終焉を迎えそうな世界で、君以外はなんにもいらないんだ

朱月野鈴加

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【二十一話】しばしの休息

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 トマスは蘭にキスをすると、離れていった。

「さて、ラン。このドロドロなのも魅力なんだが、トマスの提案がさらに魅力的でな」
「ん、アーロン……」
「感じてるのか? すごい、ランのナカから俺たちが出したモノが流れ出てきてる」
「アーロン兄さん、おれがランを連れて行っていい?」
「おぅ、任せる」

 蘭の身体はアーロンとイバンに拭われ、ワンピースを着せられると、イバンが横抱きにした。

「自分で歩ける……!」
「たぶん、無理だよ。ラン、ずっと腰を振ってたから、足腰立たないと思うよ?」

 イバンは一度、蘭を床の上に立たせてみた。
 イバンが言うように腰に力が入らなくて、崩れ落ちそうになった。

「おっと。ほら、ね?」
「……三人の、意地悪」
「ランが気持ち良すぎるのがいけないんだ!」

 蘭も拒絶するどころか、むしろ、自ら誘っているのだからこれは仕方がない。

「じゃあ、食堂に行こう」

 食堂に行くと、すでに準備が終わっていたようだ。
 トマスもちょうど終わったところだったのか、炊事場から移動してきたところだったようだ。

「アーロン兄さん、座って」
「おう」
「ラン、縦抱きにするよ」

 アーロンが椅子に座り、イバンは蘭を抱いてその前に立った。蘭は縦抱きにされ、股を大きく開かされた。
 アーロンに腰を掴まれて、引き寄せられた。後ろにアーロン。
 蘭のナカに、アーロンが埋まっていく。

「ぁ、ぁ、ぁ」
「ちょっと調整するぞ」

 アーロンはそう言いながら、蘭の腰を左右に揺さぶった。奥の奥まで貫かれ、そうやって刺激されるとたまらない。蘭はなにかにしがみつきたいのに、前には──。いた、イバンがいた。
 だから蘭はがしり、とイバンに抱きついた。

「ラン?」

 イバンは驚いたようにランを見下ろしていたが、蘭はふるふると首を振った。

「ぁっ、気持ち、良すぎ、て」
「しがみつきたかった?」
「ん。ごめんね、イバン」
「謝ることないよ。でもこの役目は、トマス兄さんかな?」

 イバンの隣にトマスが立っていて、蘭が腕を伸ばすとイバンとトマスが入れ替わった。

「お昼は私が食べさせてあげます」

 アーロンがでは? と思ったけれど、よく考えてみれば、この体勢だと食べさせにくいのが分かった。

「ラン、口を開けて」
「ん。……んんっ?」

 スプーンが入ってくるのかと思っていたら、トマスに口を塞がれた。そして、舌と一緒に食べ物が入り込んで来たのが分かった。
 クチュクチュと舌を合わせて咀嚼する。口の端から流れるのは、イバンが舐め取ってくれる。

「っはぁ」
「どうですか?」
「ぁ、気持ち、い……」
「おや? 味が分からなかった?」
「ぁ、アーロンもトマスもイバンも美味しい、の」
「美味しいのなら、よかった」

 トマスはそう言いながらまた蘭の口を塞ぎ、食べさせていく。
 ときどきアーロンが蘭のナカを突き上げるので、その度に口が大きく開き、口からこぼれそうになる。
 あふれ出たモノはイバンが舐めてくれる。

 食事が終わったとき、蘭はもうぐったりしていた。

「ラン、ちょっと待ってろ。俺もすぐに食べる」

 アーロンにもたれかかり、蘭は甘い吐息を吐いていた。
 ご飯は美味しかったが、それよりもアーロンに突かれているのが気持ちいい。
 今もアーロンは器用にご飯を食べながら蘭の身体を撫でたり胸を揉んだり捏ねたり、たまに突き上げてきたりして、止まらない。

「アーロン……」
「なんだ?」
「気持ち、よくて、もぅ、とろとろ……」
「あぁ。ランのナカ、すっごい蕩けてるな」

 蘭はもう、アーロンとの境目が分からないほどナカが蕩けていると思った。だが、突かれるとその境目がくっきりとして、アーロンとは違う人間だと認識できて、それはそれで淋しい。

