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Chapter④ 同棲生活 ~タカシside~
取引先の新担当者(5)
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「お相手の方はどんな人なんですか?」
ヒロキが前のめりになって聞いてきた。
「いい人ですよ。俺にはもったいない感じの人です」
「随分と抽象的ですねー。写真持っていないんですか?」
ゲイにとってこの部類の質問が一番厄介だ。
特にカミングアウトしていない人に対しては、自分の彼氏の写真を見せるなんて到底できない。
しかし、俺は不用心にヒロキに女友達の写真を出せなかった。そのため、正直に、「うーん、見せるのはまだ早いですよ!」と切り返した。
「えーーー!でもきっと良い人なんでしょうね。でもそんな人となんで喧嘩しちゃったんですか?」
良かった・・・。深掘りされなくて。
「向こうはシフト制の仕事で休みが俺と合わないんです。特に今は仕事に集中したいので帰りが遅くなる日が多いじゃないですか、それに理解を示してくれないんです」
ヒロキは腕組みをしながら考え込む。
「そうなんですね~。仕事への理解がないのは、こうやって真面目に頑張っている人からすると、“どうして!“ってなりますけど、さすがに価値観はありますよね」
「そうなんです。価値観が合うと思って同棲を始めましたが、最近はうまくいっていないんです」
難しいテーマに直面し、お互いビールグラスをグイッと空けた。
その後に口を開いたのはヒロキの方だった。
「それなら、いっそのこと、別れちゃったらどうですか?」
「えっ!?」
唐突な提案に俺は驚いた。ただ、ヒロキの言うこともごもっともだ。価値観が違うことに直面し、妥協点が見つからなければ別れるしかないかもしれない。お互い気まずい状況で同棲を続ける理由はないからだ。しかも、男女関係と異なり、俺とシュンは結婚していない。
俺はヒロキの提案に再び腕組みした。
そこにヒロキは畳み掛けるように話を続ける。
「だって、タカシさんとお相手の方は結婚していませんよね?単なる同棲関係であれば、解消するのも一つの手ですよ。そして、新しい恋に走るんです!」
随分とヒロキは嬉しそうに話の後半を話し始めた。
「いやいや、そんなすぐに新しい恋なんて始められませんよ!」
「俺じゃ・・・ダメですか・・・?」
ヒロキが前のめりになって聞いてきた。
「いい人ですよ。俺にはもったいない感じの人です」
「随分と抽象的ですねー。写真持っていないんですか?」
ゲイにとってこの部類の質問が一番厄介だ。
特にカミングアウトしていない人に対しては、自分の彼氏の写真を見せるなんて到底できない。
しかし、俺は不用心にヒロキに女友達の写真を出せなかった。そのため、正直に、「うーん、見せるのはまだ早いですよ!」と切り返した。
「えーーー!でもきっと良い人なんでしょうね。でもそんな人となんで喧嘩しちゃったんですか?」
良かった・・・。深掘りされなくて。
「向こうはシフト制の仕事で休みが俺と合わないんです。特に今は仕事に集中したいので帰りが遅くなる日が多いじゃないですか、それに理解を示してくれないんです」
ヒロキは腕組みをしながら考え込む。
「そうなんですね~。仕事への理解がないのは、こうやって真面目に頑張っている人からすると、“どうして!“ってなりますけど、さすがに価値観はありますよね」
「そうなんです。価値観が合うと思って同棲を始めましたが、最近はうまくいっていないんです」
難しいテーマに直面し、お互いビールグラスをグイッと空けた。
その後に口を開いたのはヒロキの方だった。
「それなら、いっそのこと、別れちゃったらどうですか?」
「えっ!?」
唐突な提案に俺は驚いた。ただ、ヒロキの言うこともごもっともだ。価値観が違うことに直面し、妥協点が見つからなければ別れるしかないかもしれない。お互い気まずい状況で同棲を続ける理由はないからだ。しかも、男女関係と異なり、俺とシュンは結婚していない。
俺はヒロキの提案に再び腕組みした。
そこにヒロキは畳み掛けるように話を続ける。
「だって、タカシさんとお相手の方は結婚していませんよね?単なる同棲関係であれば、解消するのも一つの手ですよ。そして、新しい恋に走るんです!」
随分とヒロキは嬉しそうに話の後半を話し始めた。
「いやいや、そんなすぐに新しい恋なんて始められませんよ!」
「俺じゃ・・・ダメですか・・・?」
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