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【煌めきLEVEL/MAX】
*旅行一日目
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翌日、ヒロ君はエビグラタンを作ってくれた。ホワイトソースから手作りしてくれて、とても美味しかった。
私もヒロ君みたいに料理上手になりたいな。普段は原稿に追われて、朝昼は簡単な物で済ましたり、修羅場の時は対馬さんと福島さんの差し入れを食べたりしているから、料理はほとんどしないに等しい。
「今日もとても美味しかったです。エビグラタン大好きだから嬉しいです」
「昨日から海老づくしでごめん。簡単に作れるホワイトソースを試したかったから、エビグラタンにしちゃったんだ」
ヒロ君は来る度に、電子レンジで温めて食べればOKの翌日の朝ごはんまで用意してくれている。私はパソコンでメールを確認したりしながら、ヒロ君が作業している姿をチラ見する。
キッチンに立っている姿も様になっていて、素敵……!
「カナミちゃん、明日の朝は鮭を焼いて、お味噌汁も用意してあります。冷めたら冷蔵庫にしまってね。残りの鮭は小分けにして冷凍してあるよ」
今日はスーパーで鮭の切り身のパックがお買い得だったので、多めに購入して冷凍してくれた。ヒロ君は私よりもテキパキとして家事が早い。お手伝いさんをお願いして良かった!
「もう時間だね。二時間ってあっという間だよ」
気付けばもう契約時間の二十時が間近に迫っていた。
「今度……一緒に料理をしても良いですか?」
ヒロ君に思い切って聞いてみる。
「いいよ。一緒に作ろう」
笑顔で快く引き受けてくれた。
「そう言えば、旅行なんだけど……もう一人追加しても良いですか?俺の親友なんだけど……カナミちゃんも不安だったり、心細かったら友達を誘っても良いよ」
「はい、ありがとうございます」
私には誘える友達は見当たらない。男の子二人に私が一人だとバランスが取れないかな?三人になれば、対馬さんも福島さんも許してくれるだろうか?
***
──許してくれるどころか、当日の旅行の人数が増えた。蓋を開ければ、ヒロ君のお友達と対馬さん、福島さんを合わせて全員で五人になった。
「初めまして、裕貴と言います。宜しくお願い致します」
「い、いつも……ヒロ君にお世話になってます、カナミです。こちらがアルバイト先の仕事仲間の対馬さんと福島さんです」
未成年だけの旅行だったので、対馬さん達が着いてきてくれて良かった。やはり、未成年だと宿泊先の予約もままならないから、大人がいて助かった。
保護者のような二人は、旅行の当日も監視をしている。男の子が二人に増えたことで更にダメ出しをされた。
『カナちゃん、女の子一人だなんて、騙されてるんじゃないの?信用ならない』と対馬さんに言われ、二人が着いて来ることになった。
対馬さんなんて、もう来ないとか言ってたくせに……旅行まで着いてきてくれてるし。過保護過ぎる。
行き先は東北の海辺。
新幹線に乗って、ワイワイと騒いでいる。私は皆が楽しそうに話しているのを見ているだけで幸せ。
「え? Wヒロとも、国立大目指してるの? そしてフリーなの? もしかして、二人は出来てるとかじゃないよね?」
福島さんがWヒロ君に詰め寄る。裕貴君はヒロ君の同級生であり、親友らしい。
「俺がコイツと? ありえないでしょ。女の子じゃなきゃ無理!」
裕貴君が笑いながら答える。
「爽やかなイケメンが二人も揃ってフリーの方が有り得ない! だったら、変な性癖があるとか……?」
「ないですってば! 福島さんは疑い深いですねぇ」
高校の時は行けないままに学校を辞めてしまったけれど、楽しくて修学旅行みたい。行けなかった分、神様が代わりに与えてくれた旅行なのかな?
