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第5話  やがて、慟哭という名の雨

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 雨が降っていた。
 年中、気まぐれのように雨の降るイギリスでは、今さら冬の雨など珍しくもない。
 だが、その日……。


 その日の午後、そぼ降る冷たい雨を弾き飛ばしそうなほどの歌声が、とあるスタジオの中に響いていた。

「Alice danced in the air. The red ruby broke like blood... Alice sang in the air. The blue sapphire broke like tears...」
(アリスは空に踊る、真っ赤なルビーを血のように散らし撒きながら……アリスは空に歌う、青いサファイアを涙のように散りばめながら……)

 世界的に有名なロックバンドのサイケデリックな名曲を、高音までよく響く声で熱唱している一人の少女がいる。
 力強いが決して粗野な声ではなく、優雅で不快さを微塵も感じさせない歌声。
 最初は戸惑うように始まった歌は、理解の範疇を超えたような歌詞をなぞるうちに人知を越えた光景を垣間見た衝撃のように、叫びにも似た絶唱へと昇華していった。
 手にしたエレキギターを掻き鳴らしながら揺れ動く身体と共に、金色の髪が波打っている。サファイアのような青い瞳は天井からのライトを浴び、歌と同じトパーズのような光を散りばめて輝いているように見えた。
 やがて少女が歌い終わると、カメラを向けていた男が手を上げて「お疲れさま」と声を掛けた。

「動画、綺麗に撮れたよ。ありがとう。悪いね、もう一度歌わせてしまって」
「いいえ、どういたしまして」

 金色の髪を横に揺らしてリアンゼルが微笑むと、男はカメラを携帯に接続した。そして、撮影したばかりの動画をデータにして送信すると電話を掛け始めた。
 壁際には他に三人の少女達が居たが、みなリアンゼルの歌声に圧倒されてしまったらしい。声もなく、ただ驚愕と感嘆の入り混じった眼をリアンゼルへ向けていた。
 リアンゼルがタオルで汗を拭き、床に置いたペットボトルのスティル・ウォーター(ミネラルウォーター)を飲んでいると、スタジオの隅で男が電話の相手と話している様子が眼に入った。
 男は身振り手振りで、何やらかなり激しいやり取りをしているように見える。リアンゼルは何気ない風を装って聞き耳を立てた。

「……じゃあこの娘の何が駄目だっていうんだ。コンセプトにピッタリじゃないか!」
「デファイアント・プロダクションの娘だ。所属は確かだし、まだデビューしていない。掘り出し物だぞ」

 しばらくの間、男は口論していたようだったが最後に「わかった。もういい!」と吐き捨てるように言って電話を切ると「分からず屋の石頭め!」と悪態をついた。
 リアンゼルの視線に気づくと、男は近寄って気の毒そうに話し始めた。

「すまない。是非君をとプロモーターに掛け合ったんだが……採用出来なかった」
「そうですか」

 リアンゼルはがっかりしたが、目の前で自分以上に悔しがっているプロデューサーを見て「都合があるのでしょう。気にしないで下さい」と笑いかけた。
 動画まで送って懸命に推してくれるほど自分を買ってくれたのだ。素直に嬉しかった。

「プロモーターはどうしても男性歌手でないと駄目だ、の一点張りだった。この企画にそれほど性別に拘る理由はないはずなんだがな」

 そう言って残念そうにリアンゼルを見ると、男は胸から名刺を二枚取り出して差し出した。

「一枚は君への敬意だ。もう一枚はマネージャーのミズ・ラーズリーに渡してくれ。後でメールでもお詫びを送るが、次回同じような企画があったら必ず君を推薦してオファーすると伝えてくれ」
「本当ですか? ありがとうございます!」

 リアンゼルは頬を紅潮させて礼を言った。

「今回は不採用でしたが嬉しかったです。次の機会には今日よりもっといい歌を歌ってみせますね」
「いい返事だ。その約束覚えておくよ。ありがとう」

 男の言葉へにこやかに笑みを返すとリアンゼルは「では、失礼します」と、スタジオから出て行った。
 壁際にいた少女達が寄り添いあって見送っていると、男が傍によって声を掛けた。

「君達も見習うといい。あの歌声は間違いなく並外れた努力で身につけたものだ。あれでまだデビューしてないとはな。おそらく“雷鳴メイナード”の秘蔵っ娘だろう」
「凄い娘ね。私と同じ年齢だなんて思えない」

 一人の少女が震える声でつぶやき、もう一人が「私……とてもかなわないわ」と、うなだれた。

「そういえば、一昨日オーディションに来た娘も凄かったな」

 男がつぶやくと、少女達は更に戦慄した。

「あ、あんな娘が他にもいたんですか!」
「ああ、こっちは純粋なイギリス人ではないと云う理由でプロモーターが落としたんだ。馬鹿な話だ。僕に権限があればどちらか……出来たら二人とも採用するのに」
「どんな娘だったんですか?」
「黒い髪をした日本人のハーフだ。激しいステップで踊りながらアンプ付きみたいな声量で最後まで息を切らさず歌ってのけた。発声とダンスを徹底的に鍛えたに違いない。それも透き通るような声で情熱的に歌うんだよ。あんな娘は今まで見たことないね」
「……」

 ぼう然となった少女達を振り返って、男は言った。

「おそらくあの娘達に共通しているのは、並外れた情熱を持っていること、血の滲むような練習を積み重ねたこと、この二つだ。君ら、リアンゼルのあの瞳を見たかい? プロの歌手だってあんな眼をしている奴はそうはいない」
「……」
「でも君達だって出来る。本気で夢を目指すなら、情熱があるなら。あの娘達のように努力すれば自然とあんな眼を持った歌姫になれるはずなんだ」

 肩を落としていた少女達は顔を見合わせた。
 その言葉に何かを気づかされたのだ。

「私達だって……」

 それまで顔を下に向けていた少女達はやがて拳を力強く握り締め、互いに頷き合うのだった。


**  **  **  **  **  **


 リアンゼルは、弾むような足取りで雨の中を帰途についていた。
 オーディション自体は不合格だったが、彼女の顔は輝いていた。歩く、というよりまるで空でも飛んでいるような気持ちだった。
 雨足は次第に激しさを増していたが、リアンゼルの耳には雨音がまるで拍手喝采のように聞こえた。雨に濡れる足許もいっそ快く感じられるくらいだった。
 次の機会にはオファーを約束してくれたのだ。

(もうすぐだ。もうすぐ自分の夢が叶う)

 あの小癪なエメルとにっくきデブオタを叩きのめす為に渇望していたプロ歌手としてのデビュー。それが、もう手の届くところまで来ている。
 デビューしたら、ヴィヴィアンに相談してブリティッシュ・アルティメット・シンガーのオーディションにもう一度出場させてもらおう。
 あの時の自分とはもう何もかもが違う。今度こそ優勝して、名実共にスターの仲間入り出来る。
 リアンゼルの胸は、勝利と明るい未来への期待に膨らんだ。

「ただいま。いま戻ったわ!」

 意気揚々とディファイアント・プロダクションへ帰社したリアンゼルは、玄関で守衛が眼を丸くしたので、自分がまるで凱旋将軍のような足取りだったことに初めて気がついて苦笑いした。
 それでもこの知らせを一刻も早く伝えたい、とオフィスルームへ彼女は一目散に向かった。
「ヴィヴィ。グッドニュースよ、聞いて!」とドアを開けると、デスクの前で何やら思い詰めていたヴィヴィアンは飛び上がった。

「おおリアン、ノックぐらいしてちょうだい。私、心臓が止まるかと思ったわ」

 胸を押さえた彼女は、驚いたにしては大袈裟なくらい顔が引き攣っていたが、興奮していたリアンゼルは、まだ何も気がつかなかった。

「ごめんなさい、でもあなたに早く聞かせたかったの」

 リアンゼルは嬉々として先ほど受けたオーディションの首尾を伝えた。

「今回は性別に拘るプロモーターの意向でどうしても駄目だったけど、次回はかならずオファーするって約束してくれたのよ!」
「そ、そう。凄いわね」
「もうすぐよ、もうすぐデビュー出来るわ。今だから言うけど、私ずっと実績が作れなくてヴィヴィに申し訳なかったの。でも、これであなたにやっと報いることが出来るわ」
「そんなことを気にしていたの?」
「ええ。でも、これからはどうぞ胸を張ってちょうだい。私もこれで自称天才を返上して名実共に天才って認めてもらえる。バーバラ先生にも報告出来るわ」

 手を打ち合わせて思いの丈を話し続けるリアンゼルは、目の前のヴィヴィアンが強張った顔で何かを言いたそうにしているのに気がつかずにいた。

「今度こそ、あのデブとエメルの二人組を私の実力で叩き潰してやるわ」
「……」

 リアンゼルの脳裏に、あの日受けた言葉が蘇った。

(オーディション落っこちてデビュー出来なかった負け犬風情が。咆える以外に貴様に何が出来る?)

