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結愛はそっと瞼を開く。……深い海の様な暗い色。何もなく、何も見えない。
”これが……お兄ちゃんの心の中?”
結愛は辺りをキョロキョロと見回す。すると、向こうで何かが動いているのが目についた。
”ん? ……なに? あれェ? ぺ……ペンギンじゃない!”
一羽のペンギンがヒョコヒョコと歩いている。
”いやーっ! カワイイ――ッ”
結愛はペンギンに近づいてゆく。
”……ん? あれ? ち、ちょっと、血が出てるよッ!”
ペンギンの腹の辺りからは真っ赤な血が滲んでいた。
”ど、どうしたの! ちょッ、どうしたらいいのッ?”
結愛が傷ついたペンギンを手をこまねいて見ていると、もう一羽、上からペンギンが羽を伸ばして下に下りようとしていた。その周囲には錆び付いた、そして鋭く尖った鉄のくずが山のように捨てられていた。
”あぶない! 下りちゃダメよッ!”
結愛の声も空しく、ペンギンは滑るように下りると、突き出た鉄の先端が足元に触れて赤い血が吹き出した。
”キャアアッ!”
血の足跡を地面に作りながらペンギンは歩き続ける。鉄くずの脇にはそのまま命を落とした仲間の遺体が横たわっていた。
”ひ……ひどい。ここは一体……どこなの?”
いつの間にかペンギンは姿を消すと、青ざめる結愛をよそに、結愛の頭の上に多くの渡り鳥が飛んでいた。
”うわッ。いつの間に鳥が……。でも、すごい数”
結愛がその姿に魅了されるのも束の間、何処からともなく猟銃の銃声が畳みかけるように鳴り響くと、羽をまき散らし次々と渡り鳥が地上に落ちていった。地上では猟銃を持った人間がはしゃぎながら鳥に向かって銃口を向けては引き金を引いている。地面には目を見開いたまま絶命した鳥達が踏みつけられていた。
”や、やめて……。そんなことしないで。笑いながらそんなこと……そんなことしないでよオオ――――ッ”
結愛が目を腫らして大声で叫ぶと、空を舞う鳥たちの姿が消えていった。
”な、なに? もう、やめて。もう……”
”ギイイィ――――ッ”
苦しみに満ちた甲高い声が何処からともなく聞こえてきた。結愛はその声を耳に入れると咄嗟に身を構えた。結愛の後ろの方で薄汚い下着を身に着けた農民たちが太い棒を振り上げて何かを打ち叩いている。
音に気づいて結愛が振り返ると、一匹のオランウータンが農民たちに寄ってたかって殴られている姿が目に映った。体中から血を滴らせ、すでに虫の息。
”ひ、ひどいよオオ―――ッ。やだッ、止めてェええええ――――ッ!”
血だらけになって絶命したオランウータンのそばには、アブラヤシの実が落ちていた。
”な、なんなのよオオッ。ここは一体何なのよォォオオオ―――!”
結愛は頭を抱えて泣き叫んだ。
遠くからローラーの回る音がする。
”こ、今度は一体何なの?”
結愛は極度に怯えた顔をした。目の前には檻に閉じこめられた多数のミンクがいる。
”……ウッ、この匂い”
結愛は手で鼻を押さえた。檻の中は腐った餌とミンクの糞尿が積み上がったままで、猛烈な悪臭を放っていた。ミンクは幼気な瞳でこちらを見つめている。
結愛は顔を引きつらせて首を左右に振る。
”……い、いやァ……”
結愛の左手に回転するローラー機が現れる。結愛はそれに気づくと恐る恐るそちらに視線を移した。回転するローラーからは皮がめくりあげられたミンクが次々と押し出されてくる。
”キャアアアアア―――――ッ!”
結愛は顔面を蒼白にして喉の奥から悲鳴を上げた。
床に落ちた血だらけのミンクたちはトラックの荷台に積まれると、少し離れた所に掘られた穴の中にゴミの様に捨てられた。相当深く掘られた穴だが、既に先客たちに占領されていっぱいだった。
”……うッ。……おええェ―――ッ”
結愛は下を向いて嘔吐した。
”……はあァ、はああ、……はぁ。……もう、やめて。お願い。……ここは一体、なんなのッ”
結愛は両手で髪を掻き上げた。すると突然、頭上に傷つけられた動物たちが現れた。彼らの身体からは細く赤い糸が伸びていた。糸は奥の方に向かって真っ直ぐに伸びている。
結愛は口元を手の甲でふき取ると、疲れ切った顔つきで奥の方に歩いて行った。
糸はネオンの様に赤く光っている。結愛は糸の先を目指してどこまでもどこまでも進んでいった。
”……ん?”
奥に人の気配がする。薄暗い空間の足元がかすかに明るくなった。
”……男の、子?”
小さな、小学校低学年くらいの男の子が立っている。その両手には、あの細く赤い糸が携えてられていた。
男の子は止めどなく涙を流している。
結愛は怪訝な顔をしながら男児の顔を見つめた。
”えっ? だれ? ……こ、この顔って、もしかして……お兄ちゃん? そうだよ、小学生ン時のお兄ちゃんだよ!どうしたの? 何で泣いてるの? この糸って……なんなの?”
矢継ぎ早に結愛が問いかけたその時、赤い糸が震えた。糸は大気を震わせ、音波となって結愛の耳に絡みつく。
”……痛いよォォォォ”
”……助けてッ! 怖いよ――ッ”
”やめてエ―――――ッ 死にたくないよォォ―――――!”
”苦しいィィ……”
無数の悲痛な声が糸を伝ってその空間に溢れてゆく。結愛は周囲をぐるりと見回した。動物たちの悲鳴が雨のように結愛と男児に降り注がれた。
男児は泣きながら口を開く。
”南極にいるペンギンは、人間が捨てていったごみの中を命を懸けて通らなきゃならない……”
結愛は振り返って男児を見た。
”渡り鳥は殺されていく。人間の遊び半分の娯楽のために。……鳥たちにはどうすることもできないのに”
”パーム油をつくるために森の人は住処を追われた。何も食べるものがなく必死の思いで農園に入って、そして殴り殺された……”
”ミンクは一体何のためにこの世に生まれた? 汚い檻の中で育ち、生きたまま生皮を剥がされ、最後はゴミとして捨てられるっていうのに……”
”ブタは生まれてすぐに尾っぽをカミソリで切られ、前歯を抜かれる……”
”ゾウはロケット弾で頭を破壊され、その牙を取られる。サイは首を落とされ角をもぎ取られる……”
男児の目からこぼれる落ちる涙が赤く染まる。
”このまま、みんなの命を見過ごせって言うの? みんなは苦しむだけの存在なの? おもちゃなの、邪魔者なの、ただの食べ物なの? みんなは……幸せになっちゃいけない生き物なの――――――ッ!”
収友は動物たちの苦痛を受け止めるかのように赤い糸を強く握り締めた。
結愛は唇を強く結ぶと、幼い収友のそばにゆっくり歩み寄った。収友は血の涙を流しながら天を仰ぐ。結愛は膝を落とすとそっと幼い収友を抱きしめた。結愛の頬に透明な涙が流れる。
”お兄ちゃん。……お兄ちゃんがこんな小さな時からみんなのことを考えていたなんて、全然知らなかったよ。みんなの、こんな辛く苦しい気持ちをずっとずっと一人で受け止めていたなんて……気付かなくて、ごめんね”
不意に結愛の意識が現世に戻ってきた。収友は頭を地面に擦りつけて泣き続けている。
「お兄ちゃん。……ごめんなさい。私、お兄ちゃんの気持ち全然理解しようとしなかったよ。お兄ちゃんはずっと、戦ってきてたんだよね、みんなのために。それなのに私は……。本当にごめんね、お兄ちゃん。うう……うええっ……」
結愛は両手で顔を覆うと涙に暮れた。
空を覆う厚い雲の切れ間から突如、光が差すと、兄妹を明るく照らした。その光景を遠巻きに見つめながら陽生は言った。
「……アイツらが小さかった頃を思い出すよ。……仲、良かったからな。あの頃は」
黄金に輝く光を一身に浴びながら、二人の兄妹はそれぞれが背負った悲しみに向き合った。
”これが……お兄ちゃんの心の中?”
