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第十一章 成田国際空港 北ウイング
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それから程なくして成田空港に到着した。移動時間は一五分程度。こうして直接行ってみるとやはり成田空港は近所なのだと痛感する。
「父ちゃんありがとね。気をつけて帰ってねー」
美鈴さんはそう言って車を降りた。私たちも「ありがとうございましたー」とそれに続く。
「空港ひっさびさだよ」
車から降りると美鈴さんが空港の第一ターミナルを見上げながらそんなことを言った。
「そうだよね。メイリンはあんま空港来ないもんね」
「うん。だって前に来たの小学校の遠足んときだよ? マジで用事ねーからさ」
美鈴さんはそう言うと大げさに背伸びした。そして「こんな機会でもなきゃ来ないよねぇ」と続ける。
「……じゃあ空港の人に話通してくるよ。みんなは北ウイングで待機してて」
弥生さんはそう言うと私たちを残して関係者用通用口と書かれたドアに入っていった。そう言えば弥生さんのお母さんはここの職員だっけ。今更そんなことを思い出した――。
弥生さんが空港のスタッフと話している間、私たちは北ウイングをぶらつきならがら時間を潰した。やはりと言うか何というか……。出国ロビーにはたくさんの外国人がいた。まぁこれは成田市内の商業施設にも言えることなのだけれど。
「しっかし最近エレメンタルの仕事変わってきたよねー。この間までずっと病院とか施設ばっかだったのにさ」
「美鈴さんもやっぱりそう思う?」
「うん。なんつーか……。割と金回り良いとこの仕事増えてる感じ? たぶんこの前の下北だってけっこう儲かったんじゃないかな?」
美鈴さんはそんな風に下世話なことを言うと「でもウチらの給料は変わんない」とぼやいた。そう、決して給料は変わらないのだ。日給二万円。それが揺るぐことはない気がする。
「ねー。本当だよね。でも……。この前は焼肉ご馳走になっちゃったし悪くはないよね」
「それなー。食事補助めっちゃありがたいよねぇ。ま、この前の焼肉に関しちゃ逢川さんの持ち出しらしいけどね……」
私たちがそんな他愛のない話をしているとスーツ姿の女性がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。彼女を見た美鈴さんは小さく「あ」と言葉を漏らした。
「父ちゃんありがとね。気をつけて帰ってねー」
美鈴さんはそう言って車を降りた。私たちも「ありがとうございましたー」とそれに続く。
「空港ひっさびさだよ」
車から降りると美鈴さんが空港の第一ターミナルを見上げながらそんなことを言った。
「そうだよね。メイリンはあんま空港来ないもんね」
「うん。だって前に来たの小学校の遠足んときだよ? マジで用事ねーからさ」
美鈴さんはそう言うと大げさに背伸びした。そして「こんな機会でもなきゃ来ないよねぇ」と続ける。
「……じゃあ空港の人に話通してくるよ。みんなは北ウイングで待機してて」
弥生さんはそう言うと私たちを残して関係者用通用口と書かれたドアに入っていった。そう言えば弥生さんのお母さんはここの職員だっけ。今更そんなことを思い出した――。
弥生さんが空港のスタッフと話している間、私たちは北ウイングをぶらつきならがら時間を潰した。やはりと言うか何というか……。出国ロビーにはたくさんの外国人がいた。まぁこれは成田市内の商業施設にも言えることなのだけれど。
「しっかし最近エレメンタルの仕事変わってきたよねー。この間までずっと病院とか施設ばっかだったのにさ」
「美鈴さんもやっぱりそう思う?」
「うん。なんつーか……。割と金回り良いとこの仕事増えてる感じ? たぶんこの前の下北だってけっこう儲かったんじゃないかな?」
美鈴さんはそんな風に下世話なことを言うと「でもウチらの給料は変わんない」とぼやいた。そう、決して給料は変わらないのだ。日給二万円。それが揺るぐことはない気がする。
「ねー。本当だよね。でも……。この前は焼肉ご馳走になっちゃったし悪くはないよね」
「それなー。食事補助めっちゃありがたいよねぇ。ま、この前の焼肉に関しちゃ逢川さんの持ち出しらしいけどね……」
私たちがそんな他愛のない話をしているとスーツ姿の女性がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。彼女を見た美鈴さんは小さく「あ」と言葉を漏らした。
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