28 / 51
修行1日目
4フライト目:那覇→羽田(1)
しおりを挟む
僕は地上スタッフに先導されて空港内を全速力で走っている。
決して悪いことをした訳ではないが、これはなんと恥ずかしいんだろう。周囲にいる多くの乗客から冷たい視線や物珍しい視線などさまざまな視線を向けられている。
顔を真っ赤にしているのと同時に日頃の運動不足が祟り僕は既に疲れて走れなくなりそうだったが、ここで力尽きるわけにはいかない。あくまでもこれも修行の一環なんだ。そう自分に言い聞かせ、頑張って走った。
羽田行きは今回は別の機体のようで既に搭乗ゲートの前はほとんど人がいなかった。ただ、数名の男性が改札機を通過している様子だけが見えた。
あれ、この人たちもさっきの飛行機に乗っていた気がする。そんな感覚があった。
ようやく僕も改札機まで到着した。
すると先導してくれた地上スタッフの女性から「間に合ってよかったですね!お気をつけていってらっしゃいませ」と深々とお辞儀をされる。
その瞬間、また僕の中に稲妻が走る。
そう、5分も経っていないのにまた異性に恋をしてしまったのだ。
この地上スタッフは仕事ではあるが、僕のために一緒に全速力で走ってくれた。しかも、僕が羽田発那覇行で到着し、再び羽田行の飛行機に乗ることもわかっているので、修行僧であることも知られているはず。間に合わなくとも良いのに、ここまで尽くしてくれたことに、僕はこの女性にも恋をしてしまった。小柄で茶髪のいかにも沖縄っぽい女性で、かりゆしウエアがよく似合っている。
僕はお礼として「ありがとうございました・・・」とひと言を伝えた瞬間、改札機の横にいる男性スタッフに「お客様、ご搭乗ください!」と大声で言われ、我に返った。そしてくるっと180度回転し、急いでスマホを取り出してQRコードをかざす。そして振り返るまもなく、僕は機内へと足を進めた。
僕が搭乗した瞬間、入り口に立っていたキャビンアテンダントが少々顔を引きつらせて「ご搭乗ありがとうございます」と挨拶をする。おそらくギリギリの搭乗になっていることや那覇に到着したばかりなのにすぐに羽田へ折り返す変わった客という視線だった。ただ、慣れているのだろうか、僕が乗り込むとすぐにドアクローズの準備をし始めた。
僕は後方の席に向かって機内の通路を進んでいくと既に僕以外の全員が着席しており、少々視線が冷たかった。しかし、こんな視線を浴びることも今後もあると思うので、気にしない心が大切だと僕自身に言い聞かせる。
後方の通路側を指定していたので席に着くと、僕の指定した席の隣には先ほど改札機で見かけた中年の男性が着席していた。この男性も汗をタラタラと流し、ハンカチで汗を拭っていた。
僕は頭上の荷物棚にリュックを収納しようと開けると、既に大量のおみやけ袋やスーツケースで満杯になっており、収納するスペースは残っていなかった。そのため、僕は足元の前の座席の下にリュックを押し込んだ。
「なんとか間に合った・・・」
そう独り言を呟きながら、僕はシートベルトをカチッと装着した。
決して悪いことをした訳ではないが、これはなんと恥ずかしいんだろう。周囲にいる多くの乗客から冷たい視線や物珍しい視線などさまざまな視線を向けられている。
顔を真っ赤にしているのと同時に日頃の運動不足が祟り僕は既に疲れて走れなくなりそうだったが、ここで力尽きるわけにはいかない。あくまでもこれも修行の一環なんだ。そう自分に言い聞かせ、頑張って走った。
羽田行きは今回は別の機体のようで既に搭乗ゲートの前はほとんど人がいなかった。ただ、数名の男性が改札機を通過している様子だけが見えた。
あれ、この人たちもさっきの飛行機に乗っていた気がする。そんな感覚があった。
ようやく僕も改札機まで到着した。
すると先導してくれた地上スタッフの女性から「間に合ってよかったですね!お気をつけていってらっしゃいませ」と深々とお辞儀をされる。
その瞬間、また僕の中に稲妻が走る。
そう、5分も経っていないのにまた異性に恋をしてしまったのだ。
この地上スタッフは仕事ではあるが、僕のために一緒に全速力で走ってくれた。しかも、僕が羽田発那覇行で到着し、再び羽田行の飛行機に乗ることもわかっているので、修行僧であることも知られているはず。間に合わなくとも良いのに、ここまで尽くしてくれたことに、僕はこの女性にも恋をしてしまった。小柄で茶髪のいかにも沖縄っぽい女性で、かりゆしウエアがよく似合っている。
僕はお礼として「ありがとうございました・・・」とひと言を伝えた瞬間、改札機の横にいる男性スタッフに「お客様、ご搭乗ください!」と大声で言われ、我に返った。そしてくるっと180度回転し、急いでスマホを取り出してQRコードをかざす。そして振り返るまもなく、僕は機内へと足を進めた。
僕が搭乗した瞬間、入り口に立っていたキャビンアテンダントが少々顔を引きつらせて「ご搭乗ありがとうございます」と挨拶をする。おそらくギリギリの搭乗になっていることや那覇に到着したばかりなのにすぐに羽田へ折り返す変わった客という視線だった。ただ、慣れているのだろうか、僕が乗り込むとすぐにドアクローズの準備をし始めた。
僕は後方の席に向かって機内の通路を進んでいくと既に僕以外の全員が着席しており、少々視線が冷たかった。しかし、こんな視線を浴びることも今後もあると思うので、気にしない心が大切だと僕自身に言い聞かせる。
後方の通路側を指定していたので席に着くと、僕の指定した席の隣には先ほど改札機で見かけた中年の男性が着席していた。この男性も汗をタラタラと流し、ハンカチで汗を拭っていた。
僕は頭上の荷物棚にリュックを収納しようと開けると、既に大量のおみやけ袋やスーツケースで満杯になっており、収納するスペースは残っていなかった。そのため、僕は足元の前の座席の下にリュックを押し込んだ。
「なんとか間に合った・・・」
そう独り言を呟きながら、僕はシートベルトをカチッと装着した。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。
冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~
メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」
俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。
学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。
その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。
少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。
……どうやら彼は鈍感なようです。
――――――――――――――――――――――――――――――
【作者より】
九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。
また、R15は保険です。
毎朝20時投稿!
【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる