3 / 17
レーサーギルド
しおりを挟む
「……ふむ、まぁこんな感じかな」
ボディの埃を払うために家から持ってきたタオルのような布で一頻りシビックのボディを磨くとその手を止めた
既にファーストカーとしてEG6と再会してから一時間ほどが経過しており
その間にボディを綺麗にすることはもちろんの事
リビングに女神からの手紙が置いてあった事に気づき、ようやくこの世界について詳しく知ったのだ
まずこの世界は前世で言うところの1980年代のようなモータースポーツ真っ盛りの世界
馬や馬車しかなかった陸上の移動手段だったが
過去の異世界人が【魔燃料動力車】と言う魔物から取れる魔核を砕いた魔燃料を使って走る車を作ったのを切っ掛けに一気に爆発的ブームとなったらしい
そして国公認での大規模レースに参加することにより莫大な富を気づく事も可能だったり
言ってしまえば外国ゲーム【ニー○フォースピード】みたいな感じだ
「…んで、公認レースに必要なのはレーサーギルドの証明書か」
この世界事情でのかなり変わった点と言えば
レーサーギルドなるものがある、と言うこと
女神の手紙によれば、レーサーギルド発行の証明書は前の世界で言うレーサーライセンスのようなものらしいのだ
「じゃあ早速行ってみようか」
辰起は布を近場の棚に放り投げると
EG6のドアを開ける
「んー……なんか懐かしいな」
EG6を廃車にしてそんなに経ってないにもかかわらず
純正のホワイトメーターが酷く懐かしく感じた
_シュルリ…_カチッ
背をバケットシートへ預けながら
両腕を四点シートの間から通して着用する
「……まぁなんだ……これからもよろしくな」
初期装備か、女神から整備用のお金は沢山貰ってあるので
もうシビックを廃車にする必要はない
整備のできる限りいつまでも乗れようで
あと全くの余談だが歳も10歳位若返ってる
レース中でも長く集中が続くようにとの配慮らしいが
(…ポンポン若返らしたりしていいんかいな)
そう考えながら辰起はナルディの木目ハンドルを軽くなで
キーを捻ってエンジンを始動させる
ピピピピッピピピッ_キュィッキッキッ……ゴォロッ_!!
聞きなれた本田独特の目覚まし音(鍵の警告音)を書き消し、四気筒であるが低音の心地良い音が辺りに響く
マフラーは勿論触媒含むフルストレートパイプの直管で
抜けに関してもちゃんと計算して弄ってる為、直管マフラーにありがちなパワーダウンには至ってない
「じゃあ行きますか」
ゴォアッ_!
_ゴボォアアアアッ!!
重たい強化クラッチを踏み込んで一速に入れ
ゆっくりと発進させる
「……自動なんか?」
車で外に出たとたん
ゆっくりと閉まるシャッターを見て
中々良いガレージを貰った物だなと思いつつ
標識に掛かれたギルドの場所までシビックを走らせる
◆
「…えっとここが左か」
標識に従いながらギルドの近くまで来ると
建物付近はロータリーになっており
その流れに乗るため左に入る
(それにしても…)
「……当たり前だけど、見たことない車ばかりだな」
馬や馬車がそこそこの数を締め
他は見たことのない奇抜な見た目の車から
前世言うところの1950年代位のクラシックカー風の車など様々
当然、そんな中で改造シビックは目立つわけで……
__す、スゲェ!なんだあの車!____
____カッケェ!速そ~~!!____
と聞こえる声は多種
「…お、あったあった」
改造車が二台並んでレースしてるように描かれた看板があり
そこには英文で『レーサーギルド』とかかれてた
ゴボボボボボボッォオオオッオオオワァ……_
「違う世界って言っても……野次馬の声は日本語だし……
字を書くにしても英語でOKなのか……」
ウィンカーを出してギルド側に曲がっていき
建物のすぐ奥に駐車場と思わしき場所が見えたのでそこにシビックを止めた
「さて……」
四点を外し、ドアを開けて外に出るとしっかり鍵を掛ける
「登録行ったりますかぁ」
◆
_カランカランッ
ギルドのドアを開けると
来店を知らせる為の鈴だろうか?乾いた音がなり
カウンターにいた受付のおねぇちゃんやらレーサーギルドのメンバー達がこちらを見てきた
「あの~、登録お願い出来ません?」
受付には人がいなかったので
適当におねぇちゃんの所へ向かってそう話しかける
「はい、レーサーカードへの登録ですね
少々お待ちください____代筆は必要ですか?」
受付のおねぇちゃん、以下受付嬢は
近くの棚から登録書を取り出して代筆が必要か聞いてくる
(識字率が低いのか?
……何にせよそんなんばかりなら余計なパーツとか買わされる奴とかいそうだな)
建物などから世界観は中世のヨーロッパと考え
騙される奴とかいるんだろうなとも考えつつ
「いや、代筆は結構」
整備士の免許を取る際
海外の車も直せるようにと英語の勉強をしていた事があるので代筆は必要ないと答える
「それではお名前・種族・年齢・性別・現在のレース活用車種名と登録車の種類をお書きください」
渡された登録書とペンで辰起は項目をスラスラと書いていく
『Name シオン=タツキ
Race 人間
Age 19
Gender 男
Car HONDA CIVIC(EG-6)
Drive FF駆動魔燃料自動車』
ちなみにDriveの項目には馬や馬車もありだそうだ
「ま、こんなもんかな?」
とりあえず書き終わったのでそのまま提出する
「はい、お預かりします…
原則レーサーギルドでは、技量が何もない方の入隊はお断りさせていただく場合がございます
これより指定の場所に移動していただき、そこで指導員が貴方の実力の程を調べさせていただきます」
そう、これこそがレーサーギルドの変わった特徴の一つ
レーサーギルドは登録の際の年齢制限はない
それはいくら歳が幼くても速いものが正義だからである
しかし、だからと言って制限も何も掛けないのでは事故が起こるし
何よりレーサーの名を借りるに当たってとんでもなく遅いでは面目が丸潰れになる
だから指導員の合格判定を貰わなくてはいけないのだ
(ま、相手が誰でも長年の愛車で負ける気がしねぇよな……)
タツキはそう考えながら
受付嬢に先導されて指定コースへ向かうべく外へ出た
ボディの埃を払うために家から持ってきたタオルのような布で一頻りシビックのボディを磨くとその手を止めた
既にファーストカーとしてEG6と再会してから一時間ほどが経過しており
その間にボディを綺麗にすることはもちろんの事
リビングに女神からの手紙が置いてあった事に気づき、ようやくこの世界について詳しく知ったのだ
まずこの世界は前世で言うところの1980年代のようなモータースポーツ真っ盛りの世界
馬や馬車しかなかった陸上の移動手段だったが
過去の異世界人が【魔燃料動力車】と言う魔物から取れる魔核を砕いた魔燃料を使って走る車を作ったのを切っ掛けに一気に爆発的ブームとなったらしい
そして国公認での大規模レースに参加することにより莫大な富を気づく事も可能だったり
言ってしまえば外国ゲーム【ニー○フォースピード】みたいな感じだ
「…んで、公認レースに必要なのはレーサーギルドの証明書か」
この世界事情でのかなり変わった点と言えば
レーサーギルドなるものがある、と言うこと
女神の手紙によれば、レーサーギルド発行の証明書は前の世界で言うレーサーライセンスのようなものらしいのだ
「じゃあ早速行ってみようか」
辰起は布を近場の棚に放り投げると
EG6のドアを開ける
「んー……なんか懐かしいな」
EG6を廃車にしてそんなに経ってないにもかかわらず
純正のホワイトメーターが酷く懐かしく感じた
_シュルリ…_カチッ
背をバケットシートへ預けながら
両腕を四点シートの間から通して着用する
「……まぁなんだ……これからもよろしくな」
初期装備か、女神から整備用のお金は沢山貰ってあるので
もうシビックを廃車にする必要はない
整備のできる限りいつまでも乗れようで
あと全くの余談だが歳も10歳位若返ってる
レース中でも長く集中が続くようにとの配慮らしいが
(…ポンポン若返らしたりしていいんかいな)
そう考えながら辰起はナルディの木目ハンドルを軽くなで
キーを捻ってエンジンを始動させる
ピピピピッピピピッ_キュィッキッキッ……ゴォロッ_!!
聞きなれた本田独特の目覚まし音(鍵の警告音)を書き消し、四気筒であるが低音の心地良い音が辺りに響く
マフラーは勿論触媒含むフルストレートパイプの直管で
抜けに関してもちゃんと計算して弄ってる為、直管マフラーにありがちなパワーダウンには至ってない
「じゃあ行きますか」
ゴォアッ_!
_ゴボォアアアアッ!!
