8 / 32
第一章
第七話
しおりを挟む
「レインさん、無事かな?」
一方、ギルドにて。
ティナはレインの帰りを待ちつつ、書類業務をこなしていたのだが。
「万が一、万が一レインさんが怪我でもしていたら? あぁ、気になる……」
レインの無事を願うあまり、心配で仕事の進みは芳しくなかった。
「ティナさん、少し落ち着きなさい?」
それを見かねたのか。
対面に座る、ティナにとっての同性の先輩職員であるアルマが声をかけた。
「あ、すいません、迷惑でしたか?」
自分がソワソワしてしまっていることは自覚していたティナは、アルマに頭を下げる。
「ああ、違うわ。初めて送り出したときは、誰であっても心配してティナさんみたいになる人も多いから。ほら」
そう言って、ティナの後ろを指さすアルマ。
そこには、ティナと同期でギルドに勤め始めた職員がいる。
一見、ティナとは違いしっかりと業務しているように思えるが。
「あっ」
ポロッ、とペンが落ちる。
それを拾おうと伸ばされた手。
が、中々ペンが取れない。
よく見ると、その手が震えている。
「ね? わかったでしょ?」
「は、はい……」
自分を客観的に見たみたいで、少し恥ずかしくなってしまう。
顔を赤くしつつ、俯くティナ。
そんなティナを見て、アルマは優しく微笑む。
「ティナさん、一つ大事なことを教えてあげる」
「大事なこと、ですか?」
「ええ。サポーターたるもの、自分の相棒(バディ)は何があっても、最後まで味方する。信じてあげること。これだけは覚えておきなさい」
サポーターと冒険者の関係を、相棒と呼ぶ。これはギルドの職員が勝手に使っているだけなのだが、ティナはこの言葉が好きだった。
「味方して、信じる……」
「そうよ。あなたの相棒は、必ず無事。それを貴方が信じてあげなくちゃ。そうしないと、貴方の不安が相棒にも伝わるわよ? 相棒と真の相棒になるためには、まずは信じること」
「そ、そうですよね。ありがとうございます、先輩」
「いいのよ」
ふふ、と笑みを浮かべるアルマ。
「そういえば、先輩の相棒は、冒険者を一時休止してるんでしたっけ?」
「え? ええ、そうね。全く、こっちには事前に相談せず、いきなり来なくなるんだから。こっちが心配して探したのに、向こうは勝手に好きなこと始めてるし。まぁ、事情があったみたいだけど……。でも、相談なり頼ってくれてもいいじゃない。ああ、思い出したらイライラしてきたわ!」
「あ、あはは……」
それでも私に、こうして指導してくれたということは。
先輩も心の中では相棒さんを信じているんだろうな。
そう感じるティナだった。
「そ、それじゃあ、ね」
「あ、ああ。じゃあな」
結局あの後、何とか空気を換えようとしたものの失敗に終わり。何となくぎこちない空気を維持したまま、気が付けばギルドの前まで帰ってきていた。
やっぱり、女性関係も経験なのか? 今度娼館にでも行ってみるべきか?
今日のことで、俺に女性関係の経験値が足りないことが分かった。娼館に行けば、女の扱い方もわかるのでは? 本気で検討してみよう。
ただ、夜遅くだとフィル姉に怪しまれる為、そこには十分気を付けなければならないが。
「あ、そうだ。レイン?」
「ん? なんだ?」
そうして背を向けた直後。リアに呼び止められた。
「そ、その。今度お茶でもどう? 私、最近いい喫茶店を見つけたのよ」
「へぇ。いいぞ。今度予定を合わせていくか」
「ええ。約束よ。それじゃあ、またね」
リアは笑顔で手を振り、今度こそ去っていく。
「さて、俺も行くか」
ティナさんに今日の報告を終えれば、クエスト達成。
無事に初冒険も終了だ。
「ティナさん」
ちょうど受付窓口に立っていたので、その前に立つ。
「え? あ、レインさん⁉」
「は、はい。ただ今戻りました……?」
声をかけただけでこんなに驚かれるとは。何かあったのか?
「あら? あなた、確か昨日の?」
「へ? あ、昨日のギルドの人」
ティナさんの後ろからひょっこり顔をのぞかせたのは、昨日の不正を摘発した女性職員だった。
「なるほど、貴方がティナさんの相棒だったのね」
「はい、そうです。レインって言います」
「私はアルマよ。それよりも、聞いてよ。今日のティナさんね? あなたが無事に帰ってくるか、ずっとそわそわしていたのよ?」
ニヤニヤとした笑みをティナさんに向けながら話している。
「せ、先輩⁉ なんでそれをレインさんに言っちゃうんですか⁉」
「別にいいじゃない。ね、レイン君? 可愛いと思わない? というか、こういうの男子的にどうなの? グッと来ない?」
「グッときますね。しかも、ティナさんみたいに可愛くて綺麗な女性からなら、特に」
ここは乗っておいた方がいいと判断して、アルマさんのノリに乗っかっておく。
その方が、ティナさんの可愛い表情が見れそうだ。
「レインさんまで⁉ も、もう二人してからかわないでください!」
ティナさんは耳まで真っ赤にしてプルプル震えている。
なんだこれ、メッチャかわいいな。
「ふふ、ティナさんが真っ赤だし、この辺で勘弁しておいてあげましょうか。それじゃあレイン君、後はよろしく」
笑みを浮かべて、アルマさんは中に戻ってしまった。
「えっと、ティナさん?」
「なんですか? 私を弄って楽しんでいたレインさん?」
完全に拗ねてしまっているらしい。
さて、どうするべきか。
少し考えて、馴れ馴れしい気もしたが。
「ティナさんが可愛かったんで、つい。ごめんな?」
そう言って、頭に手を置いて、軽く撫でる。
フィル姉にたまにせがまれてやると喜んでくれるから、試しにやってみたんだけど。
「あ、あぁ……」
あれ? さらに赤くなってプルプルし始めた?
これ、逆効果なんじゃ?
「そ、そのレインさん。人前で、恥ずかしいです……」
「へ? ああ、すいません」
どうやら恥ずかしかっただけか?
嫌がられてなければいいのだが。
結局、この後何となく気まずい雰囲気が漂ってしまい、速やかにクエストの報告を済ませて、帰宅した。
一日に二度も同じ失敗を重ねてしまうとは。
やはり、女の扱いを覚えるためにも、娼館は是非とも検討しなければ。
そんな課題が見つかった、冒険者生活初日だった。
一方、ギルドにて。
ティナはレインの帰りを待ちつつ、書類業務をこなしていたのだが。
「万が一、万が一レインさんが怪我でもしていたら? あぁ、気になる……」
レインの無事を願うあまり、心配で仕事の進みは芳しくなかった。
「ティナさん、少し落ち着きなさい?」
それを見かねたのか。
対面に座る、ティナにとっての同性の先輩職員であるアルマが声をかけた。
「あ、すいません、迷惑でしたか?」
自分がソワソワしてしまっていることは自覚していたティナは、アルマに頭を下げる。
「ああ、違うわ。初めて送り出したときは、誰であっても心配してティナさんみたいになる人も多いから。ほら」
そう言って、ティナの後ろを指さすアルマ。
そこには、ティナと同期でギルドに勤め始めた職員がいる。
一見、ティナとは違いしっかりと業務しているように思えるが。
「あっ」
ポロッ、とペンが落ちる。
それを拾おうと伸ばされた手。
が、中々ペンが取れない。
よく見ると、その手が震えている。
「ね? わかったでしょ?」
「は、はい……」
自分を客観的に見たみたいで、少し恥ずかしくなってしまう。
顔を赤くしつつ、俯くティナ。
そんなティナを見て、アルマは優しく微笑む。
「ティナさん、一つ大事なことを教えてあげる」
「大事なこと、ですか?」
「ええ。サポーターたるもの、自分の相棒(バディ)は何があっても、最後まで味方する。信じてあげること。これだけは覚えておきなさい」
サポーターと冒険者の関係を、相棒と呼ぶ。これはギルドの職員が勝手に使っているだけなのだが、ティナはこの言葉が好きだった。
「味方して、信じる……」
「そうよ。あなたの相棒は、必ず無事。それを貴方が信じてあげなくちゃ。そうしないと、貴方の不安が相棒にも伝わるわよ? 相棒と真の相棒になるためには、まずは信じること」
「そ、そうですよね。ありがとうございます、先輩」
「いいのよ」
ふふ、と笑みを浮かべるアルマ。
「そういえば、先輩の相棒は、冒険者を一時休止してるんでしたっけ?」
「え? ええ、そうね。全く、こっちには事前に相談せず、いきなり来なくなるんだから。こっちが心配して探したのに、向こうは勝手に好きなこと始めてるし。まぁ、事情があったみたいだけど……。でも、相談なり頼ってくれてもいいじゃない。ああ、思い出したらイライラしてきたわ!」
「あ、あはは……」
それでも私に、こうして指導してくれたということは。
先輩も心の中では相棒さんを信じているんだろうな。
そう感じるティナだった。
「そ、それじゃあ、ね」
「あ、ああ。じゃあな」
結局あの後、何とか空気を換えようとしたものの失敗に終わり。何となくぎこちない空気を維持したまま、気が付けばギルドの前まで帰ってきていた。
やっぱり、女性関係も経験なのか? 今度娼館にでも行ってみるべきか?
今日のことで、俺に女性関係の経験値が足りないことが分かった。娼館に行けば、女の扱い方もわかるのでは? 本気で検討してみよう。
ただ、夜遅くだとフィル姉に怪しまれる為、そこには十分気を付けなければならないが。
「あ、そうだ。レイン?」
「ん? なんだ?」
そうして背を向けた直後。リアに呼び止められた。
「そ、その。今度お茶でもどう? 私、最近いい喫茶店を見つけたのよ」
「へぇ。いいぞ。今度予定を合わせていくか」
「ええ。約束よ。それじゃあ、またね」
リアは笑顔で手を振り、今度こそ去っていく。
「さて、俺も行くか」
ティナさんに今日の報告を終えれば、クエスト達成。
無事に初冒険も終了だ。
「ティナさん」
ちょうど受付窓口に立っていたので、その前に立つ。
「え? あ、レインさん⁉」
「は、はい。ただ今戻りました……?」
声をかけただけでこんなに驚かれるとは。何かあったのか?
