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第五章 『ダンジョン・ウォーターパーク』の光と影編
第133話 参加メンバーは続々と
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「お待たせしました」
いつも通り、爽やかな雰囲気を纏ってやって来たのは白爪直人。
白忍者とかいう相性で呼ばれている、俺より一つ年上の、糸目の好青年だ。
今日はつばの広い帽子とマスクをして、さりげなく変装している。
「お久しぶりですね、矢羽く……ぷふっ」
「ねえ、今笑ったよね? 笑ったよね今!」
「い、いえ……気のせいですよ。だって、僕の口元は変わってないでしょう?」
「そりゃ変わってないよ! だってマスク付けてんだもん!」
気のせい、とか言いつつ笑いを堪えているし。
そんなにヤバいかね、この格好は。
「それで、他のメンバーは? まだ全員揃っていないのでしょう?」
「うん。そろそろ全員集まるとは思うけど」
そのとき、「お~い!」という明るい声が聞こえてきた。
「待たせたのう小童ども! 妾が満を持してやって来たのじゃ!」
明らかにヤバい口調で走ってくるミニマム少女、縁七禍。
しかし、忘れてはならない。こいつの通常形態は眼帯やローブなど痛々しい装備のない、普通の女の子(しかも美少女)である。
いつ見ても慣れないそのギャップに目眩を起こしそうになりながら、俺はなんとかこらえた。
「七禍、久しぶり」
「おう。久しぶ、り……って、びゃっははははは! なんじゃ貴様その格好は! 今からハワイにでも行くのか!?」
「やかましい! お前にだけは言われたくない!」
俺を見てその場で抱腹絶倒する七禍に、たまらずツッコミを入れる。
どうしてこう、プロ冒険者組は俺の格好を見て笑うのだろうか。
と、ひとしきり笑い転げた七禍は、直人の方を向いて――
「き、貴様もその……ひ、久しぶりじゃな!」
なんだか急にしどろもどろになりながら、直人に挨拶をする。
「ええ、そうですね。久しぶりです……半月ぶりですか?」
「も、もうちょっと経っておるな。電話ぶりじゃから……あ」
「…………」
「…………」
え、なにこの空気感。
前までもっとズカズカお互い踏み込んでたはずなのに、なんか付き合いだしたカップルみたいな距離感になってるんですけど!?
電話ぶりって、その電話で何か気まずいことでもあったのだろうか?
それを聞こうと一歩踏み出したそのとき。
「お待たせっす」
「お待たせしましたぁ~」
少女と女性が、駆け足で近寄ってくる。
いや、少女の方が女性を引っ張っている、という感じだろうか。
「いやぁ~、危ない。ギリギリセーフッ! いやぁ、矢羽さん! 今回はお誘いいただきありがとうございやす!」
少女の方――青い半透明のケモ耳レインコート(属性過多)を纏っている、栗落花梅雨さんが、俺を見て敬礼する。
「ふぉんふぁいは~おはへひいははひ、あひはほー」
その後ろで、大学生ゆえの豊満ボディを惜しげも無く披露しながら、おにぎりを頬張っているのは熊猫パンダさん。
2人とも、妹の仕事仲間だ。
「こちらこそ、本日はよろしくお願いします」
軽く挨拶を済ませ、スマホで時間をチェックする。
時刻は午前9時55分。
集合時間まで残り五分というところだが、あと数人まだ来ていない。
「久しぶり、南さん! 元気してた?」
「うん! そっちこそどうなの?」
「私はね、一昨日、熊猫さんとコラボしてた。ね?」
「ほふほふ(うんうん)」
亜利沙達ダンチューバー組が仲よさそうに話している中、俺は人混みの中に目を向ける。
そろそろ来る頃だと思うのだが。
そんな風に思っていると――人混みをかき分けて、女子2人組が飛び出してきた。
「ごめん! 遅れた?」
息せき切ってやって来たのは、真美さん。
それと、その後ろに――
「いや、まだ大丈夫――」
言いかけた俺は、息をのむ。
真美さんの後ろにいる乃花を見て、図らずも時が止まったような感覚に陥ってしまった。
いつも通り、爽やかな雰囲気を纏ってやって来たのは白爪直人。
白忍者とかいう相性で呼ばれている、俺より一つ年上の、糸目の好青年だ。
今日はつばの広い帽子とマスクをして、さりげなく変装している。
「お久しぶりですね、矢羽く……ぷふっ」
「ねえ、今笑ったよね? 笑ったよね今!」
「い、いえ……気のせいですよ。だって、僕の口元は変わってないでしょう?」
「そりゃ変わってないよ! だってマスク付けてんだもん!」
気のせい、とか言いつつ笑いを堪えているし。
そんなにヤバいかね、この格好は。
「それで、他のメンバーは? まだ全員揃っていないのでしょう?」
「うん。そろそろ全員集まるとは思うけど」
そのとき、「お~い!」という明るい声が聞こえてきた。
「待たせたのう小童ども! 妾が満を持してやって来たのじゃ!」
明らかにヤバい口調で走ってくるミニマム少女、縁七禍。
しかし、忘れてはならない。こいつの通常形態は眼帯やローブなど痛々しい装備のない、普通の女の子(しかも美少女)である。
いつ見ても慣れないそのギャップに目眩を起こしそうになりながら、俺はなんとかこらえた。
「七禍、久しぶり」
「おう。久しぶ、り……って、びゃっははははは! なんじゃ貴様その格好は! 今からハワイにでも行くのか!?」
「やかましい! お前にだけは言われたくない!」
俺を見てその場で抱腹絶倒する七禍に、たまらずツッコミを入れる。
どうしてこう、プロ冒険者組は俺の格好を見て笑うのだろうか。
と、ひとしきり笑い転げた七禍は、直人の方を向いて――
「き、貴様もその……ひ、久しぶりじゃな!」
なんだか急にしどろもどろになりながら、直人に挨拶をする。
「ええ、そうですね。久しぶりです……半月ぶりですか?」
「も、もうちょっと経っておるな。電話ぶりじゃから……あ」
「…………」
「…………」
え、なにこの空気感。
前までもっとズカズカお互い踏み込んでたはずなのに、なんか付き合いだしたカップルみたいな距離感になってるんですけど!?
電話ぶりって、その電話で何か気まずいことでもあったのだろうか?
それを聞こうと一歩踏み出したそのとき。
「お待たせっす」
「お待たせしましたぁ~」
少女と女性が、駆け足で近寄ってくる。
いや、少女の方が女性を引っ張っている、という感じだろうか。
「いやぁ~、危ない。ギリギリセーフッ! いやぁ、矢羽さん! 今回はお誘いいただきありがとうございやす!」
少女の方――青い半透明のケモ耳レインコート(属性過多)を纏っている、栗落花梅雨さんが、俺を見て敬礼する。
「ふぉんふぁいは~おはへひいははひ、あひはほー」
その後ろで、大学生ゆえの豊満ボディを惜しげも無く披露しながら、おにぎりを頬張っているのは熊猫パンダさん。
2人とも、妹の仕事仲間だ。
「こちらこそ、本日はよろしくお願いします」
軽く挨拶を済ませ、スマホで時間をチェックする。
時刻は午前9時55分。
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「久しぶり、南さん! 元気してた?」
「うん! そっちこそどうなの?」
「私はね、一昨日、熊猫さんとコラボしてた。ね?」
「ほふほふ(うんうん)」
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そろそろ来る頃だと思うのだが。
そんな風に思っていると――人混みをかき分けて、女子2人組が飛び出してきた。
「ごめん! 遅れた?」
息せき切ってやって来たのは、真美さん。
それと、その後ろに――
「いや、まだ大丈夫――」
言いかけた俺は、息をのむ。
真美さんの後ろにいる乃花を見て、図らずも時が止まったような感覚に陥ってしまった。
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