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Chapter④ 同棲生活 ~タカシside~
念願の沖縄旅行(7)
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目を覚ましたのはシュンに声をかけられたからだった。
「タカシ、そろそろ着陸だからシートを戻して?」
「あ、もう沖縄か」
座席の前方に取り付けられたディスプレイを見ると、機体は既に那覇空港の近くまで数十キロの所まで来ているようだった。そのため、俺は1時間近く眠ってしまったようで、シートを戻して着陸に備えた。
それから15分ほどして機体は那覇空港に着陸した。
ボーディングブリッジが機体に接続され、俺とシュンは降りる準備を進める。その時に、パーサーの方から「良いご旅行を」と笑顔で声を掛けられた。俺は反射的に「お世話になりました」と会釈をすると、向こうは「とんでもない!シュンくんの恋人さんがとっても良い人で、今日お会いできて嬉しかったです」と言ってもらえ、俺はほんわかした気持ちになった。
一方で隣にいるシュンは少し不機嫌な顔をしながら、「パーサー?あまり俺の恋人のことを言いふらさないでくださいよ?」と言うと、「分かってるわよ!イケメン同士でとってもお似合いだなんて言いふらさないから安心して」と笑いながら会話をする。
シュンは職場内でも社交的で上司ともうまくやっているんだと思っているところで、ちょうど機体のドアが開き、俺とシュンは沖縄の地に降り立った。
ボーディングブリッジからターミナルビルに入ると、どことなく東南アジアのような雰囲気があり、早速俺は旅行に来ている感を味わうことになった。
預け入れたスーツケースを受け取り俺たちはバスの発着場へと向かう。今日はお酒を飲む前提で考えていたので、レンタカーは借りずにホテルの送迎バスで移動することにしていた。
しかし、ここからが大変だった。
バスの発着場に俺がシュンと付き合う前によく飲みに行っていた中野のゲイバーのママが乗っていたのだ。しかもゲイのグループ旅行のようで、似たようながっちりした体型の男性が5人ほどいる。
「あら、タカシちゃん!お久しぶりね。あらら、なになに~、彼氏さんと二人っきりの旅行?」
正直、今日は会いたくなかったなぁ~と思っていたが、後の祭り。まぁ、夏の沖縄といえば、ゲイの世界では人気スポットなので、このホテルにもいるとは思っていたが、いきなりバスの中で会うとはと俺は少しため息が出た。
少し会話をした後、俺はシュンの元へ戻ると怪訝そうな顔をしている。
「さっきの誰?」
「あぁ、中野に住んでいた頃によく行っていたゲイバーのママさん。偶然にも同じホテルみたい」
「そうなんだ。タカシってああ言う人がタイプなの?」
着いて早々、シュンは喧嘩腰だ。
俺は「いや、俺のタイプじゃない!ただ、トークが面白くて良く行っていただけだよ」と釈明するも、あまりゲイのグループが得意ではないシュンからすると、ゲイバーによく言っていた人物というだけで嫌悪感を感じるようだった。それは一緒に暮らしてきて感じているポイントだ。
そのため、バスが到着してからは、あまりゲイグループには近づかないように着席した。
俺は心の中で、これ以上何も起こらないでくれと願った。
「タカシ、そろそろ着陸だからシートを戻して?」
「あ、もう沖縄か」
座席の前方に取り付けられたディスプレイを見ると、機体は既に那覇空港の近くまで数十キロの所まで来ているようだった。そのため、俺は1時間近く眠ってしまったようで、シートを戻して着陸に備えた。
それから15分ほどして機体は那覇空港に着陸した。
ボーディングブリッジが機体に接続され、俺とシュンは降りる準備を進める。その時に、パーサーの方から「良いご旅行を」と笑顔で声を掛けられた。俺は反射的に「お世話になりました」と会釈をすると、向こうは「とんでもない!シュンくんの恋人さんがとっても良い人で、今日お会いできて嬉しかったです」と言ってもらえ、俺はほんわかした気持ちになった。
一方で隣にいるシュンは少し不機嫌な顔をしながら、「パーサー?あまり俺の恋人のことを言いふらさないでくださいよ?」と言うと、「分かってるわよ!イケメン同士でとってもお似合いだなんて言いふらさないから安心して」と笑いながら会話をする。
シュンは職場内でも社交的で上司ともうまくやっているんだと思っているところで、ちょうど機体のドアが開き、俺とシュンは沖縄の地に降り立った。
ボーディングブリッジからターミナルビルに入ると、どことなく東南アジアのような雰囲気があり、早速俺は旅行に来ている感を味わうことになった。
預け入れたスーツケースを受け取り俺たちはバスの発着場へと向かう。今日はお酒を飲む前提で考えていたので、レンタカーは借りずにホテルの送迎バスで移動することにしていた。
しかし、ここからが大変だった。
バスの発着場に俺がシュンと付き合う前によく飲みに行っていた中野のゲイバーのママが乗っていたのだ。しかもゲイのグループ旅行のようで、似たようながっちりした体型の男性が5人ほどいる。
「あら、タカシちゃん!お久しぶりね。あらら、なになに~、彼氏さんと二人っきりの旅行?」
正直、今日は会いたくなかったなぁ~と思っていたが、後の祭り。まぁ、夏の沖縄といえば、ゲイの世界では人気スポットなので、このホテルにもいるとは思っていたが、いきなりバスの中で会うとはと俺は少しため息が出た。
少し会話をした後、俺はシュンの元へ戻ると怪訝そうな顔をしている。
「さっきの誰?」
「あぁ、中野に住んでいた頃によく行っていたゲイバーのママさん。偶然にも同じホテルみたい」
「そうなんだ。タカシってああ言う人がタイプなの?」
着いて早々、シュンは喧嘩腰だ。
俺は「いや、俺のタイプじゃない!ただ、トークが面白くて良く行っていただけだよ」と釈明するも、あまりゲイのグループが得意ではないシュンからすると、ゲイバーによく言っていた人物というだけで嫌悪感を感じるようだった。それは一緒に暮らしてきて感じているポイントだ。
そのため、バスが到着してからは、あまりゲイグループには近づかないように着席した。
俺は心の中で、これ以上何も起こらないでくれと願った。
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