俺の義姉は性格が悪い〜〜彼女は不器用で可愛くてひたむきで。少しだけエッチだ。

おもち

文字の大きさ
上 下
15 / 16

第15話 雫さんがやってくる。

しおりを挟む

 階段を下りると、親父と凛がバタバタしていた。

 「2人とも、おはよー。どうしたの? こんな朝から」

 親父が答えた。

 「おう。蓮。おはよう。雫さんの戻りが早くなってな。今日から家に来れるようになったんだ」

 って、そんなに急いで片付けなくても。
 家は、普段から凛が掃除してくれてるし。親父には、見せてやましいものなどなさそうだが。

 親父の荷物を覗き込むと、スナックやらのライターや領収書が見えた。

 ……俺のために独身でいてくれたんだもんな。うん。寂しい時もあるよな。俺は息子だから、理解できるぞ? 

 隠蔽ファイト!!

 凛が来た時に、俺も一生懸命にエロ本を隠したのを思い出す。

 凛は雫さんのために準備しておいた食器やテーブルクロスなどの配置をしているようだ。

 俺も何かしないと、と思って凛の横にいったのだが。

 「邪魔」と一言。
 我が家のお嬢様は、相変わらずだぜ。

 ……はい。役立たずは自室に戻ってます。

 すると、凛がいう。

 「いっちゃうんだ」

 お前が邪魔と言ったんだろう。
 意味わからん。

 俺は、なんか心がざわつくというか。

 夏の終わりに雫さんが合流するのは分かってたし。雫さんのことがイヤな訳じゃない。凛が父さんと母さんを大切にしてくれてるから、おれもそうしたいと思ってる。

 それは本心だ。
 でも、どこかで割り切れない自分もいる。

 部屋に行って、少し心の整理が必要かな。
 俺は凛に笑顔を作ると、自分の部屋に戻った。

 部屋のベッドに座る。
 あまり残ってない母さんの記憶をかき集めて、自問自答していた。

 でも、母さんの思い出は少なすぎて、想像の中の母さんは何も答えてくれない。

 気づけば、ベッドの上で膝を抱えて座っていた。涙を太ももで拭う。

 何も考えられない。
 考えられるほど、覚えていない。

 母親に捨てられたようで、すごく孤独だ。


 
 ガチャ。
 
 ドアを開けて凛が入ってきた。

 「おま、ノックくらいしろよ」

 だけれど、凛はそんなことお構いなしにこっちにくる。そして、俺を胸に押し付ける様にギュッと抱きしめてくれた。

 胸は柔らかくて。いい匂いがして。
 凛の心臓の音がきこえる。

 すごく安心するなぁ。

 すると、凛が言った。

 「ね。れんくんのお母さんの話きかせて」

 俺は、凛に抱きしめられたまま答える。

 「ごめん。話したくても、覚えてないんだよ」

 すると、凛は言った。

 「そんなことない。思い出は、れんくんの中に溶け込んでるだけ。君を見ていれば、お母さんに大切にされていたのがわかるよ」

 おれは大切にされていたのか。
 そうだよな。

 凛は俺を抱きしめる腕に力を入れる。

 「れんくん、泣き虫さんなんだから」

 少しすると、凛はバッと体を離した。そして、俺の顔をみつめると微笑んだ。

 凛は俺にアルバムを開いて見せた。
 そこには、母さんと並んで写る、子供の俺の姿があった。

 「これ、お父さんに借りてきたんだ。これのこと聞かせてよ。それに下の傷だらけの柱。あの話も聞かせて欲しいな」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました

加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...