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閑話 残された者達②
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時は少し遡り、祐紀也達の病室が沈黙に包まれている頃
遠く離れた関西【大阪】某所にて
「辰起が事故ったァ!?」
仲間からの報告を受けた一人の男が、それまで座っていた椅子代わりの一斗缶を倒しながら報告をしてくれたその仲間へと詰め寄る
短い黒髪に猫のようにくりくりとした目を困惑の色に染めて見開き、背の低く細い見た目からは信じられないような力で仲間の肩を揺さぶった
「落ち着きやい俊
…まだ続きがあんねんな?話してみぃ」
「み、雅…」
珍しく取り乱した俊と呼んだ男を宥め、もう一人の男、雅は目の覚めるような銀髪を靡かせ、つり目をしかめながらタバコを咥えて冷静にその仲間へ促した
「あ、あぁ、向こうのツレが見た~言うとって…
ほら、辰起君シビック降りたやろ?
せやから当日は新しく納車した車やったらしいねんけど」
「EGな、あそこまで手ェ入れとったのに売らんで廃車やったもんな
もったいのぅ思っとったで…」
どうやらあの日峠にいた面子の中に知り合いがいたらしい男は、過去の車の時以来交流がなくなってしまった俊と雅に当日は別の車だったらしいことを伝える
「で?事故った時は何乗っとったねん」
「Zや、フェアレディZ
それも一番初期のS30ってやつや」
「…初期のZか、あいつ欲しがっとったもんなぁ」
やはり車好きとして友人の新しい車が気になったのか、その時乗っていた車は何かと俊が聞き、男が答えるとその答えに納得したかのように俊は顔を俯かせた
特に当時仲の良かった俊は辰起から「いつかはサンマルのZが欲しい」とよく聞かされていたのを思い出したのだ
「そういや、雅くん親戚のお兄さんの知り合いで乗ってる人おらんかった?
サンマルのZ…」
「あぁ…達也サンって人が乗っとったわ
真っ赤なやつ」
そして雅は自分の知り合いに実際乗ってる者がいたのを思い出しては小さく息を溢す
「2.8改3.2Lで300馬力って言うとったかな
乗せてもろた事あるけど、あの型のZはバランス悪ィからまっすぐ走らすのもムズいねん」
「スーパーロングノーズにショートデッキやからなぁ
比べてテールは切り落としたかのような形状
昔やから通じたスタイルやけど、現行型と比べればちょっとアクセル開けただけでケツ振りダンスやろ」
事実として、本来のZについて雅は他の仲間に語る
俊も思うところはあったようで自分の意見ではあるがその性能は現行型には絶対に勝てる性能ではないと見た目でわかるためにそう述べた
現行Z34と比べて五つ前の初代Z、それはもう半世紀も前の個体になる
車にとっての50年の間はとてつもなく長い、一説に車の世代は20年で一つのサイクルが終わるとされており
20年の間が空いた車は同じ技量、同じチューニング、同じ金の掛け方なら逆立ちをしても現行型に勝てないと言われている
「見てくれはエエけどの…、現行を普通の車の精度とするならあんなのプロが作ったプラモデルが精々や」
「まぁ、現実で漫画みたいには走れへんしなぁ」
「それそれ」
三人は言いながら顔を見合わせると少しだけ笑った
「…ほな、明日もみんな早いやろ?
そろそろお開きにしよか」
「あー、俺は明日休むで
帰りしなにでも祐紀也のおる病院に顔出しにいくわ」
「了解、気ィ着けて行きやい
…ほな解散」
そして本日の集まりはお開きにすると、それぞれがそれぞれの愛車に向かっていく
雅は茶色のグランドシビックへ、俊はオレンジのKP61スターレットへ
そして最後の男は黒いS13のシルビアへ乗り込みそれぞれがエンジンを始動させていく
キョカッガボォッ_!
「お疲れ~」
「おぅ」
他二台とは離れ、オレンジ色のスターレットに乗った俊は関東方面へ進路を取る
ブォオァァァッキューン!
アクセルを軽く踏み込み、ギアをひとつ上げるとターボ特有のゲロゲロ音の混じった低音とブローオフバルブの弾ける音が車内に入ってきた
「…途中愛知辺りでガス入れんとな…これじゃ持たんで……」
当時としては良かった燃費のスターレットであるが、現代の車で考えればリッター換算で半分程度しか走れない
加えてそれはノーマルの話で俊のKP61にはEP82のターボエンジンをフルチューンした状態で搭載されていた
当然その分燃費は極悪であり全開にすればリッター5㎞も走れないだろう
(けど、燃料はまだ気にしなくてもエエな
…向こうに着くまでの時間を考えると……)
頭の中で現在地から祐紀也のいる病院までの距離を計算し、小さく息を吐いてからポケットの携帯を取り出す
「…あ、もしもし
俺や、俊や…祐紀也病院おるやろ?
辰起の件で聞きたいことあるし今から向かうわ」
電話帳からお目当ての人物を探し、電話をかけるとそれだけ言って一方的に電話を切る
向こうから返答が来ようが車内がうるさすぎて会話が困難であり、意味がない為である
「さぁて、…久々やなぁ関東も」
口元に緩やかな笑みを浮かべながら足に力を込めるとレッドゾーンへタコメーターは吸い込まれていき
まるで点と点を結び合わせるように俊のKP61は狂ったような加速を始めるのだった
◆
「楸さん…こっち向かってきてるみてぇよ?」
「うわっ…マジで?
なんて言えば良いのよ楸に…」
所変わって関東某所の病院、弟からの言葉に病室のベッドに横たわっていた祐紀也は頭を抱えた
「てかアイツ大阪の人間だろ?」
「それほど心配ってことなんだろうね」
いや、まぁそうなんだろうけど…と言いかけてやめる
なんだかんだ遠方から心配して来てくれる友人というのは嬉しいものなのだ
「…もうそろそろ面会終わりの時間だから帰るよ」
ふと時計を見ていた真希がそろそろ面会の終了時刻だと言うことに気付き、そう言って準備を始める
祐紀也の弟も小さく息を吐くと身支度を始める
「また明日来るからさ」
「おー…」
そして準備を終えた弟が祐紀也へそう言うと祐紀也は軽く返事して片手だけ上げ
ベッドへ身を預ける
扉を閉める音と徐々に遠くなっていく足音が
夜の静寂に包まれた病院に木霊したのもつかの間
階段を降りたのかその音も聞こえなくなった
バァアアア…
「おーおー、迷惑な音だな本当」
静かな為に来たときはまだ許容出来ていた真希のシビックの音に若干表情を引きずらせながら
遠退いていくエキゾーストに耳を傾けため息を一つ
「……暇になったな」
もう祐紀也自身に予定など無いが、今はまだ寝れそうにもなかった
(どうせ大阪からじゃ楸の野郎がくるのも明日…か
……屋上にでも行ってみるかね)
ベッドの手すりに手をかけ身体を起き上がらせて背伸びをする、事故の衝撃がまだ残っているせいか身体のあちこちが痛むが
脳信号の送ってくるその痛みには無視を決め込みゆっくりと床へ立つ
(静かなもんだな…夜の病院ってのは)
見舞いの袋の中に入っていた新箱のタバコの封を切って、見慣れた銘柄のタバコを口に加えてこれまた一緒に入っていた新品のライターで火をつける
「オノレ病人やろが」
「…んだよ、来てたのか?もっと早く声かけろよ」
いつの間に来ていたのだろうか、屋上の出入口付近にたたずむ男へ苦笑いを浮かべ
タバコの煙を燻らせた
「事故ったって聞いたもんでの」
「っても早すぎだろ、電話から三時間ちょっとくらいか?」
「アホか、俺やぞ?200キロ巡航クルージングじゃい」
苦笑いを浮かべた祐紀也へ、安否の確認だから飛ばしもすると悪びれもなく言ったその男____『俊』は
それにしても早すぎると言った祐紀也へとんでも事実をぶちまけた
「警察大丈夫だったか?」
「5~6回くらい追われたけどの
誰やと思てんねん?ぶっちやぶっち!!」
ガハハと笑い飛ばす俊になぜだか頭が痛くなってきた祐紀也は大きくため息を吐きながら自身の額を軽く撫でるのだった
______◆
あとがき
お ま た せ (二回目)
前回の投稿からだいぶ間が空いてしまいました
前に言っていた辰起と同じ型のシビックを買うと言った件で、実は合宿先にて購入個体を決めてありました
そして※4月19日ようやく免許が取れるぞと免許センターに勇んで行ったものの緊急事態宣言発令で一律業務の中止(出発前に調べたらホームページにマスク必須、アルコール消毒を必ずやれば受けられると書いてあったのにorz)
※色んな過去の黒歴史があり、私は誕生日は7月ですが免許の解禁は4月19日でした※
仕方なく欲しい個体の売ってるお店に連絡したところ、社長さんから「こんなご時世なんで仕方ないですよ!」の言葉に感謝し
翌々月6月1日に無事免許を取得致しました!
……実はこのままそのシビックを納車していればいい話で終わり、また6月中には続きを投稿できていたでしょう…ええ
実はそんな風に終わらないのが私でして、私は本当に運無いんです
それこそ毎年厄年かってくらい運がありません
ではここから先は簡潔に、何故投稿が遅くなったかの理由を述べていきます
6月一杯まで休みだった筈の学校が5月20日の緊急事態宣言解除を受け、5月27日から授業が始まりました
本当は5月27日に免許センターへ行きたかったのに急に予定が代わり、ゆっくり組んでいたスケジュールの前倒しを開始
この時シビックのお店へ購入の意思はまだありますと連絡(既読だけつく)
6月2日再び学業スタート、コロ ナ禍で授業できなかった2ヶ月を取り戻すため1日8時間授業になる
このころ同時に親に拝み倒してバイトがしばらく出来そうに無いからシビックのローンを親名義で組ませてくれとお願いする
6月10日程にようやく親からの許可が降りたがために近いうちお店に伺いますとシビックのあるお店の社長へ連絡、しかし繋がらず
その後6月11日、12日に社長に連絡
しかし繋がらず
12日昼と13日は昼から業務終了の18時まで一時間に一本の間隔を開けて電話
どれも繋がらず
痺れを切らして14日、地元から片道270㎞かけてシビックのお店へ
ようやく電話が繋がるも併設されている土木担当の人
事務員はお休み、車だけ見させてもらって帰る
月曜日が休みだったため16日に電話、繋がらず
17日夕方5時、ようやく電話が繋がるもすでにシビックは売れたとのこと
一瞬時が止まる、社長に直接繋げて欲しいと言いましたがどうやら入院中
「中古車は早い者勝ち」と言われましたが1月後半から欲しいと言っていた買い手なんて私くらいですよ(笑)
まぁそれはさておき、そこから何度連絡しても社長には繋がらず、店の人と連絡をして折り返しを期待してもダメ
そしてようやく繋がったのが二週間後のことでした(お店に電話番号まで貼ったメールを打ったのに音沙汰無し)
しかもようやく繋がったのも私が自分から掛けて、社長は普通に店にいたようです(あれ?私無視されてた?)
そこから30分程話して一応和解のようなものはしたのですがモチベなんてある筈もなく
また向こうは頭金まで払ってたからと結局諦める形に(モチベが死んだ瞬間)
電話を切る直前に社長から「こういう車探すの得意なんで、今回は申し訳ありませんがよかったら…」的なことを言われましたがもうそのお店に頼む気もなく
もともとそのお店で翌々ダメだったらでキープしていた個体があったのでそちらを買うと言ってようやく一段落つきました
……もうね、自分の体質は呪われてるとしか思えない(笑)
それから色々あって、そのシビックを見に往復1400キロの旅に出たりとかあったのですがそちらは割愛し、足りないパーツに頭を悩ませたり学校があったりで中々執筆する時間が取れませんでした。
一応短い夏休みも既に終わってしまいましたが、そろそろシビックも納車できる段階になり
モチベが上がってきたのでまた筆を取りました
私の人生は挫折と苦行の連続です、いやむしろそれくらいしか無いかもしれません
でもそんな中でもこんな作品が生まれてきたりとか、この話いいなって思えていただける作品はかけるのでは無いかと模索してきました(ある1作品を除いて泣かずとばすでしたが(汗))
そんな作品達です、つまらないと私自身が思った話しはひとつもありません
時間はかかると思いますがどうかこの物語が完結するその時まで
私のエゴにお付き合いください
それではあとがき兼近況報告を終わりにします。
______◆
遠く離れた関西【大阪】某所にて
「辰起が事故ったァ!?」
仲間からの報告を受けた一人の男が、それまで座っていた椅子代わりの一斗缶を倒しながら報告をしてくれたその仲間へと詰め寄る
短い黒髪に猫のようにくりくりとした目を困惑の色に染めて見開き、背の低く細い見た目からは信じられないような力で仲間の肩を揺さぶった
「落ち着きやい俊
…まだ続きがあんねんな?話してみぃ」
「み、雅…」
珍しく取り乱した俊と呼んだ男を宥め、もう一人の男、雅は目の覚めるような銀髪を靡かせ、つり目をしかめながらタバコを咥えて冷静にその仲間へ促した
「あ、あぁ、向こうのツレが見た~言うとって…
ほら、辰起君シビック降りたやろ?
せやから当日は新しく納車した車やったらしいねんけど」
「EGな、あそこまで手ェ入れとったのに売らんで廃車やったもんな
もったいのぅ思っとったで…」
どうやらあの日峠にいた面子の中に知り合いがいたらしい男は、過去の車の時以来交流がなくなってしまった俊と雅に当日は別の車だったらしいことを伝える
「で?事故った時は何乗っとったねん」
「Zや、フェアレディZ
それも一番初期のS30ってやつや」
「…初期のZか、あいつ欲しがっとったもんなぁ」
やはり車好きとして友人の新しい車が気になったのか、その時乗っていた車は何かと俊が聞き、男が答えるとその答えに納得したかのように俊は顔を俯かせた
特に当時仲の良かった俊は辰起から「いつかはサンマルのZが欲しい」とよく聞かされていたのを思い出したのだ
「そういや、雅くん親戚のお兄さんの知り合いで乗ってる人おらんかった?
サンマルのZ…」
「あぁ…達也サンって人が乗っとったわ
真っ赤なやつ」
そして雅は自分の知り合いに実際乗ってる者がいたのを思い出しては小さく息を溢す
「2.8改3.2Lで300馬力って言うとったかな
乗せてもろた事あるけど、あの型のZはバランス悪ィからまっすぐ走らすのもムズいねん」
「スーパーロングノーズにショートデッキやからなぁ
比べてテールは切り落としたかのような形状
昔やから通じたスタイルやけど、現行型と比べればちょっとアクセル開けただけでケツ振りダンスやろ」
事実として、本来のZについて雅は他の仲間に語る
俊も思うところはあったようで自分の意見ではあるがその性能は現行型には絶対に勝てる性能ではないと見た目でわかるためにそう述べた
現行Z34と比べて五つ前の初代Z、それはもう半世紀も前の個体になる
車にとっての50年の間はとてつもなく長い、一説に車の世代は20年で一つのサイクルが終わるとされており
20年の間が空いた車は同じ技量、同じチューニング、同じ金の掛け方なら逆立ちをしても現行型に勝てないと言われている
「見てくれはエエけどの…、現行を普通の車の精度とするならあんなのプロが作ったプラモデルが精々や」
「まぁ、現実で漫画みたいには走れへんしなぁ」
「それそれ」
三人は言いながら顔を見合わせると少しだけ笑った
「…ほな、明日もみんな早いやろ?
そろそろお開きにしよか」
「あー、俺は明日休むで
帰りしなにでも祐紀也のおる病院に顔出しにいくわ」
「了解、気ィ着けて行きやい
…ほな解散」
そして本日の集まりはお開きにすると、それぞれがそれぞれの愛車に向かっていく
雅は茶色のグランドシビックへ、俊はオレンジのKP61スターレットへ
そして最後の男は黒いS13のシルビアへ乗り込みそれぞれがエンジンを始動させていく
キョカッガボォッ_!
「お疲れ~」
「おぅ」
他二台とは離れ、オレンジ色のスターレットに乗った俊は関東方面へ進路を取る
ブォオァァァッキューン!
アクセルを軽く踏み込み、ギアをひとつ上げるとターボ特有のゲロゲロ音の混じった低音とブローオフバルブの弾ける音が車内に入ってきた
「…途中愛知辺りでガス入れんとな…これじゃ持たんで……」
当時としては良かった燃費のスターレットであるが、現代の車で考えればリッター換算で半分程度しか走れない
加えてそれはノーマルの話で俊のKP61にはEP82のターボエンジンをフルチューンした状態で搭載されていた
当然その分燃費は極悪であり全開にすればリッター5㎞も走れないだろう
(けど、燃料はまだ気にしなくてもエエな
…向こうに着くまでの時間を考えると……)
頭の中で現在地から祐紀也のいる病院までの距離を計算し、小さく息を吐いてからポケットの携帯を取り出す
「…あ、もしもし
俺や、俊や…祐紀也病院おるやろ?
辰起の件で聞きたいことあるし今から向かうわ」
電話帳からお目当ての人物を探し、電話をかけるとそれだけ言って一方的に電話を切る
向こうから返答が来ようが車内がうるさすぎて会話が困難であり、意味がない為である
「さぁて、…久々やなぁ関東も」
口元に緩やかな笑みを浮かべながら足に力を込めるとレッドゾーンへタコメーターは吸い込まれていき
まるで点と点を結び合わせるように俊のKP61は狂ったような加速を始めるのだった
◆
「楸さん…こっち向かってきてるみてぇよ?」
「うわっ…マジで?
なんて言えば良いのよ楸に…」
所変わって関東某所の病院、弟からの言葉に病室のベッドに横たわっていた祐紀也は頭を抱えた
「てかアイツ大阪の人間だろ?」
「それほど心配ってことなんだろうね」
いや、まぁそうなんだろうけど…と言いかけてやめる
なんだかんだ遠方から心配して来てくれる友人というのは嬉しいものなのだ
「…もうそろそろ面会終わりの時間だから帰るよ」
ふと時計を見ていた真希がそろそろ面会の終了時刻だと言うことに気付き、そう言って準備を始める
祐紀也の弟も小さく息を吐くと身支度を始める
「また明日来るからさ」
「おー…」
そして準備を終えた弟が祐紀也へそう言うと祐紀也は軽く返事して片手だけ上げ
ベッドへ身を預ける
扉を閉める音と徐々に遠くなっていく足音が
夜の静寂に包まれた病院に木霊したのもつかの間
階段を降りたのかその音も聞こえなくなった
バァアアア…
「おーおー、迷惑な音だな本当」
静かな為に来たときはまだ許容出来ていた真希のシビックの音に若干表情を引きずらせながら
遠退いていくエキゾーストに耳を傾けため息を一つ
「……暇になったな」
もう祐紀也自身に予定など無いが、今はまだ寝れそうにもなかった
(どうせ大阪からじゃ楸の野郎がくるのも明日…か
……屋上にでも行ってみるかね)
ベッドの手すりに手をかけ身体を起き上がらせて背伸びをする、事故の衝撃がまだ残っているせいか身体のあちこちが痛むが
脳信号の送ってくるその痛みには無視を決め込みゆっくりと床へ立つ
(静かなもんだな…夜の病院ってのは)
見舞いの袋の中に入っていた新箱のタバコの封を切って、見慣れた銘柄のタバコを口に加えてこれまた一緒に入っていた新品のライターで火をつける
「オノレ病人やろが」
「…んだよ、来てたのか?もっと早く声かけろよ」
いつの間に来ていたのだろうか、屋上の出入口付近にたたずむ男へ苦笑いを浮かべ
タバコの煙を燻らせた
「事故ったって聞いたもんでの」
「っても早すぎだろ、電話から三時間ちょっとくらいか?」
「アホか、俺やぞ?200キロ巡航クルージングじゃい」
苦笑いを浮かべた祐紀也へ、安否の確認だから飛ばしもすると悪びれもなく言ったその男____『俊』は
それにしても早すぎると言った祐紀也へとんでも事実をぶちまけた
「警察大丈夫だったか?」
「5~6回くらい追われたけどの
誰やと思てんねん?ぶっちやぶっち!!」
ガハハと笑い飛ばす俊になぜだか頭が痛くなってきた祐紀也は大きくため息を吐きながら自身の額を軽く撫でるのだった
______◆
あとがき
お ま た せ (二回目)
前回の投稿からだいぶ間が空いてしまいました
前に言っていた辰起と同じ型のシビックを買うと言った件で、実は合宿先にて購入個体を決めてありました
そして※4月19日ようやく免許が取れるぞと免許センターに勇んで行ったものの緊急事態宣言発令で一律業務の中止(出発前に調べたらホームページにマスク必須、アルコール消毒を必ずやれば受けられると書いてあったのにorz)
※色んな過去の黒歴史があり、私は誕生日は7月ですが免許の解禁は4月19日でした※
仕方なく欲しい個体の売ってるお店に連絡したところ、社長さんから「こんなご時世なんで仕方ないですよ!」の言葉に感謝し
翌々月6月1日に無事免許を取得致しました!
