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第十一章 成田国際空港 北ウイング
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それから私たちはトライメライの駐車場に車を停めてすぐに鹿の蔵へ向かった。こうして鹿の蔵へ行くのは衣装に取りに来て以来だ。
そして鹿の蔵に着くと店の玄関前に『本日トライメライ様貸し切り』という手書きの看板が立っていた。貸し切り……。おそらく私たちのために出雲社長がわざわざそうしてくれたのだと思う。
「いらっしゃいませ。お待ちしてました」
逢川さんが暖簾を潜ると女将さんがそう言ってにこやかに出迎えてくれた。そして彼女は「出雲さんたちは先にいらしてますよ。さ、どうぞ」と言って私たちを案内してくれた。その口調はどことなく香澄さんに似ている。いや……。この場合は香澄さんが女将さんに似ているといった方が正しいのだろうけれど。
「香澄。ちょっと手伝って貰ってもいい? 配膳するから」
「はーい。えーと……。じゃあ皆さん先に入っててください。私も手伝い終わったら混ざるので」
香澄さんはそう言うと女将さんと一緒に厨房に入っていった。こうしてみると彼女にとって女将さんは本物の母親みたいだ。
そうこうしていると奥座敷から聞き覚えのある笑い声が聞こえてきた。おそらくこの店のご主人兼UG幕張の店長さんの声だと思う。
「あーあ、ここの旦那もう酔っ払ってるよ」
逢川さんはそう言うと呆れ気味に首を横に振った。そして美鈴さんも「うん。マジでね。最悪」と相づちを打った。やはりこの二人は蔵田店長のことをあまり良くは思っていないらしい。
「……ちょっと二人ともいい加減にしなよ」
不意に弥生さんが感情を込めていない声でそう呟いた。そして「蔵田店長はここの旦那さんだからね? 分かってるよね? いくら何でも今の発言は常識なさ過ぎじゃない?」と続けた。
「あ、ああ。ごめん」
「あ、ああ。ごめん」
弥生さんの口調に気圧されたのか二人は全く同じタイミングで同じように謝った。そして二人して同時にシュンとしてしまった。その様子はあまりにもシュールで私は『二人ともどんだけ仲良しやねーん!』と心の中でツッコんだ。まぁ実際は顔色一つ変えずに突っ立てただけなのだけれど。
「はぁ……。謝る相手は私じゃないでしょ? つーか今の会話聞かれらんないよ。頼むからマジで黙ってて」
弥生さんはそう言うとチラッと私の方を見た。そして「ごめんね」と言って申し訳なさそうに苦笑した。
そして鹿の蔵に着くと店の玄関前に『本日トライメライ様貸し切り』という手書きの看板が立っていた。貸し切り……。おそらく私たちのために出雲社長がわざわざそうしてくれたのだと思う。
「いらっしゃいませ。お待ちしてました」
逢川さんが暖簾を潜ると女将さんがそう言ってにこやかに出迎えてくれた。そして彼女は「出雲さんたちは先にいらしてますよ。さ、どうぞ」と言って私たちを案内してくれた。その口調はどことなく香澄さんに似ている。いや……。この場合は香澄さんが女将さんに似ているといった方が正しいのだろうけれど。
「香澄。ちょっと手伝って貰ってもいい? 配膳するから」
「はーい。えーと……。じゃあ皆さん先に入っててください。私も手伝い終わったら混ざるので」
香澄さんはそう言うと女将さんと一緒に厨房に入っていった。こうしてみると彼女にとって女将さんは本物の母親みたいだ。
そうこうしていると奥座敷から聞き覚えのある笑い声が聞こえてきた。おそらくこの店のご主人兼UG幕張の店長さんの声だと思う。
「あーあ、ここの旦那もう酔っ払ってるよ」
逢川さんはそう言うと呆れ気味に首を横に振った。そして美鈴さんも「うん。マジでね。最悪」と相づちを打った。やはりこの二人は蔵田店長のことをあまり良くは思っていないらしい。
「……ちょっと二人ともいい加減にしなよ」
不意に弥生さんが感情を込めていない声でそう呟いた。そして「蔵田店長はここの旦那さんだからね? 分かってるよね? いくら何でも今の発言は常識なさ過ぎじゃない?」と続けた。
「あ、ああ。ごめん」
「あ、ああ。ごめん」
弥生さんの口調に気圧されたのか二人は全く同じタイミングで同じように謝った。そして二人して同時にシュンとしてしまった。その様子はあまりにもシュールで私は『二人ともどんだけ仲良しやねーん!』と心の中でツッコんだ。まぁ実際は顔色一つ変えずに突っ立てただけなのだけれど。
「はぁ……。謝る相手は私じゃないでしょ? つーか今の会話聞かれらんないよ。頼むからマジで黙ってて」
弥生さんはそう言うとチラッと私の方を見た。そして「ごめんね」と言って申し訳なさそうに苦笑した。
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