125 / 176
第十一章 成田国際空港 北ウイング
11
しおりを挟む
しばらく歩くと第二ターミナルの中央広場に到着した。そこは弥生さんの言っていた通りの広いイベントスペースで奥には石畳の常設ステージがあった。敷地内にこれだけ大きな広場があるのだからやはり成田空港は国内最大規模の空港なのだと思う。
「お忙しいところすみません。本日はご迷惑お掛けするかと思いますがよろしくお願いします」
私が石畳のステージを眺めていると横で弥生さんが空港の関係者にそう言って挨拶していた。いつも思うけれど弥生さんは大人に対してはとても大人な対応をするのだ。おそらくそれは彼女が幼少期に大人たちに囲まれて仕事をしてきたからだと思う。
「んじゃ武器準備すんね」
美鈴さんはそう言うとリュックからバラバラ状態のハルバートを取り出した。そして鼻歌交じりでそれを組み立て始めた。ほんの数週間前に彼女の相棒になったばかりのハルバート。なんだかんだ言っても美鈴さんはこの新しい相棒を気に入っているらしい。
そうこうしていると挨拶回りしていた弥生さんが戻ってきた。そして彼女は「とりあえず今日はラフな格好でいいよ。衣装は明日からね」と言ってバッグからハンドガンを取りだした。
「りょ! ……つーか、私のコレって危険物なんじゃないの? 持ち込み禁止って言われたけど大丈夫かな?」
「大丈夫でしょ。それで人殴らなきゃ問題ないし。それに切っ先自体には刃が付いてないじゃん?」
「そっか。んじゃ気にせず振り回すよ。ま、今日はてんびん座の団員来てないから殺陣するだけだけどねぇ」
美鈴さんはそう言うとハルバートを指先でクルクルと回した。その棒捌きは本当の槍使いみたいに見えた――。
それから私たちはステージを借りて台詞と立ち回りの確認をした。今回も後衛は私と弥生さんのバッファー&ヒーラーコンビ。前衛は美鈴さんと香澄さんのアタッカーコンビのようだ。(話は前後するけれど香澄さんの役割はデバッファー兼サブアタッカーというものらしい)
私はそんな四人の役割を頭で整理しながら自身の立ち位置と動線、そして戦闘中の表情を組み立てていった。流石に何回もやれば表情の変化と発声くらいは意識するようになるのだ。まぁこれは魔法少女の先輩二人を見ていて学んだことなのだけれど。
「――はい。ここまではOKだね。とりあえず一旦休憩にしようか」
通しでのリハーサルが一段落すると弥生さんはそう言って汗を拭った。そして「熱中症にならないようにみんな飲み物飲んでねー」と続けた。リハーサルに必死すぎて気づかなかったけれど確かに今日は暑いのだ。このまま続けていたらそのうち倒れてしまうかも知れない。
「しっかしマジでクソ暑いね。アイス食いてーよねぇ」
休憩に入ると美鈴さんはそう言って地べたにへたり込んだ。そして「弥生さぁ。ここってコンビニねーの?」と続ける。
「確か四階にあったかな? ……じゃあみんなでアイス買いに行く? ここにいても暑いだけだし」
弥生さんはそう返すと「本当に暑いね」と言って深いため息を吐いた――。
「お忙しいところすみません。本日はご迷惑お掛けするかと思いますがよろしくお願いします」
私が石畳のステージを眺めていると横で弥生さんが空港の関係者にそう言って挨拶していた。いつも思うけれど弥生さんは大人に対してはとても大人な対応をするのだ。おそらくそれは彼女が幼少期に大人たちに囲まれて仕事をしてきたからだと思う。
「んじゃ武器準備すんね」
美鈴さんはそう言うとリュックからバラバラ状態のハルバートを取り出した。そして鼻歌交じりでそれを組み立て始めた。ほんの数週間前に彼女の相棒になったばかりのハルバート。なんだかんだ言っても美鈴さんはこの新しい相棒を気に入っているらしい。
そうこうしていると挨拶回りしていた弥生さんが戻ってきた。そして彼女は「とりあえず今日はラフな格好でいいよ。衣装は明日からね」と言ってバッグからハンドガンを取りだした。
「りょ! ……つーか、私のコレって危険物なんじゃないの? 持ち込み禁止って言われたけど大丈夫かな?」
「大丈夫でしょ。それで人殴らなきゃ問題ないし。それに切っ先自体には刃が付いてないじゃん?」
「そっか。んじゃ気にせず振り回すよ。ま、今日はてんびん座の団員来てないから殺陣するだけだけどねぇ」
美鈴さんはそう言うとハルバートを指先でクルクルと回した。その棒捌きは本当の槍使いみたいに見えた――。
それから私たちはステージを借りて台詞と立ち回りの確認をした。今回も後衛は私と弥生さんのバッファー&ヒーラーコンビ。前衛は美鈴さんと香澄さんのアタッカーコンビのようだ。(話は前後するけれど香澄さんの役割はデバッファー兼サブアタッカーというものらしい)
私はそんな四人の役割を頭で整理しながら自身の立ち位置と動線、そして戦闘中の表情を組み立てていった。流石に何回もやれば表情の変化と発声くらいは意識するようになるのだ。まぁこれは魔法少女の先輩二人を見ていて学んだことなのだけれど。
「――はい。ここまではOKだね。とりあえず一旦休憩にしようか」
通しでのリハーサルが一段落すると弥生さんはそう言って汗を拭った。そして「熱中症にならないようにみんな飲み物飲んでねー」と続けた。リハーサルに必死すぎて気づかなかったけれど確かに今日は暑いのだ。このまま続けていたらそのうち倒れてしまうかも知れない。
「しっかしマジでクソ暑いね。アイス食いてーよねぇ」
休憩に入ると美鈴さんはそう言って地べたにへたり込んだ。そして「弥生さぁ。ここってコンビニねーの?」と続ける。
「確か四階にあったかな? ……じゃあみんなでアイス買いに行く? ここにいても暑いだけだし」
弥生さんはそう返すと「本当に暑いね」と言って深いため息を吐いた――。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
19
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる