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恋敵登場-ミナトside-
地区予選決勝戦(1)
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俺がサッカー部を退部した翌日以降、タカシが俺に話しかけることはなかった。
俺自身、タカシ以外の友達がいたわけではなかったが、上辺だけの付き合いをしている友達くらいはいたので、教室ではタカシを避けるように生活をすることになった。タカシ自身もサッカー部のチームメイトと一緒にいることが多かったことから、必然的に俺とタカシはすれ違うことすらなく、毎日同じ教室で授業を受けたり昼食を食べたりする日々が始まった。
もう俺とタカシは付き合っていないし、友人でもないという関係に成り下がったのだ。
夏が近づいたころ、サッカー部にとって一大イベントの全国サッカー選手権大会の予選が開かれる時期になった。その頃には俺も松葉杖無しで歩けるようになり、電車通学も再開していた。しかし、朝練習のあるタカシと帰宅部の俺では通学時間が異なり、電車でばったり会うことは皆無だった。
サッカー部は地区予選を順調に進み、いよいよ全国大会への切符を賭けた決勝戦へと進んで行った。決勝戦となるとサッカー部関係者はもちろんのこと、学校全体で応援するのがこの地区の伝統となっていたので、俺もサッカー部の決勝戦応援に行かざるを得なくなってしまった。
試合当日、クラスメイトと一緒に学校がチャーターしたバスに乗り込み、馴染みのあったこの地区では最も大きい競技場へと向かう。
会場に到着する前に全員に全員にユニフォームが配られる。もちろん配布されるのは背番号が入っていないタイプの練習着だ。
競技場に到着すると、すぐに全員がユニフォームに袖を通す。俺は気が乗らなかったが、夏服である白いワイシャツの上からこのユニフォームを着用した。スタジアムのスタンドがチームカラーの青色に染まる。
いよいよ試合開始まであと少しとなったところで、吹奏楽部も応援歌にて盛り立てるために準備を開始する。
サッカーのことをあまりよく知らないクラスメートからは相手チームの情報や自校のサッカー部員メンバー情報などを聞かれるが、俺は乗り気でなかったので気持ち半分で答えていた。ある意味、退部した元サッカー部員に情報を聞いてくるクラスメイトの神経を疑うが、友達ではなくクラスメイトなので、良好な関係性を維持したほうが良いと思い、ここは知っている知識で回答を行った。
いよいよ試合というタイミングで、選手が出てきた。
誰が出場するかは発表されていなかったので、当日にピッチに立っている顔を見ながら、俺はかこの記憶を思い出し始める。
「お、タカシがいるじゃん!」
クラスメイトのひとりが気づき、クラス中がタカシ頑張れと声を掛け始める。タカシはそれを聞いて大きく手を振る。ただ、俺は腕組みをしたまま手を振るなんて決してやらないと心に決めているので、ひたすらピッチを眺めていた。ただ、タカシとは視線が合い、俺的には少し気まずかった。
そして、よく見ると1年生ながらスタメンにユウジが選ばれていた。ユウジに対しては良い感情は持っていないが、スタメンに選ばれること自体が稀なので、俺がサッカー部に在籍していた頃よりも更に腕を上げたと考える。
そして、スタメンの11人が並び写真撮影を終えたところで、ベンチ組を合わせて円陣を組んでいる。
いよいよ試合開始だ。さすがにサッカーに関心を持たなくなった俺でも、この瞬間の緊張感は身体が覚えており、チームメイトと一緒に勝利を祈った。
俺自身、タカシ以外の友達がいたわけではなかったが、上辺だけの付き合いをしている友達くらいはいたので、教室ではタカシを避けるように生活をすることになった。タカシ自身もサッカー部のチームメイトと一緒にいることが多かったことから、必然的に俺とタカシはすれ違うことすらなく、毎日同じ教室で授業を受けたり昼食を食べたりする日々が始まった。
もう俺とタカシは付き合っていないし、友人でもないという関係に成り下がったのだ。
夏が近づいたころ、サッカー部にとって一大イベントの全国サッカー選手権大会の予選が開かれる時期になった。その頃には俺も松葉杖無しで歩けるようになり、電車通学も再開していた。しかし、朝練習のあるタカシと帰宅部の俺では通学時間が異なり、電車でばったり会うことは皆無だった。
サッカー部は地区予選を順調に進み、いよいよ全国大会への切符を賭けた決勝戦へと進んで行った。決勝戦となるとサッカー部関係者はもちろんのこと、学校全体で応援するのがこの地区の伝統となっていたので、俺もサッカー部の決勝戦応援に行かざるを得なくなってしまった。
試合当日、クラスメイトと一緒に学校がチャーターしたバスに乗り込み、馴染みのあったこの地区では最も大きい競技場へと向かう。
会場に到着する前に全員に全員にユニフォームが配られる。もちろん配布されるのは背番号が入っていないタイプの練習着だ。
競技場に到着すると、すぐに全員がユニフォームに袖を通す。俺は気が乗らなかったが、夏服である白いワイシャツの上からこのユニフォームを着用した。スタジアムのスタンドがチームカラーの青色に染まる。
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いよいよ試合というタイミングで、選手が出てきた。
誰が出場するかは発表されていなかったので、当日にピッチに立っている顔を見ながら、俺はかこの記憶を思い出し始める。
「お、タカシがいるじゃん!」
クラスメイトのひとりが気づき、クラス中がタカシ頑張れと声を掛け始める。タカシはそれを聞いて大きく手を振る。ただ、俺は腕組みをしたまま手を振るなんて決してやらないと心に決めているので、ひたすらピッチを眺めていた。ただ、タカシとは視線が合い、俺的には少し気まずかった。
そして、よく見ると1年生ながらスタメンにユウジが選ばれていた。ユウジに対しては良い感情は持っていないが、スタメンに選ばれること自体が稀なので、俺がサッカー部に在籍していた頃よりも更に腕を上げたと考える。
そして、スタメンの11人が並び写真撮影を終えたところで、ベンチ組を合わせて円陣を組んでいる。
いよいよ試合開始だ。さすがにサッカーに関心を持たなくなった俺でも、この瞬間の緊張感は身体が覚えており、チームメイトと一緒に勝利を祈った。
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