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第二章 《友好舞踏会》の騒乱編
第41話 頼もしい仲間達
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黒い影の群れは、リーナの操る黒影。
そして、白いローブを纏っているのはうちの組織の一般構成員達だ。
その群れの中に――違う衣装を纏った人物が二人いた。
「な、何事だ!?」
突然のことに驚くツォーン。
そんな彼の反応より一歩早く、白銀の衣装を纏った少女――シリカが冷たい声色で呟いた。
「……《白氷絨毯》」
刹那、真っ白な凍気が床を駆け巡る。
床はたちまち凍り付き、味方と王国側の人間を綺麗に避けて、ツォーン達公国の人間の足下をピンポイントで凍り付かせた。
「な、なんだこれ!?」
「動けねぇ!」
俺の目の前まで迫っていた敵も、身動きを封じられてもがいている。
「こ、こんな氷……力尽くで!」
「……やめておいた方がいい。足の皮が全部剥がれる」
無理矢理氷を引きはがそうとする《黒の皚鳥》構成員に、シリカは抑揚のない声で告げる。
「だったら……!」
「魔法で吹き飛ばせば!」
構成員達はガチガチに固められた足下に手を向けて、魔法を放とうとする。
――が。
「やれやれ。若人はせっかちよのう」
違う衣装を纏ったもう一人――黒い和服に身を包んだリーナが、肩をすくめながら一歩前へ躍り出る。
「そんな至近距離で魔法を撃ったら、自滅するだけじゃぞ。……《黒乃縛》!」
リーナの号令と共に、黒影の群れが構成員達に飛びかかる。
人型だった黒影は細長い縄のように形を変え、構成員達を片っ端から縛り上げた。
「ぐっ! なんだこの縄!」
「硬ぇ、とれねぇ!」
足を氷で固められ、上半身を黒い縄で縛られた構成員達は、身動きを封じられる。
「ふぅ。ざっとこんなもんかのう」
「……だね」
リーナの言葉に、シリカは眠そうな目を細めて頷いた。
それから階段を上り、俺の方へゆっくりと歩いてきた。
「ナイスタイミングだ、お前等」
俺は、リーナ達を見まわしながら言った。
「気にするでないぞ、小童」
「ん。あるじのためなら当然」
リーナとシリカは、口々にそう言って――
「くっ。やってくれたな……!」
不意に、ツォーンが口を開く。
「まさか、ここまで大きな組織で動いていたとは……少々見くびっていたようだ。だが、こんな技で、この私を封じられると思うな!」
ツォーンは、力任せに黒影の縄を引きちぎる。
それから、脚に力を込めて氷の拘束を吹き飛ばした。
「うひょー。あの男、馬鹿力じゃな」
「ん。暑苦しいのは嫌い」
リーナとシリカは、すぐに臨戦態勢をとる。
それは、奥の方で待機しているフロルも同じ。
さっき黒影から受け取った名刀――《桃花褐》を構え、油断なくツォーンを見すえている。
うちの幹部三人がかりなら、あるいはツォーンに一矢報いることができるかもしれない。
だが――この場における首魁を討ち滅ぼすのは、組織の頭である俺の勤めだ。
だから。
「待て、お前ら。こいつは俺が相手をする」
「小童が一人でか?」
「ああ。心配か?」
「いいや、わしはおぬしの勝利を微塵も疑ってはおらん」
「あるじは最強。みんな知ってる」
リーナもシリカも、口々にそう言ってくれる。
ならば、俺もその期待に応えるとしよう。
「――というわけだ。サシでやろう、四天王様」
「良いだろう。ねじ伏せてやる」
ツォーンは不敵な笑みを浮かべ、右手を掲げる。
その手に水が集まり、瞬く間に肥大化していく。
あの一撃をこの場で放たれたら、会場ごと王国の人間も吹き飛ばされかねない。
場所を変えた方が良さそうだ。
「フロル!」
俺は、遠くにいるフロルに声をかける。
「なに、主様」
「このアホとは会場の外で勝負する。だから……天井が邪魔だ。吹き飛ばせ」
