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第五章 『ダンジョン・ウォーターパーク』の光と影編
第124話 中間テスト
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――そんなこんなで、あっという間に中間テスト当日がやって来た。
ここ一週間、勉強会を開いたり、自習室を活用したりして、試験勉強に励んできた。
その甲斐あってか、俺もなんとかギリギリで仕上げることができた形である。ちなみに、最近調子に乗っている亜利沙が勉強中襲ってくることはなかった。
理由は、彼女のテスト週間も被ったからである。
そもそも、彼女が通っているのは山台高校附属中学。お察しの通り、中学高校ともに、同じ日付にテストは行われる。
そして、これまた意外かもしれないがウチの妹は優等生なのである。
学年主席――とまではいかずとも、大体いつも一桁の順位というバケモノだ。不登校でふさぎ込んでいたというブランクがあるのに、頭の良さは折り紙付き。
まったく。俺の妹だっていうのに、本当にこの不出来な兄のDNAを受け継いでるのか怪しくなる――って、そういえば全く別のDMAでした。
まあともかく、いろいろありつつも俺達は2日間に及ぶ中間テストを乗り切ったのだった。
そして――中間テストから一週間後。
答案が次々に返されて自分の点数を知った後――いよいよ、順位表が一斉に手渡されることとなる。
――。
帰りのSHRが終わり、俺は手早く日直の仕事を片付ける。
この後は大事な予定があるというのに、こんなときに限って日直とはついていない。
日誌を職員室にいる担任の川島先生に手渡した俺は、足早にとある約束の場所へと向かった。
向かった先は学食。
今は当然お昼時でもなく、テスト期間と違って勉強している生徒もいないためすっかり空いている。
が――すでに待ち人が全員待機していた。
「へっ来たようだな」
待ち人の1人――英次が俺の姿を見かけると、不敵に笑う。
「ついに、このときが来ましたか」
「私達の命運を分かつ分水嶺……!」
「ふ、ふたりとも覚悟決めすぎじゃ」
潮江さん、真美さん、乃花が口々にそんなことを言う。
集まったのは、この5人。言わずもがな、共に死線をくぐり抜けた仲間であり、『ダンジョン・ウォーターパーク』へ行こうと約束している者達だ。
「そろそろ白黒つけようぜ……青い高校生の俺達が赤点回避かどうか! とくに、黄色信号の2人!」
英次はバッと手を挙げ、潮江さんと真美さんを指さす。
「ちょっと、失礼すぎじゃない!? あと色が多すぎ、ややこしい!」
「まあ、私達2人が一番危ういのは事実だけどね」
ぷんすか怒る潮江さんを、苦笑いで宥める真美さん。
――英次の言う通り、白黒付けるときがやってきた。
答案は今日までに全て返却されたが、赤点かどうかは、順位表が各自に手渡されるまでわからない。
高校によって赤点の基準は様々で、場合によっては30点未満を赤点とする学校もある。
それならば、29点以下が補習の対象となるので、すぐにわかるのだが、この学校はまた別のシステムを採用している。
赤点の条件は、“各教科、平均点の半分未満”。
中間テストでは技能教科のテストはないため、基本教科の「現代文」「古文・漢文」「数学Ⅰ・A」「現代社会」「生物基礎」「物理基礎」「英語コミュニケーションⅠ」「英語表現Ⅰ」の8科目。合計800点満点となる。
その中で各科目の平均点を下回った場合に、赤点補習が課せられるのだ。
答案用紙返却の段階では、誤採点のチェックが成されるため、正確な平均点を出すことができない。
誤採点のチェックが全て終わったタイミングで配られる順位表に、各科目の学年平均と個人の点数。それから、学年全体の全教科平均点と自身の順位が一目でわかるように載っている。
だから、それを見ることで、始めて赤点かどうかを知るのである。
「準備はいいな? 例えどんな結果になろうとも、恨みっこなしだ。まずは……俺から発表するぜ」
ごくりと、俺達は自然と唾を飲み込んでいた。
そして――俺達の命運を分かつ中間テストの結果が、ついに発表される。
ここ一週間、勉強会を開いたり、自習室を活用したりして、試験勉強に励んできた。
その甲斐あってか、俺もなんとかギリギリで仕上げることができた形である。ちなみに、最近調子に乗っている亜利沙が勉強中襲ってくることはなかった。
理由は、彼女のテスト週間も被ったからである。
そもそも、彼女が通っているのは山台高校附属中学。お察しの通り、中学高校ともに、同じ日付にテストは行われる。
そして、これまた意外かもしれないがウチの妹は優等生なのである。
学年主席――とまではいかずとも、大体いつも一桁の順位というバケモノだ。不登校でふさぎ込んでいたというブランクがあるのに、頭の良さは折り紙付き。
まったく。俺の妹だっていうのに、本当にこの不出来な兄のDNAを受け継いでるのか怪しくなる――って、そういえば全く別のDMAでした。
まあともかく、いろいろありつつも俺達は2日間に及ぶ中間テストを乗り切ったのだった。
そして――中間テストから一週間後。
答案が次々に返されて自分の点数を知った後――いよいよ、順位表が一斉に手渡されることとなる。
――。
帰りのSHRが終わり、俺は手早く日直の仕事を片付ける。
この後は大事な予定があるというのに、こんなときに限って日直とはついていない。
日誌を職員室にいる担任の川島先生に手渡した俺は、足早にとある約束の場所へと向かった。
向かった先は学食。
今は当然お昼時でもなく、テスト期間と違って勉強している生徒もいないためすっかり空いている。
が――すでに待ち人が全員待機していた。
「へっ来たようだな」
待ち人の1人――英次が俺の姿を見かけると、不敵に笑う。
「ついに、このときが来ましたか」
「私達の命運を分かつ分水嶺……!」
「ふ、ふたりとも覚悟決めすぎじゃ」
潮江さん、真美さん、乃花が口々にそんなことを言う。
集まったのは、この5人。言わずもがな、共に死線をくぐり抜けた仲間であり、『ダンジョン・ウォーターパーク』へ行こうと約束している者達だ。
「そろそろ白黒つけようぜ……青い高校生の俺達が赤点回避かどうか! とくに、黄色信号の2人!」
英次はバッと手を挙げ、潮江さんと真美さんを指さす。
「ちょっと、失礼すぎじゃない!? あと色が多すぎ、ややこしい!」
「まあ、私達2人が一番危ういのは事実だけどね」
ぷんすか怒る潮江さんを、苦笑いで宥める真美さん。
――英次の言う通り、白黒付けるときがやってきた。
答案は今日までに全て返却されたが、赤点かどうかは、順位表が各自に手渡されるまでわからない。
高校によって赤点の基準は様々で、場合によっては30点未満を赤点とする学校もある。
それならば、29点以下が補習の対象となるので、すぐにわかるのだが、この学校はまた別のシステムを採用している。
赤点の条件は、“各教科、平均点の半分未満”。
中間テストでは技能教科のテストはないため、基本教科の「現代文」「古文・漢文」「数学Ⅰ・A」「現代社会」「生物基礎」「物理基礎」「英語コミュニケーションⅠ」「英語表現Ⅰ」の8科目。合計800点満点となる。
その中で各科目の平均点を下回った場合に、赤点補習が課せられるのだ。
答案用紙返却の段階では、誤採点のチェックが成されるため、正確な平均点を出すことができない。
誤採点のチェックが全て終わったタイミングで配られる順位表に、各科目の学年平均と個人の点数。それから、学年全体の全教科平均点と自身の順位が一目でわかるように載っている。
だから、それを見ることで、始めて赤点かどうかを知るのである。
「準備はいいな? 例えどんな結果になろうとも、恨みっこなしだ。まずは……俺から発表するぜ」
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