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【海大/BLACK TURN】
*高校生活
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新学期が始まり、いよいよ、高校生!
入学式が終わり、今日からは普通に通学の日。
ワクワクしながら制服の袖を通し、駅までは自転車で向かう。朝からポカポカして暖かくて、太陽の煌めきが心地好い。
仲の良い友達は一人も同じ高校には進学しなかった。自分一人で高校の門をくぐることになるから、内心はドキドキしている。
知り合いは今は茜ちゃんしかいないけれど、すぐに友達はできる、そう思って高校の門を通り抜けた。
何となくだけど……見渡す限りでは真面目な生徒ばっかり居るなぁ。俺も気持ちを入れ替えて頑張ろう!!
先日の入学式に張り出されていたクラス分けに従い、教室に入る。
朝のホームルームが始まるまで、クラスメイト達は読書をしたりしていた。俺は本なんて基本は読まないので、人間観察をしていた。 そんな時、後ろの席の男子に肩を叩かれた。
「ねー、ねー、どこ中? 俺はすぐ近くの三中。井上 裕貴で、皆はヒロって呼んでるよ。宜しくな」
「俺は一中だよ。伊野田 海大で俺もヒロって呼ばれてる」
「マジか! 同じヒロだと分かりにくいな」
お互いに"ヒロ"と呼ばれていたので、お互いに笑ってしまった。話しかけてくれた裕貴は、中学時代はバスケ部のエースだったらしい。エースなのに勉強も出来るって凄い。裕貴とはすぐに打ち解けた。
裕貴は明るく、人気者になった。誰にでも分け隔てなく優しくて、スポーツマンで頭も良いので先生からも信頼が厚い。
学級委員を決めた時も投票ダントツ一位になった。真面目君が集まる進学校でこれ程までの人気とは圧倒させられる。裕貴とつるんでいるせいか、俺は副委員長に任命された。
「wヒロ、いーねぇ。二人でこのクラスを盛り上げていってくれよ。勉強も大切だけど、先生も一緒にアオハルしたいから宜しくな」
「あはははっ、先生、面白い」
「楽しくなりそうだねー。このクラスで良かった!」
担任の先生も二十代後半で明るいから、クラスの雰囲気が日に日に変わっていった。勉強に根詰めている生徒もいたが、大半が勉強も青春も大切にしていた。
***
「海大さ、探してる女の子は見つかったの?」
「……見つからない。二学年の教室には立ち入れないし分からない」
「そっかぁ、残念。俺、海大のタイプの女の子、見てみたかったなぁ。俺も協力するから諦めないで探そっ」
「ありがとな、裕貴がいてくれて心強い」
数日後の昼休み、弁当を食べながらの会話。一週間経っても、茜ちゃんは見つからない。潤兄はかろうじて学校には通っているが、前みたいな笑顔はなく、茜ちゃんが自宅に遊びに来る事もなかった。
もしかしたら、潤兄は茜ちゃんと別れたのかな?
潤兄の元気がなさすぎて、聞きたいけれど聞き出せない。茜ちゃんの話題は出せない位に、笑わないし、雰囲気も暗い。
授業中、他のクラスが校庭で体育の授業をしていた。俺の席は窓際だった為、ぼんやりと眺めていた。
俺はゲームばかりしているが、目は良い方で体育用のスニーカーの紐が緑だと認識した。学年毎に色分けされているから、緑は確か……二学年。
今日はハードルと幅跳びの授業らしい。一人だけ見学者がいて、校庭の隅に座っている。進学校には似つかわしくないような、少し派手な女の子。
あの女の子、茜ちゃんと一緒にいたのを見たことがある。
潤兄と茜ちゃんと一緒に居るのを見た事がある。駅前で通りすがりだったから、話したこともなく、女の子が誰なのかも聞かなかったけれど……
茜ちゃんは何人かのグループで駅前では見かけた日がある。あの女の子に聞けば、茜ちゃんがどうしてるのか分かるのかな?
二学年の教室には一学年が出入りできないようになっている。待ち伏せしようにも、帰る時間帯も分からない。名前も知らない。
以前、俺と同じ名前だと言っていた茜ちゃんの親友とも限らない。
けれども、茜ちゃんのことを調べて俺は何がしたいのだろう?
茜ちゃんは気になるけれど、潤兄から奪いたいの? 茜ちゃんをどうしたいんだ?
俺は校庭を眺めながら、頭をクシャッとかいた。今日はいつも以上に授業が頭に入っていかなかった。
ただ、茜ちゃんに俺は会いたかっただけなんだ。
夏休みに入る前だっただろうか?
