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僕が修行僧になったきっかけ

出発~着陸

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搭乗して10分ほどが経ち、僕が乗った飛行機は動き出した。
エンジンが始動した時は機内に大きな音や振動が響き、何だか緊張する。

飛行機は空港内をグルグルと移動して滑走路へと向かう。
窓からは遠い座席であることから空港内のどこを移動しているのかは全くわからなかった。

更に5分ほど経ち、ようやく飛行機は滑走を始めた。
エンジンが始動した時とは比べ物にならない大きな音と振動を立てて滑走を始めた。
まるでジェットコースターに乗っているような感覚だ。
座席に身体が押し付けられるような感覚の後、ふわりと機体が浮き上がり、僕は初めての空中浮遊を経験した。

身体が慣れてきたのか、重力を感じなくなった頃にシートベルト着用サインが消灯し、飲み物が配られ始めた。

新幹線では自分で駅内の売店でお茶やコーヒーを購入しなければならない一方、機内では無料でアルコール以外の飲み物が配られることはちょっとした魅力に感じた。
僕はアップルジュースを選択し、相変わらず両隣の乗客の態度の大きさに辟易しながら一気に飲み干した。

飛行時間は2時間ほど。
仕事が終わってからの移動だったので、僕は眠りについた。
どんな姿勢や場所でも比較的眠ることのできる点は僕の長所だ。
こんなことくらいしか長所がないのは残念この上ないが、新幹線や飛行機で眠りたくても眠れない話や枕の違う宿泊出張が嫌だという話はよく聞くので、その点は良かったと感じている。


目を覚ました時には、テーブルの上のコップは回収され、テーブルも収納されていた。
そして、シートベルト着用サインが点灯し、窓からは街の明かりが機内に入り込んでいた。

「1時間以上眠っていたのか」

そう感じた瞬間、ドスンという大きな音と共に飛行機は着陸した。
東京から福岡まで2時間ほどということで、新幹線とは大きな時間差をつけている。
そのため、スピードも飛行機のメリットの一つだと感じた。



飛行機がゲートに到着し順番に降機が始まる。

両隣の乗客がテキパキと上の棚を開けてキャリーバッグを取り出し前方へと向かう。
しかし、僕は途切れることのない列にうまく割り込めず、降機は最後の方となった。
降機の途中、ビジネスクラスの横を通過すると、そこに誰もいなかった。
おそらく最初の方に降機したと僕は想像した。
ビジネスクラスの様子を見て驚いたのは、民度が低そうに見えた“跡“だ。
ブランケットがぐちゃぐちゃにされて座席の上に置かれ、床には上質そうに見えるスリッパが散乱していた。
ここまで荒らせる程のアメニティが与えられ、広さも普通席の3倍近くあるように思えた。
そこに座る人というのはお金持ちであるはずなのに、どうしてこんな雑にできるのか不思議だった。

そんな余計なことを考えていると、搭乗時に一目惚れした白い制服の女性がこちらを見ていた。
「ご搭乗ありがとうございました」

この一言でまた僕は藤咲さんに一目惚れしたのだった。
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