 あの日受けた侮辱を彼女は片時も忘れたことはない。

「生きる世界が違うって……ウジ虫はウジ虫の世界へ帰って死ねって……言葉じゃなくて私の歌であいつらに思い知らせてやる!」

 顔を歪めて憎しみを滾らせるリアンゼルを見つめたヴィヴィアンは、思わず「醜い顔……リアン、それがあなたの本当の敵よ」と小さな声でつぶやいた。

「ヴィヴィ、何か言った?」
「ええ、リアン。あなたに書いて欲しいものと、伝えなきゃいけないことがあるの」

 いつもの快活なヴィヴィアンとは別人のようで声も震えている。リアンゼルはようやく彼女の顔が悪いことに気がついた。

「ヴィヴィ、一体どうしたの? 顔が真っ青じゃないの!」
「大丈夫。別に具合が悪い訳じゃないの……」
「嘘を言わないで。何かあったのね。そうでしょう?」

 リアンゼルはヴィヴィアンの両手を取った。

「ねえ、私ヴィヴィにはいっぱい苦労を掛けさせてしまった。でもこれからは何だって力になれるわ」

 言ってちょうだい、と心配して顔を寄せてくるリアンゼルは、さっきの憎悪に歪んだ顔とは別人のようだった。大切な人を思いやる、十六歳の少女らしい優しい顔をしている。
 この顔だ、とヴィヴィアンは思った。
 あの憎悪の歪んだ顔を秘めたままで歌姫にしてはいけない。
 いま自分に向けてくれる優しい心で歌って欲しい。それでこそアルティメットの名にふさわしい歌姫になれるはずなのだ。
 その為には……。
 ヴィヴィアンは、リアンゼルを見つめて頷いた。

「リアン。今回のオーディションね、もしあなたが合格しても私、辞退させるつもりでいたの」
「ど、どうして?」

 ヴィヴィアンは、一枚の書類を机の上に広げた。

「こっちがあなたにふさわしいから。このオーディションであなたにデビューして欲しいから」

 訝しげに書類を見たリアンゼルは、あっと声を上げた。

「ヴィヴィアン、それ……」

 彼女が思わず息を呑んだそれは……

『来年のオーディションには必ず優勝してスターになって見せるわ!』

「ブリテッシュ・アルティメット・シンガー」。
 年に一回開かれるイギリスで最も権威ある歌姫のオーディションの出場申込書だった。
 エリザベス女王陛下の御名を懸けて雪辱を宣誓した彼女にとって、それは権威以上の特別な意味を持っていた。

「リアン、私からの一生のお願い。この出場申込の欄にあなたの名前を書いてちょうだい」
「お願いなんかしなくていい。私の方が一生を懸けても出場させて欲しかったんだもの」
「じゃあ、書いてくれるのね」
「もちろんよ」

 リアンゼルはウィンクするとテーブルの前に座り、丁寧に自分のフルネームを記入した。
 ヴィヴィアンはそれをじっと見つめた。

「はい、書きあがったわ」
「ありがとう」

 ヴィヴィアンは書類を受け取って大切そうに封筒に入れ、胸に抱きしめた。

「リアンゼル。出場して必ず栄冠を手にしましょうね」
「ええ。でもどうしたの? 改まって」
「リアンゼル・コールフィールド。あなたに伝えなきゃいけないことがあるの」
「……」

 ヴィヴィアンは、リアンゼルを真っ直ぐ見つめて静かに言った。

「私、ヴィヴィアン・ラーズリーはディファイアント・プロダクションを解雇されたの。今日付で……」
「……え?」
「クビになったの」

 今度はリアンゼルが、真っ青になる番だった。

「嘘、嘘……何で……」
「……」
「私が、今まで何の成果も挙げられなかったから?」

 ヴィヴィアンは「違うのよ」と俯いたが、リアンゼルは唇を噛み締めた。
 時にはレッスンに付き添い、励ましたり、叱ったり、慰めたりしてくれた、姉同然のマネージャー。
文字通り二人三脚でここまで来たのだ。彼女なしで、ブリテッシュ・アルティメット・シンガーなどどうして受けられよう。リアンゼルにとって他人事どころではなく、生木を裂くような仕打ちだった。
 このままにしておくものか、と彼女は立ち上がった。

「私、メイナードに掛け合ってくるわ。止めても無駄よ。もうすぐ確実にデビュー出来るんですもの。私の将来を担保にしてあなたの身分を保証させてやる」
「その必要はないわ」
「私が必要あるの。一緒に今まで苦労してくれたヴィヴィ以外のマネージメントなんて絶対お断りよ」
「違うの」
「何が違うって言うの? 相手が雷鳴メイナードであろうと私、許すつもりはないわ」

 怒りに身を震わせるリアンゼルへ、ヴィヴィアンはささやくように告げた。
 それは、彼女が一番言いづらかったことだった。

「あなたもなの。リアンゼル・コールフィールド」
「え?」
「あなたも解雇されたのよ。このディファイアント・プロダクションからは、あなたではなく別の娘がブリテッシュ・アルティメット・シンガーに出場する」
「……」

 時が止まったようだった。
 信じられない言葉を聞いて、衝撃を受けた彼女は思わずよろめいて後ずさり、壁にぶつかってそのままズルズルと崩れ落ちた。
 ヴィヴィアンが慌てて駆け寄り、助け起こそうとした。

「大丈夫、私が無所属でブリテッシュ・アルティメット・シンガーに出場させてあげる。あなたのマネージャーですもの。もうここのスタジオやレッスンルームは使えないけどレンタルスタジオだってちゃんと当てはあるから練習の心配はしないで」
「……」
「後ろ盾がないくらいのこと、今のあなたにはハンディにもならないわ。ほら、あなたのライバルだってそうじゃないの。プロダクションに所属もせずに……」
「……」
「リアン、こんなことくらいであなたが負ける筈ないでしょう? 正真正銘の天才なんだから。ね、聞いて。これから……」

 懸命に言い募っていたヴィヴィアンの言葉が途切れた。
 リアンゼルの頬に、一筋の涙が流れていたのだ。
 人前で挫折した様子や涙など絶対に見せず、守り続けていた歌姫のプライド。それがプロダクションからの冷たい宣告を前にヒビ割れた瞬間だった。

「どうして……」
「リアン?」
「最初はちょっとの間だけ全力の本気を出して頑張るつもりだった。だけどどこからもオファーなんかなかった。天才だって私だけが自惚れていたんだもの。だから、アイツらを見返す為にも歯を食いしばって頑張ってきたのよ」

 リアンゼルは自分自身へつぶやくように独白した。

「ヴィヴィが応援してくれて、メイナード社長が期待してくれて、それに応えたかった。でも結果が出なかった……とうとう捨てられてしまったのね」
「違うわ、リアンゼル! お願い、聞いて。メイナードはそんな社長じゃない」
「じゃあ、何でここまで頑張ってきた私達を捨てるのよ! もう私には見込みがないからクビにして他の娘をアルティメット・シンガーのオーディションに出すってことじゃない!」
「リアン、落ち着いて聞いて。これには理由が……」

 ヴィヴィアンは必死に宥めようとしたが、激昂したリアンゼルには彼女の言葉など耳に入ってこなかった。
 差し出されたヴィヴィアンの手を「放っておいてよ!」と振り払うと、リアンゼルは泣きながらオフィスルームを飛び出した。
 ディファイアント・プロダクションの社屋から外へ走り出ると、一条の光も差し込まぬ無情の空が見えた。
 その空は彼女の今の気持ちそのものだった。
 虚ろな眼で見上げると、彼女は悄然として何処へともなく去っていった。
 傘もなく、沛然と降りしきる冷たい雨の中を……


**  **  **  **  **  **


 クリスマスを直前に控え、街中は賑わっていた。街路樹のプラタナスは色取り取りのイルミネーションで飾られ、陰鬱な天候を塗り替えそうなほど煌びやかだった。
 だが、降り出した雨は雪に変わるどころか次第に激しさを増していった。通りを行き交う人々は急かされるように足を速めてゆく。
 そんな人々の中をエメルはヨチヨチと歩いていた。大きな袋を抱えながら傘を差しているので前も足許もほとんど見えておらず、傍目には実に危なっかしい足取りである。
 なので、時折人にぶつかってはその度に「ご、ごめんなさい」と謝っていた。
 抱えているのは、デブオタへの贈り物だった。
 お礼らしいお礼を受け取らない彼へも、クリスマスプレゼントという名目なら何の遠慮もなく渡せる。
 購入したのは特大サイズのオーバーコートとブーツ靴だった。
 もう真冬だというのに、デブオタはペラペラのポリエステルジャケットを着ていた。それしかなかったのだ。寒さなど少しも防げないのに。靴はもっと酷かった。破れ目をテープで巻きつけて補修していたものを履いていたのだ。
 デブオタはそんな風体でも平気な顔をしていたが、エメルは見ていて涙が出そうだった。
 だからクリスマスには必ず靴とコートを彼にプレゼントしよう、と、彼女はずっと前から決めていたのである。
 折り良く、例のプロモーション映像の撮影が終わると、珍しくもデブオタは三日ほど休みにするとエメルに言い渡した。何やら用事があるのだという。
 かくして、エメルはプレゼントを購入する為に勇躍、街へと繰り出したのだった。
 靴はお洒落なメンズブーツだが、頑丈でそう簡単に綻びないと店員が薦めてくれたものを選んだ。高級そうなオーバーコートは焦げ茶色で裏地は温かなフリースになっている。どんな寒さでも防いでくれそうだった。
 値は張ったが、エメルにとって異性にクリスマスプレゼントを買ったのは生まれて初めての経験だった。店員に尋ねたりお勧めを聞いたりしているだけで、まるで自分が一人前の女性になったように思える。
 これを差し出したら、デブオタはどんな顔で受け取ってくれるだろう……照れる彼の姿を想像しただけで顔が綻んでしまうのを抑えられない。
 店員の心遣いでプレゼントは防水ビニールで包装されていた。それでもどこからか雨が漏って濡れてしまってはいけない、とエメルは不器用に袋を抱えて帰り道を急いだ。
 大通りを抜け、自分の住まいへの近道になる通りへ入ろうとしてエメルは立ち止まった。

「デイブ……」

 ついさっきまで脳裏に思い浮かべていた、そのデブオタが偶然そこにいたのだ。
 だが、何かいつもと様子が違っている。デブオタはあるビルに入ろうとしていて、守衛に止められていた。
 そこは企業がずらりと軒を連ねるビジネスビルの通りだった。大通りほど人は多くなかったがスーツ姿の男性の往来が目立ち、そんな中でデブオタはみすぼらしい格好から見咎めらたらしい。
 彼は、自分はここに用事があるのだと訴えているようだった。いつもの屹然とした顔はなく、どこか卑屈な様子で懸命に頼み込んでいた。
 だが、守衛は冷然と首を横に振り、立ち去れと言う様に彼の背後を指差すのだった。
 デブオタはしばらく必死に食い下がっていたが、守衛の態度は少しも変わらなかった。
 雨音と町のざわめきで、会話は聞こえない。
 悄然としたデブオタは、それでも諦めようとはしなかった。
 ビル内への立ち入りを拒まれたデブオタは、そこから少し離れた街路樹の下に立って誰かを待ち始めた。
 彼が用事があるというここは……? と、ビルを見上げたエメルは驚いて声を上げた。

「リバティーヴェル・レコード……!」

 広告を兼ねた巨大な社名の看板が掲げられている。イギリスに知らぬ人とてない大手のレコード会社だった。
 デブオタは、単身ここへ売り込みの営業をかけに来ていたのだ。
 エメルがぼう然としていると、街路樹の下にいたデブオタが突然弾かれたように動いた。ビルに向かっていた一人の男に走り寄る。そして頭を下げ、何か話し掛けた。
 どうやらデブオタは、この男にアポイントを取ろうとマークしていたらしい。
 男は長身で精悍そうな顔立ちに丸眼鏡を掛けていた。高そうなアルマーニのスーツを着込んでいる。おそらくプロデューサーか何か、音楽事業の要職に就いている男なのだろう。
 彼は、近寄ってきた物乞いのような風体の男に眉を顰めたが、それでも必死に話し掛けるデブオタの言葉に少しだけ耳を傾けた。
 だが、それだけだった。先ほどの守衛同様、首を振ってデブオタを拒絶すると、彼が渡そうとしたケース入りのDVDを受け取ろうともせず、回転ドア式になった玄関へ足早に向かう。
 エメルの耳に、後を追いながらデブオタが訴える「お願いです。一度でいいから観て下さい!」という叫び声が聞こえた。
 男のスーツの袖に取り縋ってなおも懇願しようとするデブオタは、慌てて駆け寄った守衛に引き剥がされてしまった。そのまま打っちゃるように放り出され、雨に濡れた地べたに転がって泥だらけになってしまった。
 男は、地面に這いつくばったデブオタへ冷ややかな視線を投げると声を荒げて言い放った。

