23 / 51
修行1日目
2フライト目:那覇→羽田(3)
しおりを挟む
僕は機内エンターテイメントシステムに登録された大好きな漫画の映画版を観入っていると、キャビンアテンダントがドリンクサービスにやってきた。迷惑をかけないように、一旦は動画の再生を一時停止し、イヤフォンを外して待機する。
時間が経たないうちにドリンクのオーダーを確認される。
「ご搭乗ありがとうございます。お飲み物はいかが致しましょうか?」
「冷たいお茶をお願いします」
「かしこまりました」
短いやり取りの後、手際良く紙コップに入れた冷たいお茶を手渡してもらう。
「ごゆっくりお過ごしください」
いつも通りそのように言われ、正式名称はドリンクホルダーで良いのか分からないが、僕は紙コップを受け取りテーブルに開けられたドリンク用の穴にコップを入れる。
搭乗時には一瞬、「こいつまた乗ってきやがった」という表情をされた感覚を持ったが、杞憂に終わった。修行僧とはいえ、航空会社にとっては乗客である。特に差別をした接客をする必要はないし、される筋合いもない。特に迷惑をかけているわけではなく、単に1日に何度も飛行機に乗るだけだ。他の乗客と同じ座席に腰掛けているだけなのだ。
そのため、僕は登場時に感じた焦りや不安をこのタイミングで消し去り、再び前方の液晶ディスプレイに表示された映画に視線を移した。
映画が佳境に差し掛かった時、シートベルト着用サインが点灯し、僕が乗った機体は千葉県上空に差し掛かっていた。紙コップを回収され、僕はテーブルを定位置に戻す。そして再び映画に観入った。
この映画は最後のシーンが感動なのだ。主人公を守るために先輩役が命を落とす。そして、先輩役も色々と人生で苦難を抱えており、息絶える直前に自分の生き様を振り返り、そして納得して絶命するストーリーだ。
僕はこのシーンを見て思うのは、人生において後悔があるかどうかという点だ。僕には公開がいくつもある。あの時にこうしていれば今頃人生は異なっていたと思うことがしばしある。
一番後悔しているのは、高校の頃に部活動に加入しなかったことだ。今の社会人生活のように、高校生活は全く張り合いがないものだった。日中が授業を受けているが、放課後はほとんどの生徒が部活動に友人と向かう。しかし僕は帰宅部だったので、そのまま家路に着く。家は駅から遠かったので、両親の仕事帰りの時間帯に駅でピックアップしてもらい、家に帰ることが多かった。そのため、放課後は2時間程度時間を潰す必要があった。僕が通っていたのは進学校だったので、多くの時間は図書館や学校の自習室で過ごすことが多かった。自習室は部活をやっていない帰宅部の生徒や受験勉強に専念したい3年生が多かった。毎日自習室に行ってはいたが、全く成績は上がらず、赤点ギリギリという状況が3年間続いた。一方で部活動に専念していた同級生は成績もトップクラス。文武両道は本当に存在すると考えさせられた3年間であった。
帰宅部だったことで高校時代は友達はほとんどいなかった。同級生と友達の違いは大きかった。勉強のできない僕は同級生に相手にされないことも時々あった。
そのため、人生をやり直せるのであれば、高校で部活動に所属し、その傍らで勉強も頑張りたかった。そうすれば、大学は希望する所へ行けていたかもしれない。
映画の主人公のように、後悔のない人生を歩むことは難しいのだ。
時間が経たないうちにドリンクのオーダーを確認される。
「ご搭乗ありがとうございます。お飲み物はいかが致しましょうか?」
「冷たいお茶をお願いします」
「かしこまりました」
短いやり取りの後、手際良く紙コップに入れた冷たいお茶を手渡してもらう。
「ごゆっくりお過ごしください」
いつも通りそのように言われ、正式名称はドリンクホルダーで良いのか分からないが、僕は紙コップを受け取りテーブルに開けられたドリンク用の穴にコップを入れる。
搭乗時には一瞬、「こいつまた乗ってきやがった」という表情をされた感覚を持ったが、杞憂に終わった。修行僧とはいえ、航空会社にとっては乗客である。特に差別をした接客をする必要はないし、される筋合いもない。特に迷惑をかけているわけではなく、単に1日に何度も飛行機に乗るだけだ。他の乗客と同じ座席に腰掛けているだけなのだ。
そのため、僕は登場時に感じた焦りや不安をこのタイミングで消し去り、再び前方の液晶ディスプレイに表示された映画に視線を移した。
映画が佳境に差し掛かった時、シートベルト着用サインが点灯し、僕が乗った機体は千葉県上空に差し掛かっていた。紙コップを回収され、僕はテーブルを定位置に戻す。そして再び映画に観入った。
この映画は最後のシーンが感動なのだ。主人公を守るために先輩役が命を落とす。そして、先輩役も色々と人生で苦難を抱えており、息絶える直前に自分の生き様を振り返り、そして納得して絶命するストーリーだ。
僕はこのシーンを見て思うのは、人生において後悔があるかどうかという点だ。僕には公開がいくつもある。あの時にこうしていれば今頃人生は異なっていたと思うことがしばしある。
一番後悔しているのは、高校の頃に部活動に加入しなかったことだ。今の社会人生活のように、高校生活は全く張り合いがないものだった。日中が授業を受けているが、放課後はほとんどの生徒が部活動に友人と向かう。しかし僕は帰宅部だったので、そのまま家路に着く。家は駅から遠かったので、両親の仕事帰りの時間帯に駅でピックアップしてもらい、家に帰ることが多かった。そのため、放課後は2時間程度時間を潰す必要があった。僕が通っていたのは進学校だったので、多くの時間は図書館や学校の自習室で過ごすことが多かった。自習室は部活をやっていない帰宅部の生徒や受験勉強に専念したい3年生が多かった。毎日自習室に行ってはいたが、全く成績は上がらず、赤点ギリギリという状況が3年間続いた。一方で部活動に専念していた同級生は成績もトップクラス。文武両道は本当に存在すると考えさせられた3年間であった。
帰宅部だったことで高校時代は友達はほとんどいなかった。同級生と友達の違いは大きかった。勉強のできない僕は同級生に相手にされないことも時々あった。
そのため、人生をやり直せるのであれば、高校で部活動に所属し、その傍らで勉強も頑張りたかった。そうすれば、大学は希望する所へ行けていたかもしれない。
映画の主人公のように、後悔のない人生を歩むことは難しいのだ。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる