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Chapter① 出会い 〜シュンside〜
恋人からの連絡(1)
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俺の恋人の名前はケンジ。
ケンジとは恋人関係ではあるが、もはや付き合っているのかどうかも分からない。ただ、俺が留学中にケンジのことが好きになったため、俺からは別れ話は出したことはない。そのため、まだ一応カップルの関係だ。
タカシとセフレの関係を始めて数週間後、久しぶりにケンジからLINEが入った。
今から電話できないか?
俺は嫌な予感がした。わざわざLINEのメッセージではなく電話をしてくるなんて。
俺は返信で“いいよ“と返答した。
その直後、LINE電話でケンジから着信した。
「もしもし、ケンジ?電話なんて珍しいね?」
「お疲れさま。うん、メッセージじゃなくて直接伝えたくて」
ケンジの声はいつもと違っていて、俺の反応を気にしているのか自信なさげな声だった。
「ケンジは今は日本なの?それとも海外?」
「今日シドニーから帰ってきたところだよ。今はもう家に着いた」
「そっか」
日本に帰ってきてるなら、うちに立ち寄ってもらいたかった。もう1ヶ月くらい会えていないのに。俺は不満を持ちつつも、長いフライトで疲れていると思って不満を飲み込んだ。
「それで話って何?」
「もう察しはついていると思うけど、俺たち、最近上手くいっていないじゃん」
「うん」
「だからさ、俺はシュンと別れたいと思ってる」
「何が原因なの?」
俺は別れを切り出されることは薄々勘付いていた。ただ、理由が知りたい。俺を捨てる理由を。ただ、ケンジから言われた言葉は想像を超えるものだった。
「実は結婚することにしたんだ、女性と」
「えっ、、、ケンジが結婚・・・?」
「そうなんだ。びっくりするよね。俺だってびっくりしているけど、好きな女性ができて、もう妊娠しているんだ」
俺は驚いて何も言えなくなった。
結婚だけでも驚きがあったが、更にお相手の女性を妊娠させているなんて、想像していなかった。
「ケンジって女もいけるんだっけ?男だけじゃなかったんだ」
「まぁ、一応・・・」
バツが悪そうにケンジは答える。
俺は女に負けたのか。そしてケンジはバイだったのか。
付き合った数年間でケンジのことをわかったつもりでいたが、結局は何もわかっていなかった。別れを切り出されたとしても俺はケンジのことが好きだった。ただ、結婚して子供を授かったとなると、もう俺はケンジと一緒にいることができない。その現実がだんだんと込み上げてきて、俺は思わず涙を流した。
「・・・・シュン?聞いてる?」
「うん・・・・聞いてる」
「この電話以降はもうお互いに連絡を取らないほうがいいと思ってる」
違う、お互いじゃなくてケンジ自身の方だ。妻がいて、子供まで作っているのに、実は男も好きだった事実は隠したいだろうに。
「わかった。今までありがとう、ケンジ」
「理解してくれてありがとう、シュン。いい人が見つかるといいな」
そう言ってケンジは一方的に電話を切った。
ケンジとは恋人関係ではあるが、もはや付き合っているのかどうかも分からない。ただ、俺が留学中にケンジのことが好きになったため、俺からは別れ話は出したことはない。そのため、まだ一応カップルの関係だ。
タカシとセフレの関係を始めて数週間後、久しぶりにケンジからLINEが入った。
今から電話できないか?
俺は嫌な予感がした。わざわざLINEのメッセージではなく電話をしてくるなんて。
俺は返信で“いいよ“と返答した。
その直後、LINE電話でケンジから着信した。
「もしもし、ケンジ?電話なんて珍しいね?」
「お疲れさま。うん、メッセージじゃなくて直接伝えたくて」
ケンジの声はいつもと違っていて、俺の反応を気にしているのか自信なさげな声だった。
「ケンジは今は日本なの?それとも海外?」
「今日シドニーから帰ってきたところだよ。今はもう家に着いた」
「そっか」
日本に帰ってきてるなら、うちに立ち寄ってもらいたかった。もう1ヶ月くらい会えていないのに。俺は不満を持ちつつも、長いフライトで疲れていると思って不満を飲み込んだ。
「それで話って何?」
「もう察しはついていると思うけど、俺たち、最近上手くいっていないじゃん」
「うん」
「だからさ、俺はシュンと別れたいと思ってる」
「何が原因なの?」
俺は別れを切り出されることは薄々勘付いていた。ただ、理由が知りたい。俺を捨てる理由を。ただ、ケンジから言われた言葉は想像を超えるものだった。
「実は結婚することにしたんだ、女性と」
「えっ、、、ケンジが結婚・・・?」
「そうなんだ。びっくりするよね。俺だってびっくりしているけど、好きな女性ができて、もう妊娠しているんだ」
俺は驚いて何も言えなくなった。
結婚だけでも驚きがあったが、更にお相手の女性を妊娠させているなんて、想像していなかった。
「ケンジって女もいけるんだっけ?男だけじゃなかったんだ」
「まぁ、一応・・・」
バツが悪そうにケンジは答える。
俺は女に負けたのか。そしてケンジはバイだったのか。
付き合った数年間でケンジのことをわかったつもりでいたが、結局は何もわかっていなかった。別れを切り出されたとしても俺はケンジのことが好きだった。ただ、結婚して子供を授かったとなると、もう俺はケンジと一緒にいることができない。その現実がだんだんと込み上げてきて、俺は思わず涙を流した。
「・・・・シュン?聞いてる?」
「うん・・・・聞いてる」
「この電話以降はもうお互いに連絡を取らないほうがいいと思ってる」
違う、お互いじゃなくてケンジ自身の方だ。妻がいて、子供まで作っているのに、実は男も好きだった事実は隠したいだろうに。
「わかった。今までありがとう、ケンジ」
「理解してくれてありがとう、シュン。いい人が見つかるといいな」
そう言ってケンジは一方的に電話を切った。
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