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第四章 大人気ダンチューバー、南あさり編
第91話 息吹翔の独白
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――南あさりとのコラボ配信の日程は、今週の日曜日。
初めて食事をしてから、一週間しか経過していない爆速の日程だ。
別に、俺としては、その日程に不満はない。むしろ――長いくらいだった。
南あさりは、9割以上の確率で息吹亜利沙である――いや、より正確には9割以上の確率で俺の家に住んでいる亜利沙と同一人物といえる。
なんでこんな回りくどい言い方をしたのかと言えば、きっと、南あさりでいるときの亜利沙は、俺の知っている息吹亜利沙ではない。そんな可能性が、一冊の手記を目にしたときから、頭から離れないのである。
一応述べておこうとは思うが、俺は、俺の妹が義妹であることは大分前から知っている。
もっとも、亜利沙が来た時のことなんて、物心つく前の話であり、ほとんど記憶にないから、旧姓や元の両親のことなんて全く知らなかったけれど。
――これがラブコメなら、ずっと血が繋がっていると思っていた妹が、実は義妹だとわかって――みたいな展開になるところだが、現実はこんなものだ。
ただ、俺は亜利沙が義妹だろうが本当の妹だろうが、そんなものは一切関係なく愛していたと思う。
けれどそれは俺の問題であって、亜利沙はまた別の思いを抱いていたのだろう。
血が繋がっていない妹だからこそ抱いた感情。恋心のみに関わらず、今までどんな気持ちで接してきてくれたのかを、俺はあまり考えようとはしなかった。
だから、南あさりという名の亡霊が生まれたのは、俺が後回しにしてきたツケでもある。
亜利沙のためと思い、ずっと行動していながら、実は亜利沙の気持ちを全く考えていなかったような気がする。
――。
コラボの日までの間、俺は何度か亜利沙に話そうとした。
そりゃあ、向きあわなければいけない相手が常に家に帰ればいるのだから当然だ。
ただ、結局最後まで何かを話すことはなかった。
別にヘタレだったわけではない。……いや、まあヘタレか。ヘタレだな。
ただし、南あさりとして彼女がどう俺に接してくるのか、南あさりというアバターを纏いうことでむき出しになる彼女の心を知りたいという気持ちが一番にあったのは事実だ。
所詮俺は人の心を上手く読み取れないクソ野郎だ。再会した瞬間女の子を泣かせたという実績を持つ男なのだから間違い無い。
そうでなくても、俺の妹は優しい。だから、息吹亜利沙として俺の前にいるときは、ずっと本音を隠しているような気がする。
南あさりというアバターを着ることで、彼女は本音を表に出す。友だち付き合いが苦手な少年が、相手の顔が見えないネットの海では強気に出られるように。
だからきちんと、彼女の飾らない気持ちを受け止めた上で答えを出す。彼女が俺を好きだという気持ちが、俺の勝手な憶測ではなく本当に本当の話だというのなら、それをしっかり受け止めた上で答えを導き出さなくてはならない。
きっと、それこそが、俺のやらねばならないことだろうから。
――。
――――。
長いようで短い一週間が終わった。
日曜日の午後二時半。
俺は、身支度を終えて外に出た。
五月も半ば。春の色はすっかり薄れ、夏の気配が漂い始めている。
亜利沙はというと、上機嫌で「友達と駅前で遊んでくるね! 夕飯までには戻るから!」と言って、既に外出している。
からりとした良い天気。
なのに俺の心は妙にじめっとしていた。
心に錘がのしかかったような、不可解な気分。この気持ちには覚えがある。
――乃花を泣かせたあと、もやもやしていたあの感じとそっくりだった。
「大切な人と本気で向きあうのって、やっぱり大変なことなんだな……」
きっと、大人になる過程で皆が抱くようになる気持ち。
それを抱きつつ、覚悟を決めた俺は、コラボの舞台となるセンター・ダンジョンへ赴いた。
――。
一週間ぶりのセンター・ダンジョン。
前と同じようにスタッフ用の入り口から中へ入り、無機質な通路を通って、前とは違う控え室へ入る。
潮江さんが作ってくれたロビンフッドをイメージした衣装に着替えると、俺は別の控え室へと向かった。
そこで、南あさりと合流することになっているのだ。
該当する控え室の扉の前に立った俺は、深呼吸を一つしてノックをする。
「失礼します。本日南あさりさんとのコラボで参りました、矢羽翔です」
「――どうぞ。入っていいですよ」
中からそう返答があり、俺はドアノブを回して中に入った。
「お待ちしていました。随分と早かったですね」
髪をとかしつつ答えたのは、南あさりさんだった。
一度動画で見たときと同じ、中世ヨーロッパの女騎士みたいな雰囲気(鎧は纏っていないが)の衣装を着ている。
「――どうしました? ひょっとして、見とれちゃいました?」
「え? ああ、いや……」
俺は曖昧に返事をする。
ある意味、見取れていたのかもしれない。あの可愛い妹が、こういうキリッとした姿を見せるのが、なんとなく感慨深くもあり、寂しくもあったから。
「困らせちゃってすいません」
あさりさんは苦笑いしつつ、髪をポニーテールに括って俺の方へ近づいてくる。
これから汗を掻くからだろうか。制汗剤と思われるシトラス系の香りが、鼻の奥をくすぐった。
「今日はよろしくお願いしますね」
「はい。よろしくお願いします」
俺は、精一杯の笑顔を作って応じる。
こうして、2人の歪なコラボが幕を開けた。たぶん、このコラボに熱狂している日本中の誰もが、裏に隠れた思いの応酬があることを知らない。
――今日、初めて。
兄と妹の、飾らないやり取りが行われる。
初めて食事をしてから、一週間しか経過していない爆速の日程だ。
別に、俺としては、その日程に不満はない。むしろ――長いくらいだった。
南あさりは、9割以上の確率で息吹亜利沙である――いや、より正確には9割以上の確率で俺の家に住んでいる亜利沙と同一人物といえる。
なんでこんな回りくどい言い方をしたのかと言えば、きっと、南あさりでいるときの亜利沙は、俺の知っている息吹亜利沙ではない。そんな可能性が、一冊の手記を目にしたときから、頭から離れないのである。
一応述べておこうとは思うが、俺は、俺の妹が義妹であることは大分前から知っている。
もっとも、亜利沙が来た時のことなんて、物心つく前の話であり、ほとんど記憶にないから、旧姓や元の両親のことなんて全く知らなかったけれど。
――これがラブコメなら、ずっと血が繋がっていると思っていた妹が、実は義妹だとわかって――みたいな展開になるところだが、現実はこんなものだ。
ただ、俺は亜利沙が義妹だろうが本当の妹だろうが、そんなものは一切関係なく愛していたと思う。
けれどそれは俺の問題であって、亜利沙はまた別の思いを抱いていたのだろう。
血が繋がっていない妹だからこそ抱いた感情。恋心のみに関わらず、今までどんな気持ちで接してきてくれたのかを、俺はあまり考えようとはしなかった。
だから、南あさりという名の亡霊が生まれたのは、俺が後回しにしてきたツケでもある。
亜利沙のためと思い、ずっと行動していながら、実は亜利沙の気持ちを全く考えていなかったような気がする。
――。
コラボの日までの間、俺は何度か亜利沙に話そうとした。
そりゃあ、向きあわなければいけない相手が常に家に帰ればいるのだから当然だ。
ただ、結局最後まで何かを話すことはなかった。
別にヘタレだったわけではない。……いや、まあヘタレか。ヘタレだな。
ただし、南あさりとして彼女がどう俺に接してくるのか、南あさりというアバターを纏いうことでむき出しになる彼女の心を知りたいという気持ちが一番にあったのは事実だ。
所詮俺は人の心を上手く読み取れないクソ野郎だ。再会した瞬間女の子を泣かせたという実績を持つ男なのだから間違い無い。
そうでなくても、俺の妹は優しい。だから、息吹亜利沙として俺の前にいるときは、ずっと本音を隠しているような気がする。
南あさりというアバターを着ることで、彼女は本音を表に出す。友だち付き合いが苦手な少年が、相手の顔が見えないネットの海では強気に出られるように。
だからきちんと、彼女の飾らない気持ちを受け止めた上で答えを出す。彼女が俺を好きだという気持ちが、俺の勝手な憶測ではなく本当に本当の話だというのなら、それをしっかり受け止めた上で答えを導き出さなくてはならない。
きっと、それこそが、俺のやらねばならないことだろうから。
――。
――――。
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きっと、大人になる過程で皆が抱くようになる気持ち。
それを抱きつつ、覚悟を決めた俺は、コラボの舞台となるセンター・ダンジョンへ赴いた。
――。
一週間ぶりのセンター・ダンジョン。
前と同じようにスタッフ用の入り口から中へ入り、無機質な通路を通って、前とは違う控え室へ入る。
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そこで、南あさりと合流することになっているのだ。
該当する控え室の扉の前に立った俺は、深呼吸を一つしてノックをする。
「失礼します。本日南あさりさんとのコラボで参りました、矢羽翔です」
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「お待ちしていました。随分と早かったですね」
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「――どうしました? ひょっとして、見とれちゃいました?」
「え? ああ、いや……」
俺は曖昧に返事をする。
ある意味、見取れていたのかもしれない。あの可愛い妹が、こういうキリッとした姿を見せるのが、なんとなく感慨深くもあり、寂しくもあったから。
「困らせちゃってすいません」
あさりさんは苦笑いしつつ、髪をポニーテールに括って俺の方へ近づいてくる。
これから汗を掻くからだろうか。制汗剤と思われるシトラス系の香りが、鼻の奥をくすぐった。
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「はい。よろしくお願いします」
俺は、精一杯の笑顔を作って応じる。
こうして、2人の歪なコラボが幕を開けた。たぶん、このコラボに熱狂している日本中の誰もが、裏に隠れた思いの応酬があることを知らない。
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