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第二章 冒険カンと義弟リオン in 迷宮都市
18.早々のいざこざ
しおりを挟む_______迷宮_______
それは属にダンジョンと呼ばれる物の総称だ
そして迷宮都市とはその街自体が迷宮で出来てる物や、複数の迷宮が連なった場所に町を建て、繁栄させたのを始まりとする。
多くの者が一攫千金を夢見て、ダンジョンの塵と消える。成功者となれる者はほんの一握りだけ
それでも彼らは迷宮へ潜る。
或る者は富を、或る者は名声を、そして或る者は己が限界を見据えるため
ここ迷宮都市は冒険者にとってまさに夢の場所。
地球で言えば20世紀初頭のアメリカと言って良い場所なのだ。
「…さて、とりあえず先に宿探して……
そのあとギルドに行こうか?」
「そうだな…」
そんな迷宮都市に初めて訪れたと言わんばかりに辺りをキョロキョロと見渡す少年二人。
片や短髪の黒髪に吊目の少年、片や白髪のロングヘアに大きな瞳を眠たいのか半開きでジト目になった精巧人形のような少年だ。
「…にしても迷宮都市も、こう見れば普通の街と大差は無いな」
黒髪の少年が辺りを見回しながら一言つぶやく
実際迷宮都市と普通の都市はあまり見た目で言えば変わりはない。
「兄様、多分それ言っちゃいけない事だと思うぞ」
「あはは」
さて、二人の少年は白髪の子がリオン少年
黒髪の子がカン少年であり
長かった馬車の旅と検問のようなものを抜け
遂に迷宮都市へ足を踏み入れた。
入ってすぐの馬車停留場で御者と別れを済ませ、今は今夜泊まる宿を探してる最中なのだ。
「にしても、だ
何が困るってさ…宿が密集してんだよね」
今まで来た街は宿の配置が疎らだったりした
だからこそ一番近くが、とかテキトーに選べたのだ。
「確かに、どこ入って良いかわからんな……」
看板に料金は書かれてるが一定でもないし、とリオンが呟く
さてはてどうしたものか
「リオン、一番手前の宿で良いか?」
価格が違うだけで面倒臭くなったカンがそう呟く
「あぁ……、我は別に良いが……」
と、言う訳で一番近くの宿へ入る事となった。
◆
「いらっしゃい…」
宿に入ると、恐らくこの宿の女将さんと思われる恰幅のいい中年のおばさんが迎えてくれた。
安宿にある貧乏臭さや変に上品な格好ではなく
身だしなみは整えた実用的な服装だった。
「とりあえず二人で部屋を取りたいんですが
部屋は同じでいいですがベッドは二つあれば…
それと前払い出来れば一ヶ月程滞在予定なので先にお金支払いますよ」
カンは女将さん(仮)にそう告げる
当の女将さん(仮)はカンの言葉を聞くと頬杖を突いて棚から部屋の鍵を取り出す
「それなら一階に空きがあるから
それで良いかな?それと前払いはむしろ喜んで受け付けるよ」
女将さん(ryはニッコリと笑ってそう言った
実際このご時世泊まるだけ泊まってやっぱりお金がありません、なんて話も結構ある為
先払いで貰えるのが宿からしても信用できるのだ。
「わかりました、料金はどのくらいでしょうか?」
「うちは一泊大銅貨5枚、その30日分で大銀貨1枚と銀貨5枚だね
けどまぁ先払いで払ってくれるなら大銀貨1枚、朝夕の食事つきでプラス銀貨5枚で良いよ」
宿代はさほど高くなく
確かにここよりも安いところは沢山あるだろうが高いところも沢山あるような
中の下程に位置する金額だ。
「じゃあ食事つきでお願いします」
カンは懐からポーチを取り出すと
中から大銀貨1枚と銀貨5枚を女将さん(ryに渡した
「はい、丁度ね
コレ部屋の鍵だから
それと、あんまり夜遅いとうちもいつまでもご飯用意してらんないからさ
夕刻の鐘がなってから一刻以内に戻ってきてほしいんだ」
「はい、気を付けますね」
鍵を受け取って食事の説明などを聞くと
リオンをつれて一階の指定された部屋へ向かう
「えぇっと104…104……」
通りすぎる部屋の番号を見ながら、部屋を探した。
「…あった、ここだ」
ちょっと歩いて104の部屋を見つけ、カンとリオンは鍵を開けて部屋へ入る
◆
「よし、最低限の荷物を置いたらすぐにギルドへ向かおう」
「了解だ、兄様」
カンとリオンの二人は部屋に入ってすぐにバックをベッドへ放り投げた
「んじゃあ行くとしようか」
二人は最低限の金銭をポーチに詰め込むと
リオンは革製のガントレットを、カンは湾曲刀を其々私服に装着し
ギルドカードを片手に外へ出た
「早くダンジョン潜ってみたいよな…」
「結構楽しみにしてるよな、兄様って」
「んー……やっぱり初めての冒険だからかな?」
リオンの言葉に頬笑みそう言うカンは本当に楽しそうだった
しかしカンはこの時すっかり忘れていた
自分が稀代の巻き込まれ体質だと言うことを。
◆
「おい坊ちゃんに嬢ちゃんよぅ?
ここは子供の来るところじゃぁねぇぞぅ?」
「ギャハハハ!!」
「……」
ギルドについて中に入ってすぐに
やはりと言うか何と言うか、カンは二人組の冒険者に絡まれ
自身の額を片手で押さえて仰々しく項垂れた。
「おら、わかったんなら回れ右ィして帰んな
お前の田舎じゃ通用するものもこの冒険者の町じゃ通用しねぇぞぉ?」
二人組の片割れ、腰に大きなソードを差した男がそうカンへ言う
もう一人の男は酔ってるのか赤い顔で笑い続けてる
「…兄様、この下郎共殺していいか?」
「……はぁ、リオン…大人しくしてろ」
カンはため息を吐きながら額に青筋を浮かべるリオンを止める
さて、どうしたものかと思いながらふと相手の冒険者の方を見る
「……」
「……」
お互い無言、しかし相手の視線はこちらを品定めしているような目付きであることにカンは気づいた
故にここで取るべき反応は_______
「ご忠告どうも、ただ俺の場合は必要ないですよ?
これでもBランクなんで」
「ふぅん?」
ニコッと微笑みながら冒険者へカンはそう言う
すると当の冒険者は表情を変えず、自然な立ち回りで辺りの冒険者を軽く見渡す。
するとちょっと離れた所の席から冒険者が立ちあがり口を開く
「おい冗談はよせよ!お前みたいなクソガキが…「ならお前のその実力、俺に少し見せてみろよ」……は?」
わざと被せるように目の前の冒険者はカンへ言う
(ビンゴ…)
カンは想像通りだ、と軽くほくそ笑む
恐らく対面の冒険者は普通に良い奴なのだろう
ギルドに入って来たまだ子供のカンが他の冒険者に絡まれないように自ら絡んできたのだ
そして、それは同時に年上に少し絡まれて怖じ気付くようではこのギルドではやっていけないぞと言うカンに対する警告も込めて
「良いですよ?別に…
何で証明しましょうか?」
「……どんな条件だろうと構わねぇよ、ハンデだ」
あくまで引かないカンに、相手冒険者は少し顔をしかめながら言い放つ
さて、どうしたものか_______
____________________________◆
あとがき
皆様大変お待たせいたしました。
やっと、やっと更新でございます!
長かったです。申し訳ない
一応Twitterの方の近況報告には載せたと思うのですが、実は金銭的トラブルに巻き込まれまして
八月の終わりからお金を返す返さないで色々揉めてました
さすがにもう三ヶ月待って話し合いだと進まなかったので裁判と言う流れに
そこでようやく一息つけるようになったので執筆できるようになりました
待たせてしまった読者方々本当に申し訳ありませんでした。
まだスランプは抜けれてませんがこれから前のようになるべく早く更新できたらと思います。
____________________________◆
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