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11話
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『もしもし……もーしもーし。
マイクテスト、マイクテスト。
佐藤永遠さん、佐藤永遠さん。
聞こえますかー。
佐藤さん、佐藤くん。佐藤……
はぁ。いっつもこうだよ。
お前って、集中すると周りの音みんな聞こえなくなっちゃうんだよな。
もしかしたら、聞こえてて無視してるのかもしれないけど。
それだったら最悪。
ま、何があっても結局許しちゃうんだろうけど。
僕ってお前に甘いからさ。
……話しかけてやれ、か。
そう言われると、何言ったらいいか分かんなくなるよな。
耳は聞こえてるって言っても、反応はないわけだし。
なぁ、お前……まだ名前ないから、お前って呼ばせてもらうよ。ごめんな。
……お前達アンドロイドの持つ心って、一体なんなんだろうね。
電気信号? 人間の模造品? 完全な作り物?
それともお前達はそんなことなんて自覚せずに、僕達みたいにいつの間にか、
考えて、悩んで、困って、悲しんで、
そんで恋しちゃったりとかすんのかな。
それともお前達は自分の意志で、何かを考えたり、感情を選び取ったりすんのかな。
だとしたら、お前達は僕みたいに悩むことなんてないのかな。
……ねぇ、聞いてよ。
佐藤ってさ。
あいつってさ、いっつも1人でいても平気みたいな顔してるくせにさ、たまに僕に言ってくんだよ。
俺と一緒にいてもつまんないだろ、って。
最初は僕のこと邪魔者扱いしてんのかなって思ったけど、そのうち分かったんだよ。
佐藤は僕を受け入れるのが怖いんだって。
あいつはいつも変化に怯えてる。
だからああやって1人でいることで自分の身を守ってるんだ。
最初から孤独だったら、失うものなんて何もないんだからな。
それが分かったから僕、本当のこと言えなかった。
お前のそばにいられるだけで嬉しいんだって言いたかったけど、言えなかった。
……好きだよ、佐藤。お前のこと。
一生好きとか、永遠に好きとか、
そんな不確かなことは言えないけど。
でも今この瞬間、僕は佐藤が好きだって自信を持って言える。
だけど、お前はそれじゃダメなんだよな。
だから、決めたんだ。
どうせなら、永遠に残る傷をお前に残してやろうって。
もしあいつが、僕に対する友情を少しでも感じてくれているなら、きっと成功すると思う。
そうだといいんだけど。
……好きだよ、佐藤。
僕の命を賭けて、お前への愛を証明してやるよ』
マイクテスト、マイクテスト。
佐藤永遠さん、佐藤永遠さん。
聞こえますかー。
佐藤さん、佐藤くん。佐藤……
はぁ。いっつもこうだよ。
お前って、集中すると周りの音みんな聞こえなくなっちゃうんだよな。
もしかしたら、聞こえてて無視してるのかもしれないけど。
それだったら最悪。
ま、何があっても結局許しちゃうんだろうけど。
僕ってお前に甘いからさ。
……話しかけてやれ、か。
そう言われると、何言ったらいいか分かんなくなるよな。
耳は聞こえてるって言っても、反応はないわけだし。
なぁ、お前……まだ名前ないから、お前って呼ばせてもらうよ。ごめんな。
……お前達アンドロイドの持つ心って、一体なんなんだろうね。
電気信号? 人間の模造品? 完全な作り物?
それともお前達はそんなことなんて自覚せずに、僕達みたいにいつの間にか、
考えて、悩んで、困って、悲しんで、
そんで恋しちゃったりとかすんのかな。
それともお前達は自分の意志で、何かを考えたり、感情を選び取ったりすんのかな。
だとしたら、お前達は僕みたいに悩むことなんてないのかな。
……ねぇ、聞いてよ。
佐藤ってさ。
あいつってさ、いっつも1人でいても平気みたいな顔してるくせにさ、たまに僕に言ってくんだよ。
俺と一緒にいてもつまんないだろ、って。
最初は僕のこと邪魔者扱いしてんのかなって思ったけど、そのうち分かったんだよ。
佐藤は僕を受け入れるのが怖いんだって。
あいつはいつも変化に怯えてる。
だからああやって1人でいることで自分の身を守ってるんだ。
最初から孤独だったら、失うものなんて何もないんだからな。
それが分かったから僕、本当のこと言えなかった。
お前のそばにいられるだけで嬉しいんだって言いたかったけど、言えなかった。
……好きだよ、佐藤。お前のこと。
一生好きとか、永遠に好きとか、
そんな不確かなことは言えないけど。
でも今この瞬間、僕は佐藤が好きだって自信を持って言える。
だけど、お前はそれじゃダメなんだよな。
だから、決めたんだ。
どうせなら、永遠に残る傷をお前に残してやろうって。
もしあいつが、僕に対する友情を少しでも感じてくれているなら、きっと成功すると思う。
そうだといいんだけど。
……好きだよ、佐藤。
僕の命を賭けて、お前への愛を証明してやるよ』
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