私はとても楽しいけれど、向かい合わせにした座席で唯一つまらなそうにしていて、窓の外をぼんやりと眺めているフリをしている対馬さん。
明らかにムスッとしている。
ヒロ君から行き先を聞き出し、ホテルや新幹線の手配などを全てしてくれたのは対馬さんだ。
対馬さんはヒロ君が好きにはなれないらしいけれど、今日がチャンスだから打ち解けて欲しいと心から願う。
福島さんのペースに巻き込まれ、あっという間に新幹線を降りる時が来てしまった。
その後に電車を乗り継ぎ、目的地に到着した。
一日目は周辺を観光すると予定が決められている。わざわざ、しおりを作成してくれたのは裕貴君。集合時間やホテルに移動する時間などが記載されている。渡された瞬間に感激して、何度も見返してしまった。
帰宅したら、このしおりは大切に保管しておこう。
「カモメに餌やりか笹かまを食べるか……」
福島さんは遊覧船の時間を見てから、道路を渡った場所にある笹かま屋さんを見て、自由時間に何をするか決めかねているらしい。
「福島、お土産も買いたいなら笹かまは明日にしろよ。もうすぐ遊覧船が出発するみたいだから、そっちに行こう」
対馬さんの誘導により、満場一致で遊覧船に乗ることに決定。
遊覧船のデッキからカモメにエビせんをあげたのだけれど、沢山来てちょっと怖かった。泣きそうになりながらも餌をあげているところを二箇所から写真を撮られた。
ヒロ君と福島さんだった。
元々、対馬さんと福島さんはコミックスの巻末ページが余るかもしれないから、そこに旅行漫画を描き下ろそうか? と提案して、企画にOKが出たから着いてこれたのだ。
私は身元バレがしたくないので、私本人は登場させずに漫画のキャラが旅行に行ったら?みたいなパラレルワールドで書かせてもらうつもりだ……
「カナミちゃん、泣きそうだけど大丈夫?」
「何とか大丈夫……でした」
カモメが全力でエビせんを食べに来るから驚いた。エビせんが全部なくなり、座席に座ると隣にヒロ君が座った。その隣に裕貴君が座った。
「ねぇねぇ、カナミちゃん。海大ってね、こう見えてゲーマーだし、漫画好きなんだよ」
「……っさいな、こないだ暴露したからカナミちゃんも知ってるから、二度も言わなくて良いんだよ!」
裕貴君がヒロ君を押し退けて、話しかけてくるので私は躊躇してしまった。裕貴君はとてもフレンドリーで私にもどんどん話しかけてくる。
「……今、ミヒロって言いました?」
「言ったよ。海が大きいって書いて、ミヒロだよ。……え? カナミちゃん、本名知らなかったの?」
対馬さんに履歴書を見せてもらえなかったので、ヒロ君の本名は知らなかった。裕貴君に教えて貰えて良かった。
私と同じ名前、"ミヒロ"……偶然にしても、漢字が違うにしても、同じ名前だなんて滅多にない。私は嬉しくて、頭の中がぽわぽわしている。
「伊野田 海大、高校二年だよ。将来の夢は公務員になっ、……っんー」
「裕貴! 黙って聞いていればベラベラ喋って!」
ヒロ君の代わりに裕貴君が自己紹介をしてくれたが、ヒロ君に口を手を塞がれてモゴモゴしている。そのやり取りを見ては、心が暖かくなって微笑みが零れた。
二人を見ていたら、高校時代の茜ちゃんと私の関係を思い出した。
私達が二人で一緒に過ごした日々は常に輝いていて、楽しかった。思い出は美化されるなどと良く言うけれど……
私達二人にはそんなことなど有り得なかった。
二人だけの思い出は本当に青春そのものの、友情物語。
誰が居いなくても、茜ちゃんさえいてくれれば、それで良かった。今だに茜ちゃんが居たら、高校生活は潤っていただろう、などと考える時がある。
今、茜ちゃんはどこに住んでいて、どんな生活をしているのかな? 今の私を見ても、茜ちゃんは私を大好きと言ってくれますか……?
「カナちゃん、今日の夜はこの周辺に泊まって、明日は電車で少し移動するけど着いてきてくれる?」
「はい、行きます。でも、どこまで行くのですか?」
「それはね、明日までのお楽しみだよ」
裕貴君とじゃれていたヒロ君が私に話をかけてくる。裕貴君は福島さんに拉致されて、ご当地グルメを探しに行くとかで連れて行かれてしまった。見渡せば対馬さんもいなくて、私達は二人きりだった。
「ホテルの食事に間に合うように集合かけといたから大丈夫だよね? 俺達もどこか行こうか?」
「……は、……はい、喜んで」
ヒロ君と二人きりになった私は心臓が有り得ない位に跳ね上がる。そして、まさかのデート!
私達は笹かま屋さんに寄って、焼きたての笹かまを食べたり、お土産屋さん巡りをした。読者プレゼントに使うお土産も買い、ヒロ君に「随分と沢山のお土産だね」と言って笑われた。無事にお土産の宅急便の手配をし、ホテルに戻った。
私もヒロ君みたいに料理上手になりたいな。普段は原稿に追われて、朝昼は簡単な物で済ましたり、修羅場の時は対馬さんと福島さんの差し入れを食べたりしているから、料理はほとんどしないに等しい。
「今日もとても美味しかったです。エビグラタン大好きだから嬉しいです」
「昨日から海老づくしでごめん。簡単に作れるホワイトソースを試したかったから、エビグラタンにしちゃったんだ」
ヒロ君は来る度に、電子レンジで温めて食べればOKの翌日の朝ごはんまで用意してくれている。私はパソコンでメールを確認したりしながら、ヒロ君が作業している姿をチラ見する。
キッチンに立っている姿も様になっていて、素敵……!
「カナミちゃん、明日の朝は鮭を焼いて、お味噌汁も用意してあります。冷めたら冷蔵庫にしまってね。残りの鮭は小分けにして冷凍してあるよ」
今日はスーパーで鮭の切り身のパックがお買い得だったので、多めに購入して冷凍してくれた。ヒロ君は私よりもテキパキとして家事が早い。お手伝いさんをお願いして良かった!
「もう時間だね。二時間ってあっという間だよ」
気付けばもう契約時間の二十時が間近に迫っていた。
「今度……一緒に料理をしても良いですか?」
ヒロ君に思い切って聞いてみる。
「いいよ。一緒に作ろう」
笑顔で快く引き受けてくれた。
「そう言えば、旅行なんだけど……もう一人追加しても良いですか?俺の親友なんだけど……カナミちゃんも不安だったり、心細かったら友達を誘っても良いよ」
「はい、ありがとうございます」
私には誘える友達は見当たらない。男の子二人に私が一人だとバランスが取れないかな?三人になれば、対馬さんも福島さんも許してくれるだろうか?
***
──許してくれるどころか、当日の旅行の人数が増えた。蓋を開ければ、ヒロ君のお友達と対馬さん、福島さんを合わせて全員で五人になった。
「初めまして、裕貴と言います。宜しくお願い致します」
「い、いつも……ヒロ君にお世話になってます、カナミです。こちらがアルバイト先の仕事仲間の対馬さんと福島さんです」
未成年だけの旅行だったので、対馬さん達が着いてきてくれて良かった。やはり、未成年だと宿泊先の予約もままならないから、大人がいて助かった。
保護者のような二人は、旅行の当日も監視をしている。男の子が二人に増えたことで更にダメ出しをされた。
『カナちゃん、女の子一人だなんて、騙されてるんじゃないの?信用ならない』と対馬さんに言われ、二人が着いて来ることになった。
対馬さんなんて、もう来ないとか言ってたくせに……旅行まで着いてきてくれてるし。過保護過ぎる。
行き先は東北の海辺。
新幹線に乗って、ワイワイと騒いでいる。私は皆が楽しそうに話しているのを見ているだけで幸せ。
「え? Wヒロとも、国立大目指してるの? そしてフリーなの? もしかして、二人は出来てるとかじゃないよね?」
福島さんがWヒロ君に詰め寄る。裕貴君はヒロ君の同級生であり、親友らしい。
「俺がコイツと? ありえないでしょ。女の子じゃなきゃ無理!」
裕貴君が笑いながら答える。
「爽やかなイケメンが二人も揃ってフリーの方が有り得ない! だったら、変な性癖があるとか……?」
「ないですってば! 福島さんは疑い深いですねぇ」
高校の時は行けないままに学校を辞めてしまったけれど、楽しくて修学旅行みたい。行けなかった分、神様が代わりに与えてくれた旅行なのかな?
