いじめられっ子と病弱少年

裏切り

レジが多かったから、すっかり遅くなっちゃった。急いで帰ろう。そう思った時、ほのかちゃんとリーダーが外で話をしているのが見えた。なんだか嫌な予感がする。
あたしはスーパーを出て、こっそりその話に耳を傾けた。ほのかちゃんの声はギリギリ聞こえたけど、リーダーの声は聞こえなかった。するとこんな話が聞こえてきた。
「･･････ほんとちょろいよね！･･･そうそう、まさかそんなもので騙されるとはさ(笑)全くあいつは本当に･･････」
あたしは、話の中に出てきた「あいつ」は、自分のことだと瞬時に判断した。やっぱり、騙されてたんだ･･･。そう思うとなんだか熱い思いが込み上げてきた。胸がつかえるような、悲しいような苦しいような。そして気がついたらスーパーを飛び出し家の方向とは全く違った道へ走っていた。
「あ、由衣！ちょっと！」
ほのかちゃんの声が聞こえたが、無視した。がむしゃらに走って走って逃げて逃げる。結局、最後は裏切られておしまいなんだ。このまま逃げて遠くへ行っちゃおう。そんなことを思いながら走っていると、「ドンッ」という鈍い音とともに、意識が遠のくのを感じた。あたしはここで初めて、死ぬ、ということはいつ起きてもおかしくない事に気づいたのだった。

その後、トラックの運転手から110番通報があった。内容は、走っている女の子をひいてしまった、という内容だ。


いつの間にか、雨が降り始めていた。