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第二章 宝玉とわがままな神子

6 悔しい

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「ひ、ひ、ひ、や。いや。いや。」
「何が嫌なものですか、さぁ、災厄の神子にあなたの淫らな姿を見せつけておやりなさい。」

 俺は裸に剥かれ、両手両足をそれぞれ柱に縛られ、優君がテドールに蹂躙されている様を見せられ続けていた。

「見ないで。あ、ひ、ひ、や。見な、いで。」
「やめろ!。優君が嫌がっているだろう!!。」
「ほらほら、あなたも災厄の神子も、私が欲しいと蜜を溢しているじゃあありませんか。」


 あの時、俺たちは簀巻き状態でここまで運ばれて、優君はテドールの命令に逆らえなくて、泣きながら俺の服を脱がした。俺が逆らうと優君が殴られるから、俺も言うことを聞かざるを得なかった。
 優君は自分も裸になると、震えながら四つん這いの格好を取らされた。テドールの奴は臭いを濃くすると、ズボンと下着をずらしただけで、優君にのしかかって無理やり優君のお尻に間に自分のものを押し込んだ。
 優君は泣いて痛がって、血を流していた。

 悔しい、優君のために何かしてやりたいのに、俺の魔法はすべて跳ね返されて、逆にテドールの気の臭いで更に発情させられて、これではまるで、人のセックスを見てエッチな気持ちになっている変態だ。
 しかも、優君は嫌がって泣いているのに。俺も泣くことしかできないなんて。

 この、一室にはテドールが持ってきたのか、ランタンの明かりに照らされて、室内は明るい。
 その壁の一角には、黒いものが蠢いている。
 最初は影が映っているのかと思ったけれど、よくよく見たら、小さなクモのような虫がとてもたくさんいた。俺たちを捕まえたのはこのクモ達なんだろう。
 時々、俺の流す諸々や優君の諸々が床に落ちると近づいてきて、何かやっている。魔物なのだろうか?。レオ達が、サルは三つ目ウサギの魔物を眷属にしていて、俺を誘導したと言っていた。テドールもこのクモもどきを眷属として使っているんだろう。
 

「それにしても、ろくな力も付与できない出来損ないの神子とばかり思っていましたが、災厄の神子を連れて帰ってくるなんて、実にお手柄ですよ。」

 白い糸を重ねて作られたマットのような敷物に背中を押し付けられて組み敷かれた優君の乳首をなめ上げて、テドールがほくそ笑む。
 何を言っているんだ?。優君の言葉は分かるのに、テドールの言葉は片言しか分からない。

「すっかり他の獣の臭いをつけられて、薄汚い神子ですが、褒美に私の匂いをつけなおして、子種を授けてやりますからね。感謝なさい。」

 何か言いながら、テドールはグチュっと言う音と共に再び優君の中に肉棒を突き挿れる。

「嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、いやーーーっ。」

 優君が半狂乱で頭を左右に振り続けていても、テドールの動きは容赦なく、上下に優君は揺さぶられている。

「ほほほほ、そんなに善いのですか。あなたのはしたない蜜で私の服が汚れてしまいそうですよ。
 でも、まだ我慢です。私と一緒に果てて、子を孕むのですよ。
 あなたの処分は子を産んでからにしてあげますからね。」

 テドールは、優君の足をさらに押し広げ、二つ下りにする勢いで優君の中に肉棒を深く差し込み、激しい抽挿を繰り返す。辺りに肉のぶつかり合う音とグプグプと言う水気を含んだ音がこだまする。

「やだ、やだ、た、す、け、て。あ、あ。」

「さぁ、たっぷり注いであげます。私の子を孕みなさい。」

「嫌、嫌、嫌、嫌、ユージーン、ユージーン。」

 優君がユージーンさんを呼ぶと、テドールが優君の首を鷲掴みにする。

「黙りなさい。この出来損ない神子が。いっそこのまま処分しても良いんですよ。」

 優君の顔がみるみる赤くなっていく。

「やめろ、殺す気か?。手を離せっ。」

「やかましいですよ災厄の神子。この出来損ないを孕ませたら、次はあなたです。
 あなたは私にどんな力を付与してくれるのでしょうね。楽しみですよ。」

 テドールは優君の首を絞めながら、更に激しく動く。

「殺して、僕を殺して。」

 優君が涙を流しながら俺を見てそう言う。
 俺の中で、何かが切れた音がした。

 俺の視界が真っ赤に染まる。耳にはキーンと言う耳障りな音以外聞こえない。臭いも感じない。
 魔物?、糸?、そんな些末なもの俺には関係ない。この可哀想な人を助ける。この人ならざるものに制裁を。

 体が熱い。糸は焼いてしまえ。この馬鹿野郎とそれに与する輩はすべて許さない。

 感情の湧き立つままに、俺の手足を戒めていた糸が焼き切れ、俺は床に降り立つことができた。
 テドールは優君に夢中で俺の動きに気づいていないのか、俺に背を向け腰をかくかくと動かしている。

 クモ達が俺に向かって近づいてくる。
 こいつらも邪魔をするなら許さない。
 この可哀想な人さえ助かれば、俺はどうなっても良い。

 俺は拳を握ると、クモ達に右腕を向けてた。そして、拳の中で熱く湧き立つものを放とうとした。





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