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第四章 株式会社ニンヒアレコード 新宿本社

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 その後、私とフジやんくんは帰路に就いた。来た道と同じ道を逆走。要は東京駅経由で海浜幕張駅まで戻るわけだ。
「今日は疲れたでしょ?」
 JR新宿駅の中央線ホームに着くと私はフジやんくんにそう尋ねた。
「だねぇ。ちょっと疲れたよ」
「だよね。私も疲れた……。やっぱり東京行くのはしんどいよ」
「へぇ……。鹿島さんでもそうなんだ」
 フジやんくんは意外そうな顔をすると視線を下り方面に向けた。まだ中央線は来ていない。何やら人身事故の影響で遅れているらしい。
「そりゃそうだよ。だって普段千葉から出ないもん」
「そっか。なんか意外だよ。ほら、鹿島さんっていつも飛び回ってるイメージだったから……」
 私はB組でいったいどんなイメージを持たれてるんだ? と私は思った。もちろん蔵田丈治の姪ということはみんなが知るところだろうけれど、それにしても偏見が過ぎると思う。
「まぁ……。多少は遠出するよ? でも多くても年に五回ぐらいだよ。あとはだいたいバイト先と学校の往復って感じ」
 そう。私は基本的にインドアな人間なのだ。日常的に行く場所なんて花見川高校とUGと近所のスーパー。それくらいだと思う。
 そうこうしていると中央線ホームのスピーカーから『大変ご迷惑お掛けしております。間もなく七番線に中央線快速東京行きが参ります――』という駅員のアナウンスが聞こえた。
「あ、来たね」
「うん」
 私たちがそんな短い言葉を交わすとすぐにオレンジのラインが入った電車が七番ホームに入ってきた。私たちはそれに吸い込まれるように乗り込んだ――。
 
 一七時半。私たちは地元に戻ってきた。海浜幕張駅。ここまで来れば私の家は目の前だ。
「えーと。一応レポート提出お願いね。次学校来たときでいいから」
 海浜幕張駅の南口を出ると私はフジやんくんにそう伝えた。
「うん。……今日は本当にありがとね。鹿島さん」
「ん? ああ、いいよ。気にしないで。私も楽しかったしね」
 その後、私たちは軽く言葉を交わして解散した。本日の校外学習は無事終了。そう思うと肩に重みを感じた。さっきまで何てことなかったのに……。どうやら無意識に身体に力が入っていたらしい。
「さてと……」
 一人になるとそんな言葉が口からこぼれた。そしてそれとほぼ同時に私のスマホに着信が入った――。
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