【完結】サマーナイト・レポート
予備校の夏期講習で知り合ったボカロ好きの女の子と、自転車で夜明けの海を目指したあの夏の日――
「私は日本人でも地球人でもありません。銀河政府の目的に基づいて生成された人工生命体です。それがわかりにくければ、宇宙人だと思っていただいても差し支えありません」
市ケ谷から麹町へと続く坂道の、ありふれたチェーンの喫茶店で、彼女は私に奇妙な依頼を持ちかけた。
「明日の夜明けまでに私を相模湾に移送してください」
妄想か、現実か、あるいは受験生の灰色の夏を彩るための、ちょっとした遊びだったのか。
市ケ谷から江ノ島まで六〇キロメートル。
通学用自転車の荷台に彼女を乗せて、夜の旅が始まった。
「私には、過去も未来もないんですよ」
夜の街を走りながら、私は気づく。
彼女はもしかしたら、死のうとしているのではないか――?
※この物語はフィクションです。実体験に基づくものではありません。
※作中、法律・法令に反する行為の描写を含みますが、そうした行為を容認・推奨するものではありません。
「私は日本人でも地球人でもありません。銀河政府の目的に基づいて生成された人工生命体です。それがわかりにくければ、宇宙人だと思っていただいても差し支えありません」
市ケ谷から麹町へと続く坂道の、ありふれたチェーンの喫茶店で、彼女は私に奇妙な依頼を持ちかけた。
「明日の夜明けまでに私を相模湾に移送してください」
妄想か、現実か、あるいは受験生の灰色の夏を彩るための、ちょっとした遊びだったのか。
市ケ谷から江ノ島まで六〇キロメートル。
通学用自転車の荷台に彼女を乗せて、夜の旅が始まった。
「私には、過去も未来もないんですよ」
夜の街を走りながら、私は気づく。
彼女はもしかしたら、死のうとしているのではないか――?
※この物語はフィクションです。実体験に基づくものではありません。
※作中、法律・法令に反する行為の描写を含みますが、そうした行為を容認・推奨するものではありません。
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最後まで拝読しました。
人工生命体か、あるいは……。どちらとも取れる「彼女」の素性がミステリアスで引き込まれました。
過去を回想する形の入れ子構造で、主人公が青春を振り返る文体がノスタルジックで良かったです。十五年前の当時の様子を俯瞰して語ることで、「彼女」に対しての考察や主人公の心情などもわかりやすく整理されており、とても読みやすく、その場の情景が目に浮かぶようでした。
ありがとうございます!
発表媒体も決めずただただ書きたいことを書いた小説ですが、少しでも楽しんでいただけたのであれば幸いです。
回想にすることで、青春の最中の方にも、そこから遠く離れてしまった大人にも楽しめると良いなと思ったのですが、多くの方に読んでいただくのはなかなか難しいですね……。
紫音さんを見習って、WEBで読んでもらうための技術を学びたいと思います。
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