私はとても楽しいけれど、向かい合わせにした座席で唯一つまらなそうにしていて、窓の外をぼんやりと眺めているフリをしている対馬さん。
明らかにムスッとしている。
ヒロ君から行き先を聞き出し、ホテルや新幹線の手配などを全てしてくれたのは対馬さんだ。
対馬さんはヒロ君が好きにはなれないらしいけれど、今日がチャンスだから打ち解けて欲しいと心から願う。
福島さんのペースに巻き込まれ、あっという間に新幹線を降りる時が来てしまった。
その後に電車を乗り継ぎ、目的地に到着した。
一日目は周辺を観光すると予定が決められている。わざわざ、しおりを作成してくれたのは裕貴君。集合時間やホテルに移動する時間などが記載されている。渡された瞬間に感激して、何度も見返してしまった。
帰宅したら、このしおりは大切に保管しておこう。
「カモメに餌やりか笹かまを食べるか……」
福島さんは遊覧船の時間を見てから、道路を渡った場所にある笹かま屋さんを見て、自由時間に何をするか決めかねているらしい。
「福島、お土産も買いたいなら笹かまは明日にしろよ。もうすぐ遊覧船が出発するみたいだから、そっちに行こう」
対馬さんの誘導により、満場一致で遊覧船に乗ることに決定。
遊覧船のデッキからカモメにエビせんをあげたのだけれど、沢山来てちょっと怖かった。泣きそうになりながらも餌をあげているところを二箇所から写真を撮られた。
ヒロ君と福島さんだった。
元々、対馬さんと福島さんはコミックスの巻末ページが余るかもしれないから、そこに旅行漫画を描き下ろそうか? と提案して、企画にOKが出たから着いてこれたのだ。
私は身元バレがしたくないので、私本人は登場させずに漫画のキャラが旅行に行ったら?みたいなパラレルワールドで書かせてもらうつもりだ……
「カナミちゃん、泣きそうだけど大丈夫?」
「何とか大丈夫……でした」
カモメが全力でエビせんを食べに来るから驚いた。エビせんが全部なくなり、座席に座ると隣にヒロ君が座った。その隣に裕貴君が座った。
「ねぇねぇ、カナミちゃん。海大ってね、こう見えてゲーマーだし、漫画好きなんだよ」
「……っさいな、こないだ暴露したからカナミちゃんも知ってるから、二度も言わなくて良いんだよ!」
裕貴君がヒロ君を押し退けて、話しかけてくるので私は躊躇してしまった。裕貴君はとてもフレンドリーで私にもどんどん話しかけてくる。
「……今、ミヒロって言いました?」
「言ったよ。海が大きいって書いて、ミヒロだよ。……え? カナミちゃん、本名知らなかったの?」
対馬さんに履歴書を見せてもらえなかったので、ヒロ君の本名は知らなかった。裕貴君に教えて貰えて良かった。
私と同じ名前、"ミヒロ"……偶然にしても、漢字が違うにしても、同じ名前だなんて滅多にない。私は嬉しくて、頭の中がぽわぽわしている。
「伊野田 海大、高校二年だよ。将来の夢は公務員になっ、……っんー」
「裕貴! 黙って聞いていればベラベラ喋って!」
ヒロ君の代わりに裕貴君が自己紹介をしてくれたが、ヒロ君に口を手を塞がれてモゴモゴしている。そのやり取りを見ては、心が暖かくなって微笑みが零れた。
二人を見ていたら、高校時代の茜ちゃんと私の関係を思い出した。
私達が二人で一緒に過ごした日々は常に輝いていて、楽しかった。思い出は美化されるなどと良く言うけれど……
私達二人にはそんなことなど有り得なかった。
二人だけの思い出は本当に青春そのものの、友情物語。
誰が居いなくても、茜ちゃんさえいてくれれば、それで良かった。今だに茜ちゃんが居たら、高校生活は潤っていただろう、などと考える時がある。
今、茜ちゃんはどこに住んでいて、どんな生活をしているのかな? 今の私を見ても、茜ちゃんは私を大好きと言ってくれますか……?
「カナちゃん、今日の夜はこの周辺に泊まって、明日は電車で少し移動するけど着いてきてくれる?」
「はい、行きます。でも、どこまで行くのですか?」
「それはね、明日までのお楽しみだよ」
裕貴君とじゃれていたヒロ君が私に話をかけてくる。裕貴君は福島さんに拉致されて、ご当地グルメを探しに行くとかで連れて行かれてしまった。見渡せば対馬さんもいなくて、私達は二人きりだった。
「ホテルの食事に間に合うように集合かけといたから大丈夫だよね? 俺達もどこか行こうか?」
「……は、……はい、喜んで」
ヒロ君と二人きりになった私は心臓が有り得ない位に跳ね上がる。そして、まさかのデート!
私達は笹かま屋さんに寄って、焼きたての笹かまを食べたり、お土産屋さん巡りをした。読者プレゼントに使うお土産も買い、ヒロ君に「随分と沢山のお土産だね」と言って笑われた。無事にお土産の宅急便の手配をし、ホテルに戻った。
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