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Chapter① 出会い 〜タカシside〜

一夜限りの(4)

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俺が脱衣所を出てベッドルームに向かうと、シュンはボクサーパンツ1枚で既にベッドの上で寝息を立てている。

よっぽど疲れていたのか。

俺はベッドルームには向かわず一旦、キッチンにある冷蔵庫を見せてもらう。さすがシフト制のCAという感じで冷蔵庫はあまりものが入っておらず、ミネラルウォーターを取り出すとコップに注ぎ、一杯を飲み干す。

改めて部屋を眺めさせてもらうと、壁に置かれた棚にはシュンが勤めるエアラインの機体が何機も並んでいる。一目で飛行機が好きなんだと思わせる光景だ。それ以外の物といえば、思い出を大切にするタイプなのか写真がいくつか飾られている。一つは大学名が入ったバレーボールのユニフォーム姿の集合写真。他には同期入社で撮影したのか、機体の前での集合写真。どれもシュンは真ん中で輝いた笑顔をしている。実際にこれまで会った時に俺には見せたことのない笑顔のようにも感じた。

俺はベッドルームに移動してシュンの寝顔を見つめる。とても穏やかに眠っている。




俺はシュンを起こさないようにそっと横に滑り込み、布団をかけて眠りについた。明日は7時に起きよう。枕の横にスマホを置き目覚ましをセットする。

改めてシュンの寝顔を見ると、顔立ちが整っていて、こんな人物はゲイの世界でもあまり見たことがないと思った。そして俺は一層、シュンに惹かれていることを自己認識し、単なるセフレ関係ではなく、恋人関係になりたいという気持ちも芽生え始めてきた。

だから俺はここまでシュンを追いかけていることも再認識する。今までの俺だったら、このままタクシーで家に帰っているはずだからだ。




今はこうやってヤった相手の家のベッドで横になっている。




俺はシュンに恋をしている。




眠っているシュンのおでこにキスをし、俺はゆっくり目を閉じた。
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