ゲイのキャビンアテンダントはイケメンリーマンがお好き?

藤咲レン

文字の大きさ
上 下
47 / 150
Chapter① 出会い 〜シュンside〜

福岡空港発・東京羽田行の最終便(4)

しおりを挟む
「コーヒーごちそうさま」
突然、背後から聞き覚えのある声がして俺は振り返る。そこにいたのはタカシだった。俺はまさかの出来事に真顔になっていたと意識し、慌てて笑顔を作る。そして咄嗟に「コーヒーのおかわりはいかがですか?」と勧めた。

タカシは余裕の表情で「じゃあもう1杯頂こうかな」と言うので、俺はコーヒーメーカーから1杯のコーヒーを入れタカシに手渡す。

タカシは「ありがとう」と言い、俺は「いえいえ」と返す。
俺たちは視線を合わせたまま、なんだか微妙な時間が流れる。




タカシがコーヒーを一口啜ると、
「シュンさん、LINE交換してもいいですか?こうやって機内で再会できたことは何かの縁だと思うので」と俺にアプローチをしてきた。

このタイミングだったかー!俺はタカシにしてやられた感覚になった。離陸前に決めていた選択肢は”タカシから俺にアプローチしてきたらうちに呼ぶ”というものだ。だから俺は最後にタカシに選択肢を与えた。

「そうですね。ただ、今は乗務中なので羽田空港に着いたら待ち合わせできますか?待っててくれるならLINE交換してもいいですよ?」





さて、タカシはどうするか?腕時計を見つめているので、家に帰る時間を計算していることは容易に想像がついた。俺は悩ましそうにするタカシの顔を見たかったが、あっさりと「いいですよ。シュンさんの仕事が終わったら待ち合わせしましょう」と言ってきた。

「ありがとうございます。では羽田空港到着ロビーの南ウイング側で待っていてください。23時30分には合流できると思います。明日土曜日はお休みですか?」
「はい、一応休みです。会社には行かずに家で仕事をしようかと思っています」
「わかりました。じゃあ、タカシさん、終電は気にしなくていいですね」
「そうですね、いざとなればタクシーで帰るので待ち合わせ時間は気にしなくていいですよ、シュンさん」

そしてタカシは自分の座席へと戻っていった。




これでタカシとのLINE交換が確定した。但し、俺が考えているのは、今夜、タカシはうちに来るかどうかだ。LINE交換で満足し、もしうちに来なかったらLINEは無視しようと思っている。けれども、もしうちに来ることになれば、俺に対して本気かもしれない。



少しタカシに惹かれ始めている俺は、気づかないうちにタカシとの恋愛の駆け引きをスタートさせてしまっていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。 彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。 ……あ。 音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。 しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。 やばい、どうしよう。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

年越しチン玉蕎麦!!

ミクリ21
BL
チン玉……もちろん、ナニのことです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

処理中です...