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第十一章 成田国際空港 北ウイング
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休憩を終えると私たちは再び中央広場に戻った。そして今度は細かい修正を加えながらリハーサルをした。殺陣の組み立て。これに関しては弥生さんよりも美鈴さんの方が上手い気がする。
「鹿島ちゃんは敵を拘束する設定だからもう少し前衛に徹した方がいいかな。そんで聖那ももうちょい前出てくれた方がいいね。基本はデバッファー、アタッカー、ヒーラー、バッファーの順番で隊列組む感じで」
美鈴さんはそう言うとハルバートを大きく振りかざした。そして「弥生以外はそこまで派手なアクションなしでも問題ないからね」と続けた。その様子はさっきまでかき氷頭痛で悶絶していたのと同じ人とは思えなかった。やはりこの子も演技に関しては高いプロ意識を持っているのだと思う。
「そうだね。とりあえず香澄ちゃんはあんまり気負いしないで動きだけに集中してくれればいいよ。今回も諏訪さんのシナリオ的に大事な場面では客席に背を向けるようになってるからね。で……。聖那は今回から少しポーズ決めるシーン増えてる感じかな? 大丈夫?」
弥生さんはそう言うと横目で私の顔を覗き込んだ。そこには『もし無理なら殺陣変えるから』という意図があるように感じる。
「大丈夫だよー。もう何回か実戦でやってるからね。それに……。たぶん私けっこう演技得意なんだよね。あ! もちろんみんなには負けるけど」
私は途中まで調子に乗ってから取って付けたような謙遜をした。実際私は演技が好きだし得意なのだ。まぁ当然弥生さんと美鈴さんには遠く及ばないのだけれど。
「さっすがー! やっぱ私の目は正しかったね。初めて会ったときから聖那には魔法少女の適正あると思ってたんだ」
美鈴さんはそう言うと「ヒュー」と口笛を吹いた。その仕草は……。何というか非常に昭和臭く感じる。
「……そっか。それなら良かったよ。んじゃ! 殺陣変更してまた通しでやるよー」
弥生さんはそう言うと手のひらをポンと叩いた。そしてリハーサルを再開した――。
「あー! 今日も疲れたねー」
リハーサルが終わると弥生さんがそう言って石畳に寝転がった。
「お疲れ。メイリン四人分の殺陣構成考えるの大変だったでしょ?」
「ん? まぁね。ちょい大変だったかな。でもまぁ大丈夫だよ。結構楽しかったしね」
美鈴さんはそう返すとガバっと起き上がった。そして「やっぱり四人がいいよ。なんだかんだ楽しい」と続ける。
「ハハハ……。本当にそうだね。……じゃあロータリー行こっか。あと少ししたら逢川さん来てくれるしね」
弥生さんはそう言うと「ふぅ」と力なくため息を吐いた。そのため息はどことなく悲しく聞こえた。
「鹿島ちゃんは敵を拘束する設定だからもう少し前衛に徹した方がいいかな。そんで聖那ももうちょい前出てくれた方がいいね。基本はデバッファー、アタッカー、ヒーラー、バッファーの順番で隊列組む感じで」
美鈴さんはそう言うとハルバートを大きく振りかざした。そして「弥生以外はそこまで派手なアクションなしでも問題ないからね」と続けた。その様子はさっきまでかき氷頭痛で悶絶していたのと同じ人とは思えなかった。やはりこの子も演技に関しては高いプロ意識を持っているのだと思う。
「そうだね。とりあえず香澄ちゃんはあんまり気負いしないで動きだけに集中してくれればいいよ。今回も諏訪さんのシナリオ的に大事な場面では客席に背を向けるようになってるからね。で……。聖那は今回から少しポーズ決めるシーン増えてる感じかな? 大丈夫?」
弥生さんはそう言うと横目で私の顔を覗き込んだ。そこには『もし無理なら殺陣変えるから』という意図があるように感じる。
「大丈夫だよー。もう何回か実戦でやってるからね。それに……。たぶん私けっこう演技得意なんだよね。あ! もちろんみんなには負けるけど」
私は途中まで調子に乗ってから取って付けたような謙遜をした。実際私は演技が好きだし得意なのだ。まぁ当然弥生さんと美鈴さんには遠く及ばないのだけれど。
「さっすがー! やっぱ私の目は正しかったね。初めて会ったときから聖那には魔法少女の適正あると思ってたんだ」
美鈴さんはそう言うと「ヒュー」と口笛を吹いた。その仕草は……。何というか非常に昭和臭く感じる。
「……そっか。それなら良かったよ。んじゃ! 殺陣変更してまた通しでやるよー」
弥生さんはそう言うと手のひらをポンと叩いた。そしてリハーサルを再開した――。
「あー! 今日も疲れたねー」
リハーサルが終わると弥生さんがそう言って石畳に寝転がった。
「お疲れ。メイリン四人分の殺陣構成考えるの大変だったでしょ?」
「ん? まぁね。ちょい大変だったかな。でもまぁ大丈夫だよ。結構楽しかったしね」
美鈴さんはそう返すとガバっと起き上がった。そして「やっぱり四人がいいよ。なんだかんだ楽しい」と続ける。
「ハハハ……。本当にそうだね。……じゃあロータリー行こっか。あと少ししたら逢川さん来てくれるしね」
弥生さんはそう言うと「ふぅ」と力なくため息を吐いた。そのため息はどことなく悲しく聞こえた。
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