効率主義者の異世界生活

Ryuki

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2 異次元ポケット

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「うむ、うむむむむ」
 1日目にして早速問題が発生した。異次元ポケットの使い方が分からないのである。空中をスワイプすればステータスは見れる。だが、「異次元ポケット!」っとさけんでも、ド〇えもん風に「パンパラーン、いじげんぽけっと~」ってさけんでもなにも起こりはしない。
「どうしたものか・・・・・・こんなことになるくらいなら使い方くらい聞いておくべきだったな」
『ピーンポーン』
 まさか、宅急便から異世界のガイドでも届いたのか?
 そんなことあるわけな────
「あったー?!」
 宅急便から届いたダンボールを開けると『異世界ガイドブック』と大きく書かれた分厚い本が入っていた。
 それにしてもだ、ガイドブックが届いたのはいいとしても何故着払いにした?! 普通、送料くらいあっちが払うだろ、地味に高かったし・・・・・・
「まあ、とりあえず中をざっと読んでみるか。ふむふむ、スキル発動って言ってからスキル名を叫ぶのか」
 物は試しだ。まずはテーブルの上に置いてある烏龍茶でも入れてみるか。
「スキル発動! 異次元ポケット!」
 お、おお! なんか目の前にブラックホールみたいな渦巻きが出現したぞ。この中にほおり投げればいいのか。
 試しに机に置いてあるカップラーメンを入れてみよう。でもカップラーメンとはいえ加工した豚肉が入ってるはずだけど、それが生き物判定になるのかも気になるところだな。
 入ったね、鯖の缶詰はどうだろうか。これも入る。要するにあれか、生きている生物は入らないけど死んでいれば入るのか。なんか残酷な事を言っている気がして胸糞悪いけど・・・・・・
 よし、これで大体のスキルの使い方と今後の予定を立てることは出来た。
 買い出しは明日からするとして今日はガイドブックを読み込むとしよう。

 ◇ ◇ ◇

「2日目だ、今日やる事は決まっている。異世界といえどファッションが重要!! 服の買い出しだ」
 引きこもりとは言え、ファッションを気にするお年頃なのでな。そこも落ち度なくやらねばならない。最初は100万円分の服をユ〇クロで買う。安定を狙っていこう。寒い場所に行く時なんかはダウンやコートがあった方がいいだろう。
 あ、靴も後で買わなきゃな。ストックとして大量に買う必要もある。とりあえず、ここでは下着や靴下、シャツなどを重点的に。
 次にちょっとしたブランドの服屋でお買い物。異世界に行くとなればお金を残しておく必要も無いから、ここで消費するのも悪くは無いはずだ。ジーンズや洒落たシャツ、パーカーやコートを買う。
 あまりに量が多いから宅急便で送ってもらう。
 それにしても疲れたな。帰りにパフェでも食べて帰るか。

 ◇ ◇ ◇

 おはようございます。3日目です。昨日の買い物で、体中が筋肉痛。今日は宅急便で服が届くから家にいなければならない。外に出れないとは言っても今の時代ネットで買い物だってできる。もちろん使うのはア〇ゾンだ。ここで買うのは大量の食材。保存性重視で乾パンや缶詰を買いに買い漁る。いろんな味がなければ飽きるだろう? もちろんフルーツの缶詰だって買う。
 おっと、暇な時間にガイドブックを読んでいたら『新事実』が発覚した。どうやら異次元ポケットの空間では温度は存在せず、時間が止まった状態らしいから賞味期限も消費期限も関係ないそうだ。これでレトルトや美味しい野菜なども保管できる。当然、お米や調味料も大量に注文。
 服が届いた。ちょっと買いすぎたかな・・・・・・と言うくらいの量。まあ念には念を入れてってやつだ。
 これにて服と食は完璧だろう。明日は────

 ◇ ◇ ◇

 4日目だあ! 今日は、娯楽用の本やボードゲーム、トランプとかを買うつもりだ。あ、因みに昨日の夜ついでに市販薬も注文しておいた。これで健康面もバッチリだ。
「娯楽・・・・・・か」
 あそこに行けばなんでもあるだろう。
「そう! 秋葉原!」
 トランプやUNOを買って~、人生ゲームとかも買っておくか。あと一切の電化製品が入らないらしいからゲーム機などは入れられない。でも異世界に行くこと自体ゲームみたいなものだからあまり気にしていないけど。
 次は本屋だ。料理本や辞書、広辞苑なんかも買っておこう。家庭の医学、農業の仕方、建築の本なんかも。娯楽と言えばラノベや漫画だろう。俺は熱血漫画が大好きなんだ。
 こんな所かな。今日は疲れたから帰って寝よう。

 ◇ ◇ ◇

 気づけばもう朝。5日目、今日は雑貨や調理器具とか家具を買いに行く。一通りの調理器具を揃えて、ハンカチやティッシュ、トイレットペーパーなんかを買い占める。家具はベット、イス、机なんかを重点的に。ついでに本棚とかも買っておくか。
 ふー、疲れたな。もう夜か、これで買い出しは全部終了だ。

 ◇ ◇ ◇

 6日目は1日中遊び尽くすと決めている。1日中遊び尽くすと言えば、やっぱりスマホゲームだろ!
 課金課金課金~。とにかく課金してガチャを引きまくる。なんだこの優越感、優越感はあるが同時に背徳感もある。
 そういえばさっき全部の家具やその他もろもろが届いた。異次元ポケットに収納するとしよう。これは仕方の無いことだ。意外と時間がかかるな・・・・・・
 いつの間にか夜になっていた。

 ◇ ◇ ◇

 とうとう最終日。今日は本当にやる事がなかったが、まだ誕生日のケーキを食べていないことを思い出した。
「やっぱりコンビニのケーキだろ」
 ポケットに財布をいれ、スマホを手に持ち家を出る。
 そういえば、この辺だよな、宝くじ売り場。あれ? ないな。潰れたのか?
 コンビニについて真っ先にスイーツ売り場に向かう。ふむふむ、かぼちゃプリンも捨てがたい・・・・・・。いやこっちの苺のショートケーキも美味しそうだな。ええい! 両方買っちゃえ!
 家に帰って早速ケーキとプリンを食べ始める。懐かしいな。子供の頃お母さんが誕生日に苺のショートケーキを買ってきてくれたっけ。
 ふと昔の記憶が蘇る。それから暫く感傷に浸りながらケーキを食す。
 もう少しで約束の午前0時だ。お腹もいっぱいになった。外で着る用の服も着た。お風呂にも入って歯も磨いた。これでもう思い残すことは無い。
「どうですか? この1週間は楽しめましたか?」
 ポンと衝動的に振り向いたその方向には、この間のお姉さんが羽衣を来て立っていた。
「ええ、それなりにはね」
「それでは異世界召喚させていただきますので、目をお瞑りください」
「は、はあ」
 言われるがままに目を閉じる。途端、体中の感覚が消えて、宙に浮いたような気分になる。
 そして意識が遠のいていった・・・・・・ 
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