……実はこのままそのシビックを納車していればいい話で終わり、また6月中には続きを投稿できていたでしょう…ええ
実はそんな風に終わらないのが私でして、私は本当に運無いんです
それこそ毎年厄年かってくらい運がありません
ではここから先は簡潔に、何故投稿が遅くなったかの理由を述べていきます
6月一杯まで休みだった筈の学校が5月20日の緊急事態宣言解除を受け、5月27日から授業が始まりました
本当は5月27日に免許センターへ行きたかったのに急に予定が代わり、ゆっくり組んでいたスケジュールの前倒しを開始
この時シビックのお店へ購入の意思はまだありますと連絡(既読だけつく)
6月2日再び学業スタート、コロ ナ禍で授業できなかった2ヶ月を取り戻すため1日8時間授業になる
このころ同時に親に拝み倒してバイトがしばらく出来そうに無いからシビックのローンを親名義で組ませてくれとお願いする
6月10日程にようやく親からの許可が降りたがために近いうちお店に伺いますとシビックのあるお店の社長へ連絡、しかし繋がらず
その後6月11日、12日に社長に連絡
しかし繋がらず
12日昼と13日は昼から業務終了の18時まで一時間に一本の間隔を開けて電話
どれも繋がらず
痺れを切らして14日、地元から片道270㎞かけてシビックのお店へ
ようやく電話が繋がるも併設されている土木担当の人
事務員はお休み、車だけ見させてもらって帰る
月曜日が休みだったため16日に電話、繋がらず
17日夕方5時、ようやく電話が繋がるもすでにシビックは売れたとのこと
一瞬時が止まる、社長に直接繋げて欲しいと言いましたがどうやら入院中
「中古車は早い者勝ち」と言われましたが1月後半から欲しいと言っていた買い手なんて私くらいですよ(笑)
まぁそれはさておき、そこから何度連絡しても社長には繋がらず、店の人と連絡をして折り返しを期待してもダメ
そしてようやく繋がったのが二週間後のことでした(お店に電話番号まで貼ったメールを打ったのに音沙汰無し)
しかもようやく繋がったのも私が自分から掛けて、社長は普通に店にいたようです(あれ?私無視されてた?)
そこから30分程話して一応和解のようなものはしたのですがモチベなんてある筈もなく
また向こうは頭金まで払ってたからと結局諦める形に(モチベが死んだ瞬間)
電話を切る直前に社長から「こういう車探すの得意なんで、今回は申し訳ありませんがよかったら…」的なことを言われましたがもうそのお店に頼む気もなく
もともとそのお店で翌々ダメだったらでキープしていた個体があったのでそちらを買うと言ってようやく一段落つきました
……もうね、自分の体質は呪われてるとしか思えない(笑)
それから色々あって、そのシビックを見に往復1400キロの旅に出たりとかあったのですがそちらは割愛し、足りないパーツに頭を悩ませたり学校があったりで中々執筆する時間が取れませんでした。
一応短い夏休みも既に終わってしまいましたが、そろそろシビックも納車できる段階になり
モチベが上がってきたのでまた筆を取りました
私の人生は挫折と苦行の連続です、いやむしろそれくらいしか無いかもしれません
でもそんな中でもこんな作品が生まれてきたりとか、この話いいなって思えていただける作品はかけるのでは無いかと模索してきました(ある1作品を除いて泣かずとばすでしたが(汗))
そんな作品達です、つまらないと私自身が思った話しはひとつもありません
時間はかかると思いますがどうかこの物語が完結するその時まで
私のエゴにお付き合いください
それではあとがき兼近況報告を終わりにします。
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