裕貴と帰っている時、駅前で声をかけられた。
「伊野田 海大……お前、伊野田 潤の弟だろ?」
「……はい、それが何か?」
「お前のお兄ちゃんのせいで、俺達も停学くらったんだよね。ちょっとお話聞いてくれる?」
「……分かりました。裕貴、先に帰ってて」
男子二人に女子三人、何なんだよ。俺は裕貴を先に帰して、駅裏へと着いて行った。あっさりと裕貴が帰ってくれて良かった。悪い予感しか感じないので、見捨てたとは思わない。俺も裕貴を巻き込みたくないから、それで良かったんだ。
「お友達帰しちゃって大丈夫? ジュンちゃんと一緒で正義感強いんだね?」
「俺達ももう停学になりたくないから、手は出さないよ~。まぁ、ミヒロちゃんから手を出されたら正当防衛だから、分からないけどね」
男子二人がニヤニヤと笑っている。取り巻きの女子三人もヒソヒソ話をしている。
あれ? 女の子の一人は校庭で見かけた子かもしれない。
目の前の奴らは皆、俺と同じ制服だ。
潤兄はコイツらとケンカしたのか? ケンカなんて無縁だった、潤兄が何故ケンカなんかしたんだよっ!
潤兄がケンカしたのは春休み前。……だとすると、コイツらは俺よりも上級生か? 自宅に来た時に顔はよく見えなかったが、今度こそ覚えたぞ。
「ミヒロ君、茜ちゃんの居場所知ってる? 私達、連絡が取れなくて困ってるの」
校庭にいたらしき女の子が、しなっとしながら俺に聞いてきた。俺は両腕を男子二人に羽交い締めにされてるから、逃げることも何も出来ない。
「……知りたいのは俺もだよ! 俺だって、茜ちゃんの居場所知りたいんだよ! 学校でも見かけないし……!」
俺は喚き散らした。
「なぁんだ、この子は何も知らないんだ? 茜ちゃんはね、潤君が妊娠させちゃって、学校辞めちゃったんだよ? 知らないって、罪よね」
女子が俺の顔に自分の顔を近付けて、クスクスと笑いながら言った。妊娠だなんて、そんなにはずない。
「……そっくりじゃないけど、君、潤君に似てるね。流石、兄弟ね。まさか、茜ちゃんは弟君にも手を出しちゃったのかな? だから、弟君も茜ちゃんを探してたのかなぁ~?」
取り巻きの女の子が俺の頬を撫でる。俺は寒気がして、手を振りほどきたいに振りほどけなかくてもがいた。
「私、ミヒロって名前は大嫌いなの。でも、こっちのミヒロ君は可愛いから、お姉さんが遊んであげようか?」
こっちのミヒロ君? 何を言ってんだよ! わけが分からない。ネクタイを外され、Yシャツのボタンを外された。
ゾワゾワして気持ちが悪い。これ以上は止めてくれ……
「お巡りさーん、いました! こっちで僕の友達がカツアゲされそうになってるんです!」
「こら、君達! 学校に連絡するぞ!」
「うわっ、ヤバイって! 逃げよっ」
「早く、早く!」
裕貴が警察官を呼んできてくれて、奴らはそそくさと逃げて行った。
警察官にお礼を言い、同じ学校なので連絡しないでほしいとお願いした。
「……裕貴、有難う。助かった!」
「遅くなってごめんな。真っ先に交番に寄ったら、先客で財布失くした人がいてさー、遅くなった。揉め事になって、停学とかになりたくないじゃん。こんな時は大人の力だよね、海大?」
「ははっ、嫌いじゃないよ、そーゆーの。折角、進学校に入ったのに停学になりたくないもんな」
「海大、俺、お腹空いた。駅前でハンバーガー食べたい」
「……うん、行こう。それより、何があったとか聞かないの?」
気になるだろうに、裕貴は何も聞いてこない。
「んー?海大のシャツのボタンが外されてるのは気になるけど……海大が言いたくなったらで良いよ。何だか、唯ならぬ雰囲気だったけど、大丈夫? 怪我してない?」
「大丈夫だよ」
裕貴はあっけらかんとしていて、落ち着いている。流石、優等生だ。自分達の身を守りつつ、大人の助けを借りる術も知っている。
俺に何かを聞く訳でもなく、ただ一緒にいてくれた。中学の友達は一緒に泣いたり笑ったりしていたけれど、裕貴の違った優しさが暖かく感じた。
探してた女の子は兄貴の彼女だと伝えたら、驚いていたけれど……否定はされなかった。裕貴は笑って、「何だか複雑だな」と言った。
高校時代は本当に裕貴に救われた。
共に勉学に励み、共に笑い合った。
出会えて良かったよ、裕貴。
入学式が終わり、今日からは普通に通学の日。
ワクワクしながら制服の袖を通し、駅までは自転車で向かう。朝からポカポカして暖かくて、太陽の煌めきが心地好い。
仲の良い友達は一人も同じ高校には進学しなかった。自分一人で高校の門をくぐることになるから、内心はドキドキしている。
知り合いは今は茜ちゃんしかいないけれど、すぐに友達はできる、そう思って高校の門を通り抜けた。
何となくだけど……見渡す限りでは真面目な生徒ばっかり居るなぁ。俺も気持ちを入れ替えて頑張ろう!!
先日の入学式に張り出されていたクラス分けに従い、教室に入る。
朝のホームルームが始まるまで、クラスメイト達は読書をしたりしていた。俺は本なんて基本は読まないので、人間観察をしていた。 そんな時、後ろの席の男子に肩を叩かれた。
「ねー、ねー、どこ中? 俺はすぐ近くの三中。井上 裕貴で、皆はヒロって呼んでるよ。宜しくな」
「俺は一中だよ。伊野田 海大で俺もヒロって呼ばれてる」
「マジか! 同じヒロだと分かりにくいな」
お互いに"ヒロ"と呼ばれていたので、お互いに笑ってしまった。話しかけてくれた裕貴は、中学時代はバスケ部のエースだったらしい。エースなのに勉強も出来るって凄い。裕貴とはすぐに打ち解けた。
裕貴は明るく、人気者になった。誰にでも分け隔てなく優しくて、スポーツマンで頭も良いので先生からも信頼が厚い。
学級委員を決めた時も投票ダントツ一位になった。真面目君が集まる進学校でこれ程までの人気とは圧倒させられる。裕貴とつるんでいるせいか、俺は副委員長に任命された。
「wヒロ、いーねぇ。二人でこのクラスを盛り上げていってくれよ。勉強も大切だけど、先生も一緒にアオハルしたいから宜しくな」
「あはははっ、先生、面白い」
「楽しくなりそうだねー。このクラスで良かった!」
担任の先生も二十代後半で明るいから、クラスの雰囲気が日に日に変わっていった。勉強に根詰めている生徒もいたが、大半が勉強も青春も大切にしていた。
***
「海大さ、探してる女の子は見つかったの?」
「……見つからない。二学年の教室には立ち入れないし分からない」
「そっかぁ、残念。俺、海大のタイプの女の子、見てみたかったなぁ。俺も協力するから諦めないで探そっ」
「ありがとな、裕貴がいてくれて心強い」
数日後の昼休み、弁当を食べながらの会話。一週間経っても、茜ちゃんは見つからない。潤兄はかろうじて学校には通っているが、前みたいな笑顔はなく、茜ちゃんが自宅に遊びに来る事もなかった。
もしかしたら、潤兄は茜ちゃんと別れたのかな?
潤兄の元気がなさすぎて、聞きたいけれど聞き出せない。茜ちゃんの話題は出せない位に、笑わないし、雰囲気も暗い。
授業中、他のクラスが校庭で体育の授業をしていた。俺の席は窓際だった為、ぼんやりと眺めていた。
俺はゲームばかりしているが、目は良い方で体育用のスニーカーの紐が緑だと認識した。学年毎に色分けされているから、緑は確か……二学年。
今日はハードルと幅跳びの授業らしい。一人だけ見学者がいて、校庭の隅に座っている。進学校には似つかわしくないような、少し派手な女の子。
あの女の子、茜ちゃんと一緒にいたのを見たことがある。
潤兄と茜ちゃんと一緒に居るのを見た事がある。駅前で通りすがりだったから、話したこともなく、女の子が誰なのかも聞かなかったけれど……
茜ちゃんは何人かのグループで駅前では見かけた日がある。あの女の子に聞けば、茜ちゃんがどうしてるのか分かるのかな?
二学年の教室には一学年が出入りできないようになっている。待ち伏せしようにも、帰る時間帯も分からない。名前も知らない。
以前、俺と同じ名前だと言っていた茜ちゃんの親友とも限らない。
けれども、茜ちゃんのことを調べて俺は何がしたいのだろう?
茜ちゃんは気になるけれど、潤兄から奪いたいの? 茜ちゃんをどうしたいんだ?
俺は校庭を眺めながら、頭をクシャッとかいた。今日はいつも以上に授業が頭に入っていかなかった。
ただ、茜ちゃんに俺は会いたかっただけなんだ。
夏休みに入る前だっただろうか?
