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第七章 水郷会児童福祉施設 あけぼし

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 裏口から出ると香澄さんがちょこんと一人で座っていた。そして私たちに気がつくとスッと立ち上がった。てんびん座のトラックはもう撤収したらしく、裏口の駐車場は閑散としている。
「お疲れ様です。聖那ちゃん大丈夫ですか?」
「お疲れ様です! すいません。ご心配お掛けしました。ただの貧血みたいなので大丈夫です!」
 私がそう答えると「なら良かったです」と言って香澄さんはホッとした表情を浮かべた。香澄さんにまで心配を掛けてしまった……。そう考えると改めて申し訳なくなる。
「とりあえずウチくる? 鹿島ちゃんも良かったらおいでー。弥生も子守終わったら来るはずだからさ」
 美鈴さんはそう言って香澄さんを誘うと逢川さんに「逢川さん夜まで仕事だっけ?」と尋ねた。流れから察するに帰りは千葉市内まで香澄さんを送れということだと思う。
「だね。夕方には氷川社長も事務所来るからちょっと打ち合わせすんだけど……。二二時過ぎで良ければ鹿島ちゃんも乗っけてくよ。……ま、どっちにしても春日ちゃんも明日は幕張だから一緒に連れてくんだけどね」
 逢川さんはスケジュール帳を開いてそう言うと「どうする?」と香澄さんに尋ねた。香澄さんは一つ返事で「よろしくお願いします」と答える。
「んじゃ今日は夕飯食いに行こっか! ……聖那ちゃんは遅くなっても大丈夫?」
「……ちょっとお母さんに聞いてみるよ。二日連続だからダメって言われるかもだけど」
 私は美鈴さんにそう断ってから母に電話してみた。そして驚くべきことに母からの返事は『いいよー』だった。あまりにも軽く了解されて拍子抜けする。
『でも……。あんまり遅くならないでね。バイト先の人たちにあんまり迷惑掛けないこと! いいね』
 母は最後にそれだけ言うとあっさり電話を切った。どうやら母的には私のアルバイト先を思いのほか信頼してくれているらしい。
「いいってさ」
 電話が終わると私は美鈴さんにそう伝えた。美鈴さんは「お、やったね」と言って嬉しそうに指を打ち鳴らす。
「んじゃ逢川さんエレメンタルまで連れてってー」
 美鈴さんは無遠慮にそう言うと車に乗り込んだ。逢川さんは呆れたみたいに笑うと「あいよ」と答えた。
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