「一度、抜けるぞ」
「ぁ、ゃだ」
「やだと言っても、抱えて部屋には戻れないぞ」

 前にやってもらったけど、あれはアーロンにすごく負担がかかるのが分かったので、蘭は仕方がなくイバンに抱きかかえられてアーロンと別れた。

「蜜がすごいな」
「ぁ……」

 四人は真ん中の部屋に戻り、蘭はベッドに降ろされると、アーロンがすぐに埋め込んできた。

「それにしても、トマスが癒しの魔法をかけているとはいえ、俺たちも大概だな」
「この建物自体にもいろいろな魔法が施されていますから」

 そしてまた、アーロン、トマス、イバンの順で抱かれて、さすがに最後は気を失うようにして、眠りに就いた。

「そろそろ、ランのナカでおれたちの精子を結びつけるということに慣れてきたと思うんだけど」
「まだ数日です。結果はもう少し後にならないと分かりませんよ」
「でも、どうしてだろうな。すごく強い力を感じるんだが」
「それは私も感じています」
「おれも」
「妊娠、していると思いますか?」
「早いような気もするが、兆しはあるよな?」
「兆しというには小さなものですが、確かにありますね」

 男三人が黙ったところで室内の端に置かれた水晶から淡い音が鳴り始めた。イバンが近づき、対応する。

「分かりました。明日の朝から、ですね」

 イバンの確認の声に、アーロンとトマスは顔を見合わせた。
 通信が終わったイバンはすぐに二人のところに来て、口を開いた。

「大聖女の葬儀を明日の朝から行うと」
「具体的な時間は?」
「いつもどおりの感じでしょう?」
「うん、聖女が全員集まったところで始めると」

 それならば、とアーロンはトマスとイバンを見た。

「トマスは夕食の準備をするか?」
「えぇ。昼の片付けも済んでませんし、そちらを片付けてきます」
「イバンはランと俺たちの明日の準備を」
「りょーかい」
「俺はランの側にいる」

 それぞれの役割を振り分け、役目を果たすために散った。

 アーロンはベッドのうえで眠る蘭を見た。
 怖い夢でも見ているのか、眉間にシワが寄っていたので、アーロンは指先で眉間のシワをほぐした。
 手を離そうとしたら、蘭が無意識のうちに手を伸ばしてきたようなので、手を取った。

「ぅ……ん。待っ……て」

 なんの夢を見ているのか、蘭の寝言にアーロンは切なくなった。
 なにも淋しがることも、怖がることも、ここにいる限りはなにもない。
 それなのに──。

 そう思ったら抱きしめたくなってきて、アーロンは蘭の横に寝転がり、身体を抱きしめた。
 蘭からは甘い匂いが漂ってくる。アーロンはその甘い匂いを思いっきり吸い込み、それからゆっくりと息を吐いた。
 滾(たぎ)るものの中に、安らぎのようなものを感じ、アーロンは目を閉じた。
 目の前に、愛する人がいて、その温もりを感じることが出来る。
 幸せな、ひととき。

 蘭が目を覚ましたとき、目の前にアーロンの寝顔、後ろにだれかの気配があった。アーロンの腕の中で温もりに包まれていて、蘭は嬉しくなった。
 嬉しさを噛みしめていると、目の前のアーロンも起きたようだ。少し寝ぼけ眼な碧い瞳にキュンとする。

「アーロン、おはようございます」
「ん……。あぁ、ランの顔見てたら寝てしまったか」

 蘭の後ろの気配も、二人の声で目を覚ましたようだ。

「ラーンっ!」
「きゃっ!」

 後ろにいたのはどうやらイバンで、蘭の背後に抱きつかれた。

「ランの側にいると、なんか落ち着くというか、……寝るつもりはなかったんだけど、気がついたら寝てた」
「起きましたか、三人とも」

 ベッドの側にはトマスが立っていた。

「様子を見に来たら寝ていたので混ざろうかと思ったのですが、あまりにもかわいらしくて、ずっと眺めてました」

 楽しそうなトマスに、蘭は手招きした。

「ちょっとだけ、トマスも一緒にゴロゴロしよ?」

 蘭の誘いに、トマスは少しだけ苦笑して、それからベッドに上がってきた。が、寝転がる場所はあるが、蘭から遠くなる。

「……わたしの、上?」
「蘭の側はここしか空いていませんでしたから」

 トマスが取ったのは、蘭の上、だった。覆い被さるような体勢に、蘭はドキドキした。

「トマス?」
「はい?」
「それだと休めないよ?」
「大丈夫です、ランの顔を見ていたら充分に休めますから」
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