重たい強化クラッチを踏み込んで一速に入れ
ゆっくりと発進させる
「……自動なんか?」
車で外に出たとたん
ゆっくりと閉まるシャッターを見て
中々良いガレージを貰った物だなと思いつつ
標識に掛かれたギルドの場所までシビックを走らせる
◆
「…えっとここが左か」
標識に従いながらギルドの近くまで来ると
建物付近はロータリーになっており
その流れに乗るため左に入る
(それにしても…)
「……当たり前だけど、見たことない車ばかりだな」
馬や馬車がそこそこの数を締め
他は見たことのない奇抜な見た目の車から
前世言うところの1950年代位のクラシックカー風の車など様々
当然、そんな中で改造シビックは目立つわけで……
__す、スゲェ!なんだあの車!____
____カッケェ!速そ~~!!____
と聞こえる声は多種
「…お、あったあった」
改造車が二台並んでレースしてるように描かれた看板があり
そこには英文で『レーサーギルド』とかかれてた
ゴボボボボボボッォオオオッオオオワァ……_
「違う世界って言っても……野次馬の声は日本語だし……
字を書くにしても英語でOKなのか……」
ウィンカーを出してギルド側に曲がっていき
建物のすぐ奥に駐車場と思わしき場所が見えたのでそこにシビックを止めた
「さて……」
四点を外し、ドアを開けて外に出るとしっかり鍵を掛ける
「登録行ったりますかぁ」
◆
_カランカランッ
ギルドのドアを開けると
来店を知らせる為の鈴だろうか?乾いた音がなり
カウンターにいた受付のおねぇちゃんやらレーサーギルドのメンバー達がこちらを見てきた
「あの~、登録お願い出来ません?」
受付には人がいなかったので
適当におねぇちゃんの所へ向かってそう話しかける
「はい、レーサーカードへの登録ですね
少々お待ちください____代筆は必要ですか?」
受付のおねぇちゃん、以下受付嬢は
近くの棚から登録書を取り出して代筆が必要か聞いてくる
(識字率が低いのか?
……何にせよそんなんばかりなら余計なパーツとか買わされる奴とかいそうだな)
建物などから世界観は中世のヨーロッパと考え
騙される奴とかいるんだろうなとも考えつつ
「いや、代筆は結構」
整備士の免許を取る際
海外の車も直せるようにと英語の勉強をしていた事があるので代筆は必要ないと答える
「それではお名前・種族・年齢・性別・現在のレース活用車種名と登録車の種類をお書きください」
渡された登録書とペンで辰起は項目をスラスラと書いていく
『Name シオン=タツキ
Race 人間
Age 19
Gender 男
Car HONDA CIVIC(EG-6)
Drive FF駆動魔燃料自動車』
ちなみにDriveの項目には馬や馬車もありだそうだ
「ま、こんなもんかな?」
とりあえず書き終わったのでそのまま提出する
「はい、お預かりします…
原則レーサーギルドでは、技量が何もない方の入隊はお断りさせていただく場合がございます
これより指定の場所に移動していただき、そこで指導員が貴方の実力の程を調べさせていただきます」
そう、これこそがレーサーギルドの変わった特徴の一つ
レーサーギルドは登録の際の年齢制限はない
それはいくら歳が幼くても速いものが正義だからである
しかし、だからと言って制限も何も掛けないのでは事故が起こるし
何よりレーサーの名を借りるに当たってとんでもなく遅いでは面目が丸潰れになる
だから指導員の合格判定を貰わなくてはいけないのだ
(ま、相手が誰でも長年の愛車で負ける気がしねぇよな……)
タツキはそう考えながら
受付嬢に先導されて指定コースへ向かうべく外へ出た
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく
霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。
だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。
どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。
でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています
ミッドガルドの旋風(かぜ)1986 第1章
まろうど
大衆娯楽
自動車メーカーのMAZDAから、レース用のパーツを供給されることになった。しかしその事が原因で、レーシングチームからのスカウトも、ライバルレーサーからの妨害も受けるようになった。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】
一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。
追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。
無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。
そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード!
異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。
【諸注意】
以前投稿した同名の短編の連載版になります。
連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。
なんでも大丈夫な方向けです。
小説の形をしていないので、読む人を選びます。
以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。
disりに見えてしまう表現があります。
以上の点から気分を害されても責任は負えません。
閲覧は自己責任でお願いします。
小説家になろう、pixivでも投稿しています。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる