バスの運転手さんin異世界

５

歓迎会から２週間が過ぎた。昨日無事研修を終えた。研修中、休み時間にこっちの街とか西村さんに案内してもらった。最初、現地の人と普通に会話が出来たことに驚いた。ここは異世界。どうしてとおもったがどうやら初日に俺に言語魔法をかけといてくれたらしい。西村さんは魔法も使えるようだが一体彼女は何者だろうか。

現在時刻は朝の５時。まだ日が昇っていない。
俺は出庫点検をしている。タイヤの空気圧、ミラーの調整、エンジンのチェックetc・・・。
出庫点検が終わったら、運行管理さんに点呼してもらい、アルコール検査をパスをする。今日の運行管理は戸田さんだ。男。背は１７０㎝近く、バツイチ。前職は銀行に勤めていたとか。この業界は俺もそうだが転職組が多い。

「いってらっしゃい。」

戸田さんに見送られて俺は担当車に乗り込みエンジンをかける。
この会社は基本的に自分の担当の車両が決まっていて、点検作業も洗車も清掃も自分でやる。修理は整備士にやってもらうがカピス営業所は整備士は常駐していない。なので西村さんが故障車を日本に送って、日本の整備工場で直すらしい。

さて俺の担当車だが９メートルサイズの国産車だ。特に広告のラッピングなどはしておらずアルファバスのオリジナルカラーが施されている。見た目はきれいだが製造は平成元年だ。前扉付近の非常ドアコック近くのプレートに書いてある。大型車は新車で買うと結構イイお値段がするので何十年と修理を繰り返して使う。

５時３０分。俺は営業所を出発した。最初の出発地である街の門へ俺はバスを走らせた。