弥生さんにそう尋ねた。弥生さんはそれに「うん」とだけ返すと窓の外に視線を向けた。彼女の視線の先には……。太平洋が広がっている。鹿島灘。成田からではなかなか見られない景色だ。
「本格的に動くのは九月からなんだけどね。そしたらしばらくは酒々井と千葉と東京行ったり来たりかなぁ。……まぁ、高校のことあるからそう簡単じゃないけどね」
「……ゆくゆくは新都心に来る感じ?」
「その予定……。だよ。流石に本格的に芸能活動再開なら酒々井住みってわけにもいかないからね」
弥生さんはそこまで話すと美鈴さんに視線を向けた。そして「メイリンと勉強会もしばらくはできなくなるね」と続ける。
「ま、それもしゃーないじゃん? それに……。いつかはこんなときが来るとは思ってたんだよねぇ。だって弥生は……。片田舎でオタ活するだけなんて似合わねーし」
美鈴さんはそう答えると照れ隠しみたいに「弥生の小言も聞き納めか」とどこか寂しげに笑った。
そうこうしていると車は鉾田市内に入った。ここまで来れば百里基地まであと少しだ――。
「ねえねえ聖那! 基地行ったらお兄さんいる?」
国道五一号線で鹿嶋市に入ると同時くらい美鈴さんにそう訊かれた。そう言えば美鈴さんお兄ちゃんのこと気になってたっけ……。ふとそんなことを思い出す。
「いると思うよ。でも……。会えるかは微妙かも。航空ショー出るみたいだから」
「えー! 楽しみにしてたのにー。ま、しゃーないか。……でもすごいね。戦闘機で飛んじゃうなんて」
美鈴さんは表情をコロコロ変えながらそう言うと軽いため息を吐いた。やはり弥生さんの言うとおり美鈴さんはかなり恋多き乙女らしい。
それから車はひたすら真っ直ぐな道を水戸方面に向かって走った。左手に見える鹿島サッカースタジアムを抜け切り通しみたいな道を進んだ。こうして国道を茨城方面に進むのも随分と久しぶりだ。
「弥生ちゃん。もう来週から撮影なんだよね?」
不意に香澄さんが弥生さんにそう尋ねた。弥生さんはそれに「うん」とだけ返すと窓の外に視線を向けた。彼女の視線の先には……。太平洋が広がっている。鹿島灘。成田からではなかなか見られない景色だ。
「本格的に動くのは九月からなんだけどね。そしたらしばらくは酒々井と千葉と東京行ったり来たりかなぁ。……まぁ、高校のことあるからそう簡単じゃないけどね」
「……ゆくゆくは新都心に来る感じ?」
「その予定……。だよ。流石に本格的に芸能活動再開なら酒々井住みってわけにもいかないからね」
弥生さんはそこまで話すと美鈴さんに視線を向けた。そして「メイリンと勉強会もしばらくはできなくなるね」と続ける。
「ま、それもしゃーないじゃん? それに……。いつかはこんなときが来るとは思ってたんだよねぇ。だって弥生は……。片田舎でオタ活するだけなんて似合わねーし」
美鈴さんはそう答えると照れ隠しみたいに「弥生の小言も聞き納めか」とどこか寂しげに笑った。
そうこうしていると車は鉾田市内に入った。ここまで来れば百里基地まであと少しだ――。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
19
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる