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初レース?
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「勝負はlap2周です
善戦と勝利のどちらかがレーサーギルド加入の条件になります」
「了解」
現在俺は加入試験の為にギルドの所有するサーキットへ来ていた
コースは600m程の直線を進み左コーナー、そしてそこを抜ければ200m程の直線を抜けS字
そして更に100m程の僅かな直線を抜ければ右コーナーがあり
最初のストレートに戻ってくる
「さて、それではコースの下見をしてきて宜しいですよ」
受付を担当してくれた娘さんがそう言ってくれたので
遠慮なくそうさせて貰うおう
ゴォッオオ…!
ギアをニュートラルから一速に入れてゆっくりと走り出す
ブオオオオオオオッ…ワァアアアアアアアンッ!!
5000回転からカムがブイテックに切り替わり
低い音から一転甲高い音へ
そして2速40㎞を保ちながら
蛇行運転してタイヤを暖める
「最初の一周はタイヤを暖める事が優先だな…
にしても懐かしいなぁこの感覚
環状を上がってた頃思い出すなぁ」
Zを買う頃には高速での取り締まりが多すぎるのと、そもそも遠い事が災いして中々湾岸や環状等は走りに行けなかった
「湾岸高速、環状線
そして峠に埠頭に街道…」
潜むエリアは違えど、根本的な物は何一つ変わらない
「まずは調べさせて貰うぞ
根っこの部分が元の世界と違うかどうか」
軽く蛇行しながら
タツキは第一コーナーを曲がっていく
◆
受付嬢視点~
「……やはり、基本は当然の如く押さえていますか」
現在は一度観戦席まで登り
コースを走るタツキのシビックを目で追っていた
(スタート直後からの蛇行
あれは冷えきったタイヤを暖める為に必要な行為ね
ストリートじゃ知ってる人は少ないし、そもそも現行のレーサー達でもあまりやる子はいない
私達ギルド直属の社員やギルド長、国指定のレーサーともなれば違うけれど……)
冷えたタイヤは滑り出しがピーキーであり
タイヤの性能を引きずり出すなら暖めてグリップさせなければならない
「それと、二つ…」
受付嬢は独り言のようにそう呟いた
(あの動き…左右のサスの動きも勿論見事ですがアレほど硬い足も見たことがないですね…
本来コーナーで必ず起こるロール現象をきっちりと抑えてますね…が、小刻みに車体が揺れてます
抑えたロール分直に衝撃として来るのでしょう
そしえその硬い足を路面に張りつかせる強力なグリップタイヤですか…)
これは参った、と言わんばかりに受付嬢は苦い顔になっていた
まずロールをしない車事態見たことがないと言うのにそれをきっちりと抑えた上、衝撃で揺れまくってもタイヤが有り余るグリップ力を持っている
「…只で負けてあげる気はありませんけど
勝てる見込みがどれ程あるかどうか……」
シビックが蛇行したまま一周を走りきるとそのままピットへ入ってくる
「うん、大体のコースラインはわかりました
いつでも行けますよ」
そして窓越しに伝える辰起の一言で
受付嬢は試験用の車に乗り込むと、ピットから抜けてストレートの途中にあるスタートラインへ並ぶ
ちなみに試験用の車はフォード社のV8のような見た目をしている
と言うか実際にV型エンジンを積んでる、V6だけど
「さて、準備の程はよろしいですかー!?」
管理塔から魔力拡声器を使ってこのレース場の整備をしてるギルド員の言葉に
辰起と受付嬢が手を振って応える
「それじゃあカウント行きますよぉ!!
3!」
ドボッ!
ゴボォアッ!!
二台は空吹かしする
受付嬢の車からはV型エンジン特有の地響きのような低い音
辰起のEG-6からは低いが甲高く響くような音が奏でられる
「2…!1…!!」
二人はそれぞれ最大トルクが発生する回転数をキープしながらスタートを待つ
そして
「goッ!!」
キャッ!!
ドギャッ!!
二台はほんの少し出だしでタイヤを滑らせながら出走した
◆
「まぁ…こっちの世界の車がどんなのだかわからないし
少し性能を見せてもらうか」
ゆっくりと直線で加速していき
わざと受付嬢を先攻させるとそのすぐ後ろをくっついていく
バァアアアアアァッ…!
見た目が見た目であったぶん受付嬢の操る試験用車は遅い
60㎞__
80㎞_______
3速へ
ゴォオオオオオ…
時速100を越えると前を走る試験用車の加速が鈍る
それでもちょっとずつ速度が上がっていき
__105㎞
____110㎞
そして_______115㎞
ここまで速度が乗るともうそれで試験用車は頭打ちだ
これ以上速度は延びやしない
「足回りはどうだ?」
そしてストレートが終わり
最初の左コーナーへ差し掛かる
ズッズッ…
前の試験用車は100㎞前後まで速度を落とすとアウトからコーナーに入り
インへ着こうとする、だがその細いタイヤのせいでラインが徐々にアウトへと流れてしまう
またロールも酷い
(この速度でコーナーが限界か…)
コーナーをゆっくりと立ち上がって短いストレート
やはり速度は伸び悩む
「うーん…まぁ異世界でここまでの技術があったことに逆に賞賛すべきかな?」
まだまだ、抜くタイミングはここではない
そう考えて辰起は実力を押さえて走る
一周目は後ろからの見物に過ぎない
本番は二週目からである
______________◆
あとがき
もう一作の方が人気になってしまい
中々投稿することも執筆の時間もありませんでした
申し訳ありません
……でも【拝啓】の方が人気出たお陰でこの作品も読者が増えてくれたのでうれしい誤算でした(笑)
________________◆
善戦と勝利のどちらかがレーサーギルド加入の条件になります」
「了解」
現在俺は加入試験の為にギルドの所有するサーキットへ来ていた
コースは600m程の直線を進み左コーナー、そしてそこを抜ければ200m程の直線を抜けS字
そして更に100m程の僅かな直線を抜ければ右コーナーがあり
最初のストレートに戻ってくる
「さて、それではコースの下見をしてきて宜しいですよ」
受付を担当してくれた娘さんがそう言ってくれたので
遠慮なくそうさせて貰うおう
ゴォッオオ…!
