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第二章 宝玉とわがままな神子

27 ズルい男① sideレオ

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 露天風呂で海里がのぼせてしまい、そのまま眠りについた日、ふと泣いている気配で目が覚めた。
 夜の帳はまだ下りたままのようで、辺りは暗い。俺の身体もまだ人型のままだ。
 隣で眠っているはずの海里が俺の胸元に顔を埋め、嗚咽をこらえて泣いていた。

「どうした海里。具合が悪いのか?。」

「…。」

 返事がない。眠っているのか?。
 契約の解除の件でまだ思い悩んでいるのだろうか?

「かーいり、黙っていては分からん。教えてくれ。」

 耳元で囁くと、海里の身体がビクッと震え、モゾモゾと動き始めた。海里の腕が俺の首にまわり、ますます身体が密着する。
 俺は、海里の背中と腰に手を添えて抱き寄せた。

「ん、レオ。」

 海里の囁きの声に喜色を感じ、両腕に力を込めると、海里も抵抗することなく俺の腕のなかに収まる。しかし、その後のアクションがない。

「どうした?。夢見が悪かったのか?。」

「ん、レオ…。キス…。」

 問いかけに、目を軽く瞑ったまま俺の喉仏におでこをすり付けてくる。どうやら眠っているようだ。

 本人にはとても言えないが、本当に成人しているのだろうか?。もともと見た目が幼い上に、寝ぼけるその仕草が、言動が、どうしても成人した男性とは思えず可愛らしさはもちろん、愛おしさが溢れてくる。
 その癖時おり見せる表情やその決意が、やはり一人前の男なのだと感じずにはいれない。
 
 俺は、海里の艶やかな黒髪の感触を味わいながら、その頭皮に口づける。このまま眠らせてあげたい気持ちもあるが…、煽ったのはおまえだぞ?。神子を求める気が抑えきれない。

「良い匂い…、ん、どうしたの?。銀様?。朝?」

 俺の願いが届いたのか匂いに反応したからか、海里が目を覚まして、俺を見上げる。

「どうかしたのはおまえだぞ。泣いていたり、キスをねだったりしてきたぞ。」

 俺は、静かに囁きながら、海里の目尻の涙をすくいとってやる。

「えっ、そそそそそんなことをしてないだろ。」
 
「ふふ、お前のこの両腕が証拠だ。」
    
「え。うっわ。ごごごめん。」

 海里が焦って俺の首に巻き付いていた手を離して身体も離そうとする。俺は逃がさないように腰に回した手に力を込め、涙をすくいとった手で海里の顎を支えると、そのまま口づけた。
 あからさまに海里の身体がびくり揺れるが、舌で海里の整っている歯列をなぞり、口蓋を擦り、舌を味わうと、海里もそれに答えてくれる。
 刺激でお互いの唾液も溢れてきて、海里の喉仏が上下する。その刺激すら気持ちいい。俺の匂いなのか、海里の発情の匂いなのか、辺りに甘く心地よい匂いが立ち込める。

「な、なに?。なんで?。レオ?。ん、ん。」

「海里、せっかく起きたんだ。お前をまた抱きたい。お前と一つになりたいが、許してくれるか?。」

 俺は、海里を抱き込む形で上に乗り上げ、海里の頬に両手を添えて、懇願をする。
 返事を待つ間も、海里の唇や鼻を嘗めなたい気持ちを抑えることができなかった。

「あ、ん。レオの匂い気持ちいいよ。お、俺、発情しちゃって、んあ。や、俺も、レオとしたい。けど、けど、ごめんレオ。俺まだよく分からない…。あっ、やっ。」

 俺は海里の衣服の中へと手を忍ばせ、その触り心地のよい薄い腹や小さな乳首を堪能しながら海里の身体を暴いていった。

 律儀な海里。俺みたいな悪い男に翻弄されて、快楽の高みへとのぼっていく。こんなに容易く身体を開くのは、俺限定だとその感じやすい身体に刻み付けてやりたくなるのは、俺の傲慢さだと自覚はある。
 俺は海里の心よりも先に身体を奪ってしまった悪い奴なのだから、海里が謝ることなぞ何もないのに。

「むしろ謝るのは俺の方なのだぞ、海里。」

「え?。何が?、なんで?。あっ、んんん、んぁ。」

「海里。おまえの気持ちはおまえのものだ。答えはすぐ出さなくてもいいさ。」

「でも、俺、レオの気持ちに正しく答えたいんだ。けど、まだ分からなくて。ごめんね。俺、ズルくてダメな奴だから、レオとこんなことしてるのに…。優君のことだって、俺、俺、レオ達に頼ることしかできなくて…。ふぇ、泣くのは卑怯だし、情けない。俺は、俺は。」

 やはり、そう言うことだろう。真面目というか、純真というか…。

「かーいり。前にも言ったが、答えを急がなくて良い。おまえはおまえのやりたいことをして良いぞ。そのために俺が居る。俺が、海里と一緒に、居たいんだ。」

「俺っ、レオと一緒に居たい。レオと一緒に優君達を助けたい。」

「あぁ、それで十分だ。おまえはおまえのしたいと思うことをして良いんだ。俺は、おまえの願いを叶えてやりたい。それが俺のやりたいことだ。」

「レオ、ありがとう。ありがとう。ごめんね。」

「謝らなくて良いさ、俺は、ゆっくり待つと決めている。だがな、俺は、おまえに惚れているから、おまえに選ばれるように、これからも口説くからな。そこは譲れん。」

「くすくす。なんだよそれっ。おれ、これでもすごく悩んでるんだぞ。でも、ありがとう。レオ、大好き。あ、いや、その、ちがくて。でも、す、好きなんだよ。」

「ふふ、その言葉だけで今は大満足だ。
 さて、わがまま神子の機嫌もなおったようだし、今はおまえと一緒に気持ちよくなりたい。おまえの中に入れてくれ。」

「な、なんだよ、俺。わがままじゃないし。てか、もういつの間に服脱いでるんだよ。俺達、結構真面目な話してたよな?って、ちょ、ちょ、あっ、んぁ。ま、まって。」

 ここで待たないのが、ズルい男、悪い男なんだよ。と、心の中で思いながら、俺は再び海里の口を塞いだ。




 
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