裕貴と帰っている時、駅前で声をかけられた。
「伊野田 海大……お前、伊野田 潤の弟だろ?」
「……はい、それが何か?」
「お前のお兄ちゃんのせいで、俺達も停学くらったんだよね。ちょっとお話聞いてくれる?」
「……分かりました。裕貴、先に帰ってて」
男子二人に女子三人、何なんだよ。俺は裕貴を先に帰して、駅裏へと着いて行った。あっさりと裕貴が帰ってくれて良かった。悪い予感しか感じないので、見捨てたとは思わない。俺も裕貴を巻き込みたくないから、それで良かったんだ。
「お友達帰しちゃって大丈夫? ジュンちゃんと一緒で正義感強いんだね?」
「俺達ももう停学になりたくないから、手は出さないよ~。まぁ、ミヒロちゃんから手を出されたら正当防衛だから、分からないけどね」
男子二人がニヤニヤと笑っている。取り巻きの女子三人もヒソヒソ話をしている。
あれ? 女の子の一人は校庭で見かけた子かもしれない。
目の前の奴らは皆、俺と同じ制服だ。
潤兄はコイツらとケンカしたのか? ケンカなんて無縁だった、潤兄が何故ケンカなんかしたんだよっ!
潤兄がケンカしたのは春休み前。……だとすると、コイツらは俺よりも上級生か? 自宅に来た時に顔はよく見えなかったが、今度こそ覚えたぞ。
「ミヒロ君、茜ちゃんの居場所知ってる? 私達、連絡が取れなくて困ってるの」
校庭にいたらしき女の子が、しなっとしながら俺に聞いてきた。俺は両腕を男子二人に羽交い締めにされてるから、逃げることも何も出来ない。
「……知りたいのは俺もだよ! 俺だって、茜ちゃんの居場所知りたいんだよ! 学校でも見かけないし……!」
俺は喚き散らした。
「なぁんだ、この子は何も知らないんだ? 茜ちゃんはね、潤君が妊娠させちゃって、学校辞めちゃったんだよ? 知らないって、罪よね」
女子が俺の顔に自分の顔を近付けて、クスクスと笑いながら言った。妊娠だなんて、そんなにはずない。
「……そっくりじゃないけど、君、潤君に似てるね。流石、兄弟ね。まさか、茜ちゃんは弟君にも手を出しちゃったのかな? だから、弟君も茜ちゃんを探してたのかなぁ~?」
取り巻きの女の子が俺の頬を撫でる。俺は寒気がして、手を振りほどきたいに振りほどけなかくてもがいた。
「私、ミヒロって名前は大嫌いなの。でも、こっちのミヒロ君は可愛いから、お姉さんが遊んであげようか?」
こっちのミヒロ君? 何を言ってんだよ! わけが分からない。ネクタイを外され、Yシャツのボタンを外された。
ゾワゾワして気持ちが悪い。これ以上は止めてくれ……
「お巡りさーん、いました! こっちで僕の友達がカツアゲされそうになってるんです!」
「こら、君達! 学校に連絡するぞ!」
「うわっ、ヤバイって! 逃げよっ」
「早く、早く!」
裕貴が警察官を呼んできてくれて、奴らはそそくさと逃げて行った。
警察官にお礼を言い、同じ学校なので連絡しないでほしいとお願いした。
「……裕貴、有難う。助かった!」
「遅くなってごめんな。真っ先に交番に寄ったら、先客で財布失くした人がいてさー、遅くなった。揉め事になって、停学とかになりたくないじゃん。こんな時は大人の力だよね、海大?」
「ははっ、嫌いじゃないよ、そーゆーの。折角、進学校に入ったのに停学になりたくないもんな」
「海大、俺、お腹空いた。駅前でハンバーガー食べたい」
「……うん、行こう。それより、何があったとか聞かないの?」
気になるだろうに、裕貴は何も聞いてこない。
「んー?海大のシャツのボタンが外されてるのは気になるけど……海大が言いたくなったらで良いよ。何だか、唯ならぬ雰囲気だったけど、大丈夫? 怪我してない?」
「大丈夫だよ」
裕貴はあっけらかんとしていて、落ち着いている。流石、優等生だ。自分達の身を守りつつ、大人の助けを借りる術も知っている。
俺に何かを聞く訳でもなく、ただ一緒にいてくれた。中学の友達は一緒に泣いたり笑ったりしていたけれど、裕貴の違った優しさが暖かく感じた。
探してた女の子は兄貴の彼女だと伝えたら、驚いていたけれど……否定はされなかった。裕貴は笑って、「何だか複雑だな」と言った。
高校時代は本当に裕貴に救われた。
共に勉学に励み、共に笑い合った。
出会えて良かったよ、裕貴。
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