ギアをニュートラルから一速に入れてゆっくりと走り出す
ブオオオオオオオッ…ワァアアアアアアアンッ!!
5000回転からカムがブイテックに切り替わり
低い音から一転甲高い音へ
そして2速40㎞を保ちながら
蛇行運転してタイヤを暖める
「最初の一周はタイヤを暖める事が優先だな…
にしても懐かしいなぁこの感覚
環状を上がってた頃思い出すなぁ」
Zを買う頃には高速での取り締まりが多すぎるのと、そもそも遠い事が災いして中々湾岸や環状等は走りに行けなかった
「湾岸高速、環状線
そして峠に埠頭に街道…」
潜むエリアは違えど、根本的な物は何一つ変わらない
「まずは調べさせて貰うぞ
根っこの部分が元の世界と違うかどうか」
軽く蛇行しながら
タツキは第一コーナーを曲がっていく
◆
受付嬢視点~
「……やはり、基本は当然の如く押さえていますか」
現在は一度観戦席まで登り
コースを走るタツキのシビックを目で追っていた
(スタート直後からの蛇行
あれは冷えきったタイヤを暖める為に必要な行為ね
ストリートじゃ知ってる人は少ないし、そもそも現行のレーサー達でもあまりやる子はいない
私達ギルド直属の社員やギルド長、国指定のレーサーともなれば違うけれど……)
冷えたタイヤは滑り出しがピーキーであり
タイヤの性能を引きずり出すなら暖めてグリップさせなければならない
「それと、二つ…」
受付嬢は独り言のようにそう呟いた
(あの動き…左右のサスの動きも勿論見事ですがアレほど硬い足も見たことがないですね…
本来コーナーで必ず起こるロール現象をきっちりと抑えてますね…が、小刻みに車体が揺れてます
抑えたロール分直に衝撃として来るのでしょう
そしえその硬い足を路面に張りつかせる強力なグリップタイヤですか…)
これは参った、と言わんばかりに受付嬢は苦い顔になっていた
まずロールをしない車事態見たことがないと言うのにそれをきっちりと抑えた上、衝撃で揺れまくってもタイヤが有り余るグリップ力を持っている
「…只で負けてあげる気はありませんけど
勝てる見込みがどれ程あるかどうか……」
シビックが蛇行したまま一周を走りきるとそのままピットへ入ってくる
「うん、大体のコースラインはわかりました
いつでも行けますよ」
そして窓越しに伝える辰起の一言で
受付嬢は試験用の車に乗り込むと、ピットから抜けてストレートの途中にあるスタートラインへ並ぶ
ちなみに試験用の車はフォード社のV8のような見た目をしている
と言うか実際にV型エンジンを積んでる、V6だけど
「さて、準備の程はよろしいですかー!?」
管理塔から魔力拡声器を使ってこのレース場の整備をしてるギルド員の言葉に
辰起と受付嬢が手を振って応える
「それじゃあカウント行きますよぉ!!
3!」
ドボッ!
ゴボォアッ!!
二台は空吹かしする
受付嬢の車からはV型エンジン特有の地響きのような低い音
辰起のEG-6からは低いが甲高く響くような音が奏でられる
「2…!1…!!」
二人はそれぞれ最大トルクが発生する回転数をキープしながらスタートを待つ
そして
「goッ!!」
キャッ!!
ドギャッ!!
二台はほんの少し出だしでタイヤを滑らせながら出走した
◆
「まぁ…こっちの世界の車がどんなのだかわからないし
少し性能を見せてもらうか」
ゆっくりと直線で加速していき
わざと受付嬢を先攻させるとそのすぐ後ろをくっついていく
バァアアアアアァッ…!
見た目が見た目であったぶん受付嬢の操る試験用車は遅い
60㎞__
80㎞_______
3速へ
ゴォオオオオオ…
時速100を越えると前を走る試験用車の加速が鈍る
それでもちょっとずつ速度が上がっていき
__105㎞
____110㎞
そして_______115㎞
ここまで速度が乗るともうそれで試験用車は頭打ちだ
これ以上速度は延びやしない
「足回りはどうだ?」
そしてストレートが終わり
最初の左コーナーへ差し掛かる
ズッズッ…
前の試験用車は100㎞前後まで速度を落とすとアウトからコーナーに入り
インへ着こうとする、だがその細いタイヤのせいでラインが徐々にアウトへと流れてしまう
またロールも酷い
(この速度でコーナーが限界か…)
コーナーをゆっくりと立ち上がって短いストレート
やはり速度は伸び悩む
「うーん…まぁ異世界でここまでの技術があったことに逆に賞賛すべきかな?」
まだまだ、抜くタイミングはここではない
そう考えて辰起は実力を押さえて走る
一周目は後ろからの見物に過ぎない
本番は二週目からである
______________◆
あとがき
もう一作の方が人気になってしまい
中々投稿することも執筆の時間もありませんでした
申し訳ありません
……でも【拝啓】の方が人気出たお陰でこの作品も読者が増えてくれたのでうれしい誤算でした(笑)
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