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第十章 下北線路外空き地
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瑞穂が出掛けてしまうといよいよ完全に仕事モードになった。思えば休日でも俺の日常は大して変わらない気がする。出雲社長と氷川さんに連絡をしないだけで仕事自体は平日同様に熟す……。毎週末こんな感じだと思う。我ながらワーカーホリックなのだ。誰に褒められるわけでもないのにこうするのだから自分でも滑稽に思うのだけれど。
パソコンで春日弥生という子役俳優のプロモーション資料を作っていく。彼女の魅力が最大限伝わるように気を配る。その作業はまさに俺にとってはライフワークそのものだった。興行する上でこれ以上ないくらいの商品。荒削りだけれど将来性の塊のような少女。それがすくすくと演技派女優に育っていく……。それは非常にやりがいのある仕事だと思う。
たぶん俺は自身の手で才能のある子を育てるのが好きなのだ。感覚的には育成ゲームに近い。言い方は悪いけれど俺にとって子役のマネジメントはそんな趣味の延長線みたいな感覚なのだ――。
そうやって仕事をしていると俺の部屋に来客があった。俺の雇用主。出雲櫛子だ。
「休日なのに悪い」
彼女はそう言うと申し訳なさそうに手土産のタバコを俺に差し出した。
「いえいえ。大丈夫ですよ。……なんかすいません。お土産貰っちゃって」
「気にするな。……なんだ。お前仕事してたのか?」
出雲社長はそう言って俺がプリントアウトしておいた資料を手に取った。
「ええ。まぁ……。ウイマジのオーディション来週末ですからね。少しでも進めておきたくて」
「そうか。いや、ありがとう。苦労を掛ける」
彼女はそう言うと穏やかに口元を緩めた。この人はたまにこういう顔をするのだ。いつもは鬼のように厳しいことを言うけれど、本来の彼女はきっと優しい女性なのだと思う。
「コーヒーで良いですか?」
「うん」
「じゃあ今淹れますね」
それから俺はカプセル式のエスプレッソマシンで二杯のコーヒーを淹れた。そして仕事で散らかったリビングのテーブルを片付けた。社長いることだし来週の魔法少女オーディションの話を詰めようと思う。
パソコンで春日弥生という子役俳優のプロモーション資料を作っていく。彼女の魅力が最大限伝わるように気を配る。その作業はまさに俺にとってはライフワークそのものだった。興行する上でこれ以上ないくらいの商品。荒削りだけれど将来性の塊のような少女。それがすくすくと演技派女優に育っていく……。それは非常にやりがいのある仕事だと思う。
たぶん俺は自身の手で才能のある子を育てるのが好きなのだ。感覚的には育成ゲームに近い。言い方は悪いけれど俺にとって子役のマネジメントはそんな趣味の延長線みたいな感覚なのだ――。
そうやって仕事をしていると俺の部屋に来客があった。俺の雇用主。出雲櫛子だ。
「休日なのに悪い」
彼女はそう言うと申し訳なさそうに手土産のタバコを俺に差し出した。
「いえいえ。大丈夫ですよ。……なんかすいません。お土産貰っちゃって」
「気にするな。……なんだ。お前仕事してたのか?」
出雲社長はそう言って俺がプリントアウトしておいた資料を手に取った。
「ええ。まぁ……。ウイマジのオーディション来週末ですからね。少しでも進めておきたくて」
「そうか。いや、ありがとう。苦労を掛ける」
彼女はそう言うと穏やかに口元を緩めた。この人はたまにこういう顔をするのだ。いつもは鬼のように厳しいことを言うけれど、本来の彼女はきっと優しい女性なのだと思う。
「コーヒーで良いですか?」
「うん」
「じゃあ今淹れますね」
それから俺はカプセル式のエスプレッソマシンで二杯のコーヒーを淹れた。そして仕事で散らかったリビングのテーブルを片付けた。社長いることだし来週の魔法少女オーディションの話を詰めようと思う。
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