「いい加減にしろ! 貴様のように、あやしい歌手を売り込みに来る奴は毎日ごまんといるんだ。そんな連中にいちいち打てあってられるか。失せろ!」

 その声を聞いたときだった。
 雨と泥に塗れて這いつくばっていたデブオタは、キッと顔を上げて叫んだ。

「あやしい歌手だと? よくも言ったな。エメルは違う、絶対に違う!」

 エメルはその言葉に、まるで落雷に身体を貫かれたような思いがした。

「いいか、その言葉を覚えていろ! 必ず後悔させてやる!」

 だが、男はそんなデブオタの叫びに聞く耳などないとばかりに回転ドアを回して社屋の中へさっさと入った。守衛も雨の吹き込まない玄関の定位置へと戻った。そこからデブオタが社屋に一歩でも立ち入らぬよう油断なく眼を光らせている。
 デブオタは、のろのろと立ち上がった。放り出された拍子に地面に転がり出て泥だらけのDVDを黙って拾う。
 ずぶ濡れのバンダナを絞って泥を丁寧にふき取るとケースに納め、リュックサックにしまうと、彼はその場から離れていった。
 一部始終を見ていたエメルは、胸が張り裂けそうだった。
 だが、打ちひしがれてトボトボと歩きだすデブオタに、どんな言葉が掛けられよう。
 彼女は、今にも泣き出しそうな顔でオロオロしながら後を付いて行くしかなかった。
 俯いて濡れ鼠になって雨の中を歩くデブオタは、自分の背後から見え隠れに付いて来るエメルのことなど気づきもしない。
 だから、路地裏のような曲がり角から同じように俯いて飛び出してきた少女にも気がつくはずもなかった。
 あっという間の出来事だった。
 エメルが危ないと言う前に二人は衝突してしまった。デブオタは尻餅をつき、少女はデブオタに跳ね飛ばされクルクルッともんどりうって倒れた。

「イテテ、大丈夫? 前よく見てなかった。ごめ……」
「いたた……こちらこそ、ちゃんと見てなかったの。ごめんなさ……」

 互いに涙声だったのとどこか聞き覚えのある声に、二人は顔を見合わせ、そして言葉を失った。
 泥だらけのデブオタの前でうずくまっていたのは、涙で顔をグシャグシャにしたリアンゼルだった。

「……」
「……」

 しばらくの間凍りついたように二人は動かなかったが、雨の中で最初に口を開いたのはリアンゼルだった。

「何でアンタがこんなところに……」

 デブオタは言い返そうと思って口を開いたが、言葉が出てこなかった。
 俯いたデブオタの向こうを見やったリアンゼルは、彼の背後に聳え立つリバティーヴェル・レコードのビルを見てすぐに察した。惨めな彼の様子に、その顛末も。
 だが、いつものように悪罵を口から発することが出来なかった。
 彼女は今、彼と同じだった。何もなかった。
 オーディションに合格したこともなく、CDで曲を発表もしていない。テレビに登場したこともない。ファンすらまだ一人もいない。それどころか、後ろ盾のプロダクションもなくした。歌姫になれる見込みなどもうないと捨てられて。
 今のこの自分が、彼の何を笑えるのだろう。
 唇を震わせたまま言葉のないリアンゼルを見たデブオタは、無言で自分を侮辱しているのだと思った。

「何だよ。こんなザマを笑って悦に浸りたいのか」

 ずっと堪えていたのだろう。声を振り絞って、デブオタは彼女へ自分の思いのたけを叩きつけた。

「……努力だけじゃ何もならねえのかよ! ゴミみたいな奴はどんなに頑張っても夢に手をかけるのも許さねえのかよ!」

 濡れたその頬を雨が叩くように打ちつける。
 今まで幾度となく裏切られ、見下され、搾取され、黙って耐えてきた男の、それは怒りと悲しみの叫びだった。

「聞く耳なんかねえ、光の当たる場所には立ち入るな、いつまでもゴミ溜めではいつくばってろって言うのか、笑われて見下される為に! ふざけんな、ふざけんな!」

 離れた場所に立ち尽くしていたエメルの手から、彼に贈るつもりだったクリスマスプレゼントが零れ落ち、地面に転がった。
 今まで自分を導いてくれたデブオタの、本当の悲しみと怒りに初めて触れたのだ。

 ――悲しい人や傷ついた人を歌で抱きしめてあげる……そんな優しい歌手になってくれ

 あの日、公園でデブオタが言った言葉が思い浮かぶ。エメルはぎゅっと眼をつぶって胸元をきつく手で掴んだ。
 リアンゼルも顔を背けていた。
 彼女の心にも彼と同じ悲しみや怒りが溢れていたのだ。
 だが心の琴線に触れてもなお、ひび割れた彼女のプライドは自分を侮辱したデブオタに共感することを許さなかった。
 リアンゼルは吐き捨てるように言った。

「そうよ。あんたなんか、底辺のゴミ溜めで永遠に這いつくばっていれば……」

 エメルの頭に、かあっと血が上った。
 次の瞬間、我を忘れた彼女はリアンゼルの前に躍り出し、最後まで言わせなかった。

「デイブをバカにするなぁぁぁぁっ!」

 泣きながら叫んだエメルは、リアンゼルの頬を思い切り引っ叩いた。
 横ざまに叩かれて地べたに転がったリアンゼルは、一瞬何が起きたのか分からなかったが、相手がエメルだと知ると「こいつ、エメルのくせに!」と、猛然と掴みかかった。
 だが、かつての虐められっ子は怯えるどころか怒りに歯をむき出して飛び掛かってきた。デブオタを侮辱したことが何よりも許せなかったのだ。
 さっきのお返しとばかりにリアンゼルがエメルの頬を殴りつけると、エメルは殴ったコブシを掴んで指に噛み付いた。
 離せとばかりにこめかみをしたたかに打ち据えられエメルはのけぞったが、負けじと彼女の顔に拳固を叩き付ける。リアンゼルの鼻から血が噴き出した。

「ウジ虫エメル! 私に楯突くなんて、殺してやる!」
「よくもデイブをバカにしたわね! 絶対許さない!」

 雨の中を二人の少女は掴み合い、殴り合った。互いの髪をむしり、爪を立て、泣き叫ぶ。
 どれぐらいそうやって傷つけあっただろう。ずぶ濡れになり、土にまみれ……やがて体力も尽き果てて二人は跪いた。
 それでもしばらくの間、憎悪の視線を向け合い火花を散らしていたが、先に立ち上がったのはリアンゼルの方だった。
 睨みつけるエメルへ泥と血の入り混じった唾を吐くと「覚えてなさい! 潰してやる……絶対このままじゃすまさないから……」と、捨て台詞を投げつけ、足を引きずるようにしてよろよろと立ち去った。
 半ば、ぼう然となってリアンゼルを見送っていたエメルは、差し掛けられた傘と、頬を拭うバンダナの感触でふいに我に返った。

「デイブ……」
「エメル、ナイスファイト」

 滲んだ血と泥をふき取ったデブオタの顔は僅かに苦笑じみていたが、それは虚ろな表情に取って代わり、エメルはたじろいだ。

「オレ様がドブ板営業しているところ、見てたのか」
「……」

 エメルが黙って頷くと、デブオタはややあって「何で見てしまったんだ」と咎めた。
 その声は、怒っているというよりむしろ悲しげだった。

「こんな惨めな有様を見たかったのか?」
「……ごめんなさい。でも見かけたのは偶然なの」

 デブオタは俯いたまま、つぶやくように言った。

「エメルはこんな惨めな一部始終を見ても、今までのように歌えるのか?」
「デイブ……」
「見せたくなかった。オレ様は、エメルには明るい希望だけを持って歌手になってほしかったんだ」

 デブオタは、うずくまったままのエメルに傘を握らせると雨の中を立ち上がった。
 まるで降りしきる冷たい冬の雨に奪いつくされたように彼の声も表情も生気がない。いつもの豪快で陽気な姿とは別人のようで、エメルは声を失った。

「みじめな思いをするのは、オレ様だけでよかったのに……」

 デブオタは肩を落としたまま、エメルに背を向けた。

「もう、おしまいだ」
「デイブ……」

 呼びかけた声に応えはなかった。雨音に消されて彼の耳に届かなかったのだろうか。デブオタは、俯いたままエメルに背を向け、とぼとぼと歩き出した。
「待って」と差し伸べた手に気がつくこともなく、彼は雨の向こうへと悄然と立ち去ってゆく。
 エメルは、動けなかった。それ以上、彼の後を追うことが出来なかった。
 ややあってようやく立ちあがった彼女は、のろのろと周囲を見回した。
 もう、リアンゼルもデブオタの姿もそこにはない。視界の端で土に汚れたビニール袋が転がっていた。
 デブオタの為に買ったクリスマスプレゼントを黙って拾うと、エメルは手の甲で涙を拭った。


 雨が降っていた。
 年中、気まぐれのように雨の降るイギリスでは冬の雨など珍しくもない。
 だがその日。
 慟哭という名の雨はそれぞれの心を冷たく打ちのめし、そして……


**  **  **  **  **  **


 雨は激しく降り続いていた。
 行き交う人々も疎らになった通りの中を今、よろばうように歩いている一人の少女がいる。
 失くしたのか失意のうちにどこかへ捨てたのか、傘もなく、ずぶ濡れのままで服も泥だらけ。物乞いかと見紛うほど汚れた身なりで、通り過ぎる人の好奇な眼に晒されていた。
 だが、何もかも汚れ、みすぼらしい中で眼だけが違っている。
 その瞳はまるで炎が燃え盛っているようだ。
 プロダクションに見捨てられ野良犬のようになって、しまいには似た者同士醜い掴みあいまでして。
 とうとうこんなに落ちぶれてしまった……と、リアンゼルは思った。
 それでも、負けるものかという闘志が消えることはなかった。
 それだけが、彼女をいま、熱く支えていたのである。

(笑いたい奴は幾らでも笑うがいい。降りたければ幾らでも降れ)

 彼女は行き交う人々の視線を受けるたびに睨み返す。侮蔑じみた視線を投げかけた人々に彼女の鋭い視線を真っ向から受け止められる者はいなかった。皆、決まり悪そうに顔をそむけ、逃げるように視界の外へと消えてゆく。
 彼女の情熱を煽るように雨足は強まり、彼女の身体を叩いた。

(土砂降りに打たれて、もっともっと強くなってやる)

 涙は冬の冷たい雨に紛れ、彼女が泣いていることに気がついた者は誰もいなかった。

「In the night downtown that fell silent, I loiter around for a fight. Take one's way of life」
(静まり返った街中で、私は戦いを求めさまよう。己の生き様を懸けて)

 雨の中、だしぬけに歌い出したリアンゼルへ、周囲の人々は気でも触れたのかという眼を向けた。
 だがリアンゼルはそんな視線をものともせず、大声を張り上げてマクスウェル・セバスティアンの「孤独な偏狂者」を歌い始めた。

「In this world, there is nobody including the thing to know including my truth. It is said that it is the woman who was out of order」
(この世界に、私の真実など知るものなど誰もいない。イカレた奴だと人は指をさす)
「I begin to dance looking for my truth」
(私は自分の真実を探して踊りはじめる)
「I exclaim in the dark world. The cry is not a word」
(闇の世界に溶け込んで、言葉にならない叫びをあげながら)

 光の差し込まぬ雨空に、炎立つような叫びが歌となって響いてゆく。打ち捨てられた痛憤を天へ訴えるように。
 人々はひとときの間、呆れたような眼を向けた。
 だが、雨に打たれて歌い続ける歌姫の歌声は打ち付ける天の礫に怯むことなく、さらに深く鋭くなってゆく。
 笑うことの出来ないほどの真剣な想いを感じ始めた彼等の顔から、次第に侮蔑の色が消えていった。

「Flame blazes with my soul. It will chop the heart of the person seeing it like a blade sometime」
(私の魂の炎が燃える。それはいつか刃のように見る人の心を切り刻むだろう)
「The flame will destroy the world of somebody sometime」
(その炎はいつか、誰かの世界を滅ぼすだろう)

 激しい雨の中、離れた場所で行き交う人々が一人また一人と立ち止まってゆく。
 それまで傍観者だった彼等は、次第に観客へと変わっていった。
 だが、そんな人々など気に留めることなくリアンゼルは雨の中、歌い続ける。
 観客の中に、ヴィヴィアンがいた。彼女は激しい雨の中を駆け回り、探し続け、ようやく見つけたのだった。彼女の膝から下は雨で濡れそぼっている。撥ね付いた泥で靴もタイツもスカートも汚れきっていた。
 彼女は歌い終えたリアンゼルに差しかける為の傘を捧げ、従者のようにひっそりと佇んでいる。

「I continue dancing. I demand nobody's sympathy in night」
(闇の中で私は踊り続ける。誰の共感も求めないわ)
「I continue crying. I demand nobody's pity in night」
(闇の中で私は叫び続ける。誰の哀れみも求めないわ)
「I continue dancing. I demand nobody's sympathy in night!」
(闇の中で私は踊り続ける。誰の共感も求めるものか!)
「I continue crying. I demand nobody's pity in night!」
(闇の中で私は叫び続ける。誰の哀れみも求めるものか!)

 雨に打たれる中、彼女の激唱は悲しくも美しく、そして雄々しかった。
 瞳から零れた涙を袖で拭うと、ヴィヴィアンは愛する歌姫の激情が鎮まるのをじっと待ち続けた。
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