結愛は辺りをキョロキョロと見回す。すると、向こうで何かが動いているのが目についた。
”ん? ……なに? あれェ? ぺ……ペンギンじゃない!”
一羽のペンギンがヒョコヒョコと歩いている。
”いやーっ! カワイイ――ッ”
結愛はペンギンに近づいてゆく。
”……ん? あれ? ち、ちょっと、血が出てるよッ!”
ペンギンの腹の辺りからは真っ赤な血が滲んでいた。
”ど、どうしたの! ちょッ、どうしたらいいのッ?”
結愛が傷ついたペンギンを手をこまねいて見ていると、もう一羽、上からペンギンが羽を伸ばして下に下りようとしていた。その周囲には錆び付いた、そして鋭く尖った鉄のくずが山のように捨てられていた。
”あぶない! 下りちゃダメよッ!”
結愛の声も空しく、ペンギンは滑るように下りると、突き出た鉄の先端が足元に触れて赤い血が吹き出した。
”キャアアッ!”
血の足跡を地面に作りながらペンギンは歩き続ける。鉄くずの脇にはそのまま命を落とした仲間の遺体が横たわっていた。
”ひ……ひどい。ここは一体……どこなの?”
いつの間にかペンギンは姿を消すと、青ざめる結愛をよそに、結愛の頭の上に多くの渡り鳥が飛んでいた。
”うわッ。いつの間に鳥が……。でも、すごい数”
結愛がその姿に魅了されるのも束の間、何処からともなく猟銃の銃声が畳みかけるように鳴り響くと、羽をまき散らし次々と渡り鳥が地上に落ちていった。地上では猟銃を持った人間がはしゃぎながら鳥に向かって銃口を向けては引き金を引いている。地面には目を見開いたまま絶命した鳥達が踏みつけられていた。
”や、やめて……。そんなことしないで。笑いながらそんなこと……そんなことしないでよオオ――――ッ”
結愛が目を腫らして大声で叫ぶと、空を舞う鳥たちの姿が消えていった。
”な、なに? もう、やめて。もう……”
”ギイイィ――――ッ”
苦しみに満ちた甲高い声が何処からともなく聞こえてきた。結愛はその声を耳に入れると咄嗟に身を構えた。結愛の後ろの方で薄汚い下着を身に着けた農民たちが太い棒を振り上げて何かを打ち叩いている。
音に気づいて結愛が振り返ると、一匹のオランウータンが農民たちに寄ってたかって殴られている姿が目に映った。体中から血を滴らせ、すでに虫の息。
”ひ、ひどいよオオ―――ッ。やだッ、止めてェええええ――――ッ!”
血だらけになって絶命したオランウータンのそばには、アブラヤシの実が落ちていた。
”な、なんなのよオオッ。ここは一体何なのよォォオオオ―――!”
結愛は頭を抱えて泣き叫んだ。
遠くからローラーの回る音がする。
”こ、今度は一体何なの?”
結愛は極度に怯えた顔をした。目の前には檻に閉じこめられた多数のミンクがいる。
”……ウッ、この匂い”
結愛は手で鼻を押さえた。檻の中は腐った餌とミンクの糞尿が積み上がったままで、猛烈な悪臭を放っていた。ミンクは幼気な瞳でこちらを見つめている。
結愛は顔を引きつらせて首を左右に振る。
”……い、いやァ……”
結愛の左手に回転するローラー機が現れる。結愛はそれに気づくと恐る恐るそちらに視線を移した。回転するローラーからは皮がめくりあげられたミンクが次々と押し出されてくる。
”キャアアアアア―――――ッ!”
結愛は顔面を蒼白にして喉の奥から悲鳴を上げた。
床に落ちた血だらけのミンクたちはトラックの荷台に積まれると、少し離れた所に掘られた穴の中にゴミの様に捨てられた。相当深く掘られた穴だが、既に先客たちに占領されていっぱいだった。
”……うッ。……おええェ―――ッ”
結愛は下を向いて嘔吐した。
”……はあァ、はああ、……はぁ。……もう、やめて。お願い。……ここは一体、なんなのッ”
結愛は両手で髪を掻き上げた。すると突然、頭上に傷つけられた動物たちが現れた。彼らの身体からは細く赤い糸が伸びていた。糸は奥の方に向かって真っ直ぐに伸びている。
結愛は口元を手の甲でふき取ると、疲れ切った顔つきで奥の方に歩いて行った。
糸はネオンの様に赤く光っている。結愛は糸の先を目指してどこまでもどこまでも進んでいった。
”……ん?”
奥に人の気配がする。薄暗い空間の足元がかすかに明るくなった。
”……男の、子?”
小さな、小学校低学年くらいの男の子が立っている。その両手には、あの細く赤い糸が携えてられていた。
男の子は止めどなく涙を流している。
結愛は怪訝な顔をしながら男児の顔を見つめた。
”えっ? だれ? ……こ、この顔って、もしかして……お兄ちゃん? そうだよ、小学生ン時のお兄ちゃんだよ!どうしたの? 何で泣いてるの? この糸って……なんなの?”
矢継ぎ早に結愛が問いかけたその時、赤い糸が震えた。糸は大気を震わせ、音波となって結愛の耳に絡みつく。
”……痛いよォォォォ”
”……助けてッ! 怖いよ――ッ”
”やめてエ―――――ッ 死にたくないよォォ―――――!”
”苦しいィィ……”
無数の悲痛な声が糸を伝ってその空間に溢れてゆく。結愛は周囲をぐるりと見回した。動物たちの悲鳴が雨のように結愛と男児に降り注がれた。
男児は泣きながら口を開く。
”南極にいるペンギンは、人間が捨てていったごみの中を命を懸けて通らなきゃならない……”
結愛は振り返って男児を見た。
”渡り鳥は殺されていく。人間の遊び半分の娯楽のために。……鳥たちにはどうすることもできないのに”
”パーム油をつくるために森の人は住処を追われた。何も食べるものがなく必死の思いで農園に入って、そして殴り殺された……”
”ミンクは一体何のためにこの世に生まれた? 汚い檻の中で育ち、生きたまま生皮を剥がされ、最後はゴミとして捨てられるっていうのに……”
”ブタは生まれてすぐに尾っぽをカミソリで切られ、前歯を抜かれる……”
”ゾウはロケット弾で頭を破壊され、その牙を取られる。サイは首を落とされ角をもぎ取られる……”
男児の目からこぼれる落ちる涙が赤く染まる。
”このまま、みんなの命を見過ごせって言うの? みんなは苦しむだけの存在なの? おもちゃなの、邪魔者なの、ただの食べ物なの? みんなは……幸せになっちゃいけない生き物なの――――――ッ!”
収友は動物たちの苦痛を受け止めるかのように赤い糸を強く握り締めた。
結愛は唇を強く結ぶと、幼い収友のそばにゆっくり歩み寄った。収友は血の涙を流しながら天を仰ぐ。結愛は膝を落とすとそっと幼い収友を抱きしめた。結愛の頬に透明な涙が流れる。
”お兄ちゃん。……お兄ちゃんがこんな小さな時からみんなのことを考えていたなんて、全然知らなかったよ。みんなの、こんな辛く苦しい気持ちをずっとずっと一人で受け止めていたなんて……気付かなくて、ごめんね”
不意に結愛の意識が現世に戻ってきた。収友は頭を地面に擦りつけて泣き続けている。
「お兄ちゃん。……ごめんなさい。私、お兄ちゃんの気持ち全然理解しようとしなかったよ。お兄ちゃんはずっと、戦ってきてたんだよね、みんなのために。それなのに私は……。本当にごめんね、お兄ちゃん。うう……うええっ……」
結愛は両手で顔を覆うと涙に暮れた。
空を覆う厚い雲の切れ間から突如、光が差すと、兄妹を明るく照らした。その光景を遠巻きに見つめながら陽生は言った。
「……アイツらが小さかった頃を思い出すよ。……仲、良かったからな。あの頃は」
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