「あら? あなた、確か昨日の?」
「へ? あ、昨日のギルドの人」
ティナさんの後ろからひょっこり顔をのぞかせたのは、昨日の不正を摘発した女性職員だった。
「なるほど、貴方がティナさんの相棒だったのね」
「はい、そうです。レインって言います」
「私はアルマよ。それよりも、聞いてよ。今日のティナさんね? あなたが無事に帰ってくるか、ずっとそわそわしていたのよ?」
ニヤニヤとした笑みをティナさんに向けながら話している。
「せ、先輩⁉ なんでそれをレインさんに言っちゃうんですか⁉」
「別にいいじゃない。ね、レイン君? 可愛いと思わない? というか、こういうの男子的にどうなの? グッと来ない?」
「グッときますね。しかも、ティナさんみたいに可愛くて綺麗な女性からなら、特に」
ここは乗っておいた方がいいと判断して、アルマさんのノリに乗っかっておく。
その方が、ティナさんの可愛い表情が見れそうだ。
「レインさんまで⁉ も、もう二人してからかわないでください!」
ティナさんは耳まで真っ赤にしてプルプル震えている。
なんだこれ、メッチャかわいいな。
「ふふ、ティナさんが真っ赤だし、この辺で勘弁しておいてあげましょうか。それじゃあレイン君、後はよろしく」
笑みを浮かべて、アルマさんは中に戻ってしまった。
「えっと、ティナさん?」
「なんですか? 私を弄って楽しんでいたレインさん?」
完全に拗ねてしまっているらしい。
さて、どうするべきか。
少し考えて、馴れ馴れしい気もしたが。
「ティナさんが可愛かったんで、つい。ごめんな?」
そう言って、頭に手を置いて、軽く撫でる。
フィル姉にたまにせがまれてやると喜んでくれるから、試しにやってみたんだけど。
「あ、あぁ……」
あれ? さらに赤くなってプルプルし始めた?
これ、逆効果なんじゃ?
「そ、そのレインさん。人前で、恥ずかしいです……」
「へ? ああ、すいません」
どうやら恥ずかしかっただけか?
嫌がられてなければいいのだが。
結局、この後何となく気まずい雰囲気が漂ってしまい、速やかにクエストの報告を済ませて、帰宅した。
一日に二度も同じ失敗を重ねてしまうとは。
やはり、女の扱いを覚えるためにも、娼館は是非とも検討しなければ。
そんな課題が見つかった、冒険者生活初日だった。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始

30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

捨てられた転生幼女は無自重無双する
紅 蓮也
ファンタジー
スクラルド王国の筆頭公爵家の次女として生を受けた三歳になるアイリス・フォン・アリステラは、次期当主である年の離れた兄以外の家族と兄がつけたアイリスの専属メイドとアイリスに拾われ恩義のある専属騎士以外の使用人から疎まれていた。
アイリスを疎ましく思っている者たちや一部の者以外は知らないがアイリスは転生者でもあった。
ある日、寝ているとアイリスの部屋に誰かが入ってきて、アイリスは連れ去られた。
アイリスは、肌寒さを感じ目を覚ますと近くにその場から去ろうとしている人の声が聞こえた。
去ろうとしている人物は父と母だった。
ここで声を出し、起きていることがバレると最悪、殺されてしまう可能性があるので、寝たふりをして二人が去るのを待っていたが、そのまま本当に寝てしまい二人が去った後に近づいて来た者に気づくことが出来ず、また何処かに連れていかれた。
朝になり起こしに来た専属メイドが、アイリスがいない事を当主に報告し、疎ましく思っていたくせに当主と夫人は騒ぎたて、当主はアイリスを探そうともせずに、その場でアイリスが誘拐された責任として、専属メイドと専属騎士にクビを言い渡した。
クビを言い渡された専属メイドと専属騎士は、何も言わず食堂を出て行き身支度をして、公爵家から出ていった。
しばらく歩いていると、次期当主であるカイルが後を追ってきて、カイルの腕にはいなくなったはずのアイリスが抱かれていた。
アイリスの無事に安心した二人は、カイルの話を聞き、三人は王城に向かった。
王城で、カイルから話を聞いた国王から広大なアイリス公爵家の領地の端にあり、昔の公爵家本邸があった場所の管理と魔の森の開拓をカイルは、国王から命られる。
アイリスは、公爵家の目がなくなったので、無自重でチートし続け管理と開拓を命じられた兄カイルに協力し、辺境の村々の発展や魔の森の開拓をしていった。
※諸事情によりしばらく連載休止致します。
※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。

【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる