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第十一章 成田国際空港 北ウイング
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「どうした?」
私が固まっていると兄にそう訊かれた。私は「えーと」と言ってまた言葉に詰まってしまった。この場合、兄にだけでも事情は話しておいた方がいいのだろうか? 正直それさえ判然としない。
「お兄ちゃん。……ちょっと聞いて欲しいことがあるんだけど」
「何だよ……。改まって」
「いやさぁ。実はここに書いてあるコレなんだけど」
私はそう前振りすると一呼吸置いた。そして自身のアルバイトについて。そして魔法少女について兄に説明した――。
「――とうわかで今はエレメンタルって会社で魔法少女してるの」
「そ、そうか」
私が一通り説明を終えると兄はなんとも言えない表情を浮かべた。そして兄は「変わったバイト見つけたんだね」と取って付けたようなことを言った。まぁ当然の反応だろう。妹から「魔法少女のアルバイトしてるんだ♥」とか言われたらそうなるのも無理はないと思う。
「で……。月末基地まで公演に来るってこと?」
「じゃないかなぁ? 会社の人からはまだ訊いてないけどチラシにそう書かれてるんならそうなんじゃない? ウチらは興行の数日前に行き先知らされるから知らなかったけどさ」
「ウチらって……。他にもその『魔法少女』ってのはいるの?」
「いるよー。私以外だと酒々井の子二人と幕張の子が一人がやってるよ」
「そうか。……ねえ聖那? なんでそんな変わったバイト選んだの?」
「うーん。選んだ理由は……。単に日給が良かったからだよ。あと週末しかバイトがないからかな? ほら、平日は私もやることたくさんあるからさ」
――そんな感じで私は兄に『なぜ魔法少女にならなければならなかったのか?』という哲学的命題について極めて実務的に答えていった。本当に実務的で銭ゲバな解答だと思う。だって私が魔法少女を始めた理由は本当に日給が二万円ということだけなのだ。我ながら金に目がくらみ過ぎだと思う。
「……まぁいいよ。危ない仕事じゃないならそれも経験だと思うしね。でも聖那? そんなにお金貯めて何に使うの?」
「ああ、使い道? それはね」
それから私は自身の目的について兄に話した。私が魔法少女になった根本的な理由。日給二万円の使い道を――。
私が固まっていると兄にそう訊かれた。私は「えーと」と言ってまた言葉に詰まってしまった。この場合、兄にだけでも事情は話しておいた方がいいのだろうか? 正直それさえ判然としない。
「お兄ちゃん。……ちょっと聞いて欲しいことがあるんだけど」
「何だよ……。改まって」
「いやさぁ。実はここに書いてあるコレなんだけど」
私はそう前振りすると一呼吸置いた。そして自身のアルバイトについて。そして魔法少女について兄に説明した――。
「――とうわかで今はエレメンタルって会社で魔法少女してるの」
「そ、そうか」
私が一通り説明を終えると兄はなんとも言えない表情を浮かべた。そして兄は「変わったバイト見つけたんだね」と取って付けたようなことを言った。まぁ当然の反応だろう。妹から「魔法少女のアルバイトしてるんだ♥」とか言われたらそうなるのも無理はないと思う。
「で……。月末基地まで公演に来るってこと?」
「じゃないかなぁ? 会社の人からはまだ訊いてないけどチラシにそう書かれてるんならそうなんじゃない? ウチらは興行の数日前に行き先知らされるから知らなかったけどさ」
「ウチらって……。他にもその『魔法少女』ってのはいるの?」
「いるよー。私以外だと酒々井の子二人と幕張の子が一人がやってるよ」
「そうか。……ねえ聖那? なんでそんな変わったバイト選んだの?」
「うーん。選んだ理由は……。単に日給が良かったからだよ。あと週末しかバイトがないからかな? ほら、平日は私もやることたくさんあるからさ」
――そんな感じで私は兄に『なぜ魔法少女にならなければならなかったのか?』という哲学的命題について極めて実務的に答えていった。本当に実務的で銭ゲバな解答だと思う。だって私が魔法少女を始めた理由は本当に日給が二万円ということだけなのだ。我ながら金に目がくらみ過ぎだと思う。
「……まぁいいよ。危ない仕事じゃないならそれも経験だと思うしね。でも聖那? そんなにお金貯めて何に使うの?」
「ああ、使い道? それはね」
それから私は自身の目的について兄に話した。私が魔法少女になった根本的な理由。日給二万円の使い道を――。
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