「了解」
フロルは微かに笑みを浮かべ、刀の柄を長く持ち直すと、大きく振りかぶった。
そして、白いローブを纏っているのはうちの組織の一般構成員達だ。
その群れの中に――違う衣装を纏った人物が二人いた。
「な、何事だ!?」
突然のことに驚くツォーン。
そんな彼の反応より一歩早く、白銀の衣装を纏った少女――シリカが冷たい声色で呟いた。
「……《白氷絨毯》」
刹那、真っ白な凍気が床を駆け巡る。
床はたちまち凍り付き、味方と王国側の人間を綺麗に避けて、ツォーン達公国の人間の足下をピンポイントで凍り付かせた。
「な、なんだこれ!?」
「動けねぇ!」
俺の目の前まで迫っていた敵も、身動きを封じられてもがいている。
「こ、こんな氷……力尽くで!」
「……やめておいた方がいい。足の皮が全部剥がれる」
無理矢理氷を引きはがそうとする《黒の皚鳥》構成員に、シリカは抑揚のない声で告げる。
「だったら……!」
「魔法で吹き飛ばせば!」
構成員達はガチガチに固められた足下に手を向けて、魔法を放とうとする。
――が。
「やれやれ。若人はせっかちよのう」
違う衣装を纏ったもう一人――黒い和服に身を包んだリーナが、肩をすくめながら一歩前へ躍り出る。
「そんな至近距離で魔法を撃ったら、自滅するだけじゃぞ。……《黒乃縛》!」
リーナの号令と共に、黒影の群れが構成員達に飛びかかる。
人型だった黒影は細長い縄のように形を変え、構成員達を片っ端から縛り上げた。
「ぐっ! なんだこの縄!」
「硬ぇ、とれねぇ!」
足を氷で固められ、上半身を黒い縄で縛られた構成員達は、身動きを封じられる。
「ふぅ。ざっとこんなもんかのう」
「……だね」
リーナの言葉に、シリカは眠そうな目を細めて頷いた。
それから階段を上り、俺の方へゆっくりと歩いてきた。
「ナイスタイミングだ、お前等」
俺は、リーナ達を見まわしながら言った。
「気にするでないぞ、小童」
「ん。あるじのためなら当然」
リーナとシリカは、口々にそう言って――
「くっ。やってくれたな……!」
不意に、ツォーンが口を開く。
「まさか、ここまで大きな組織で動いていたとは……少々見くびっていたようだ。だが、こんな技で、この私を封じられると思うな!」
ツォーンは、力任せに黒影の縄を引きちぎる。
それから、脚に力を込めて氷の拘束を吹き飛ばした。
「うひょー。あの男、馬鹿力じゃな」
「ん。暑苦しいのは嫌い」
リーナとシリカは、すぐに臨戦態勢をとる。
それは、奥の方で待機しているフロルも同じ。
さっき黒影から受け取った名刀――《桃花褐》を構え、油断なくツォーンを見すえている。
うちの幹部三人がかりなら、あるいはツォーンに一矢報いることができるかもしれない。
だが――この場における首魁を討ち滅ぼすのは、組織の頭である俺の勤めだ。
だから。
「待て、お前ら。こいつは俺が相手をする」
「小童が一人でか?」
「ああ。心配か?」
「いいや、わしはおぬしの勝利を微塵も疑ってはおらん」
「あるじは最強。みんな知ってる」
リーナもシリカも、口々にそう言ってくれる。
ならば、俺もその期待に応えるとしよう。
「――というわけだ。サシでやろう、四天王様」
「良いだろう。ねじ伏せてやる」
ツォーンは不敵な笑みを浮かべ、右手を掲げる。
その手に水が集まり、瞬く間に肥大化していく。
あの一撃をこの場で放たれたら、会場ごと王国の人間も吹き飛ばされかねない。
場所を変えた方が良さそうだ。
「フロル!」
俺は、遠くにいるフロルに声をかける。
「なに、主様」
「このアホとは会場の外で勝負する。だから……天井が邪魔だ。吹き飛ばせ」
「了解」
フロルは微かに笑みを浮かべ、刀の柄を長く持ち直すと、大きく振りかぶった。
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