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【煌めきLEVEL/02】
*秘密の契約内容
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対馬さんを玄関で見送ってから、私はヒロ君の座っている近くまで行った。しかし二人きりになってしまったため、緊張から座ることができずに対馬さんが使っていたティーカップを片付けていく。
何故、ヒロ君が目の前にいるというのに、話しかけられずに私は片付けをしてるんだろう。
頑張れ、私!!
緊張して話せない性格なんて、もう嫌。改善するには自分自身が変わるしかないんだ。
ドキドキと高鳴るばかりの胸に手をギュッと目を瞑り、心に決めて話しかけようとした時に沈黙を破ったのはヒロ君だった。
「聞いてもいい?」
「あ……はい」
きっと私自身のことだよね?
「失礼だけどカナミちゃんは何歳ですか?」
あ、やっぱり……気になるよね。
ヒロ君から見たら私は何歳に見えるのだろうか?
どうしようかな。漫画家なんだから、設定作りは得意じゃない?
さぁ、考えてみて。
「対馬さんから聞いたと思うけど、俺は高校二年の十六歳」
「そ、そうなんですね」
対馬さんから何も聞かされてなく、履歴書もあるかどうかも分からない。
ヒロ君は、まさかの年下だった。
学年だと一つ上の先輩な私だけれど、高校には行っていない。
通信制高校には通っているけれど、そこに通っている理由などを聞かれるのが嫌だ。
「わ、私も……同い年です。体調悪かったりで……今は休んだりしてます。えと、自宅でデザインのアルバイトとかしてますけどね」
これなら、きっと……対馬さんがヒロ君に背景を頼んでもおかしくないだろうか?
しかし、ヒロ君は背景と聞いて何とも思わなかったのだろうか?
「そっか、だから対馬さんが背景とかって言ってたんだ」
「対馬さんは私のバイト先と関係があって、両親がいない時に私の面倒も見てくれてる感じなの」
こんな感じで大丈夫かなぁ?
上手く誤魔化せたかなぁ?
私は何故、自分とは関係のない事だとスラスラと言えたんだろう?
今の話は嘘、偽り。
それでも自分の本来の姿をさらけ出すよりはましで、徹底的に“嘘”を重ねるしかない。
本来の姿なんて怖くて言えない。
きっと、気持ち悪がれる。
「対馬さんは社員さん?」
「そうです」
「そういえば……カナミちゃんは社長令嬢なんだよね。だからかな? カナミちゃんは何をしててもサマになるね」
話が逸れたのは良かったのだが、変な方向に飛んでしまった。
何をしててもサマになる?
私が?
「ご飯の食べ方も綺麗で姿勢も綺麗だし、雰囲気も全体的にお嬢様って感じがするね。茶葉から入れた紅茶もクッキーも、部屋も全てが……」
「そ、そんな事ない、よっ」
本当は猫背で、漫画描いてる時なんてジャージを着用しっぱなし。紅茶なんて滅多に入れないし、 締め切り前なんてお風呂も入らないなんて当たり前の生活だ。
いつの間にか、見栄を張ろうとする自分が生まれて人前だけは格好良く見せたいだけなの。
トラウマがあって、……もう二度と容姿で嫌な思いはしたくないし、ただ、それだけなの。
いつの間にか、見栄っ張りになっていた。
だからヒロ君にも見栄を通す為に、トラウマを隠す為に嘘だらけの世界を作り上げる。
恋人になれなくても、その気分だけを味わえたのなら私には充分だと思うから。
ごめんね、って精一杯思うけれど……もう後戻りは出来ない。
対馬さんが投げかけた設定のまま、突き進むしかない。
しかし、”我が儘社長令嬢”はどうするべきか。
我が儘とは私よりも、もっと傲慢で高飛車な気がするけれど……!?
「えっと、クッキーはお取り寄せなんだ。本当はね、普段は茶葉からは入れなくて、あの、その……」
「そうなんだ。クッキー食べてみよっと。カナミちゃんてさ、我が儘って感じがしないけどさ対馬さんの前だと我が儘なの?」
「……あ、いえ……えと……」
クッキーを頬張りながら投げ掛けられた一言は、返答に困る。そして何より、何故か対馬さんの前だけ我が儘、と断言されているのか分からなかった。
「対馬さんは……対馬さんとは兄妹みたいな……感じ、かな? と思います」
「ふうん、そう」
「じゃあ、やっぱり我が儘言ってるんだ?」
「……ち、違っ、……違います!! 本当にお兄ちゃんみたいな人で、えと……」
ヤバイ……
ヒロ君が必要以上に聞いてくるから、涙がじんわりと目尻に集まってきた。
クッキーのおかわりを右手に持ちながら、私を見ている。目線が合ってしまい、余計に気まずい。
対馬さんは本当にお兄ちゃんみたいな存在だから、多少の我が儘も言うけれど、それは仕事の件だったりする。プライベートに関しては甘えたり、我が儘は言っていないと思っていた。
「カナ、ミちゃん? ごめんね、泣かせるつもりはなかったんだ。ただ、ちょっと気になってね……せっかくまた会えたんだからさ、話をしない?」
「……はい」
ヒロ君にも目尻に貯まっていた涙が見えてしまったみたいで…… またもや、謝らせてしまった。
私はヒロ君に謝らせてばかりで最低だ。
気になってくれた事は嬉しい事だったのに、ムキになって否定する事ばかり考えていた。
私は我が儘なんて言わない、控えめな女なんだとか、対馬さんとの仲を誤解されたくないとか、自分のことばかり考えていた。
上手く伝えられないくせに人を責めるような態度ばかりな私は、昔から成長していないのかもしれない。
「まずは何から話そうか? えと、本当に俺が家政婦になってもいいの?」
「……はい」
「料理出来なくて下手くそでも?」
「……はい」
私は返事をすることしかできなかった。
「……というか、とりあえず座って話そう? 嫌?」
対馬さんが帰ってから、ずっと気まずい。
ヒロ君から少し離れた場所で後片付けをしている振りをしながら話をしていたけれど、 ヒロ君に言われたら座るしかない。
……というより、やっと座るチャンスを貰えたと言うか。
ドキドキと胸を高鳴らせながら、椅子を引き斜め前に座る。
「それでさ、俺はご飯作りと洗濯と……」
「せ、洗濯はだ、大丈夫ですからっ!!」
ついつい力を込めて返事をしてしまったら、ヒロ君はクスクスと笑っている。
「冗談、冗談!! 分かってるよ。必死に否定して可愛いなぁ……あはは」
否定するのを分かっていて、からかわれたのかもしれない。ヒロ君は笑っているから。
「……あと掃除もかな?」
「掃除も特には大丈夫なんですけど?」
「それじゃぁ、やることがないじゃん」
だって、お掃除も頼むなんて図々しいかななんて思うし、仕事場に入られても困るから。
本当の目的は、仕事をして貰うよりも会いたいだけだから。
この本音は口に出しては言えないけれど。
ただ、これだけは伝えなきゃいけないと思う。
今から伝える事も本音の一部だから。
「……あ、あの、いつも一人でご飯食べてるから、一緒に食べてくれるだけで嬉しいんだけど」
例えば、ご飯がコンビニ弁当だろうと手作りだろうと毎日のように一人は寂しくなる。かといって漫画に集中できなくなるので、頻繁に両親に顔出しもしてもらえない。
閉めきり間近の時は対馬さんや福島さんが一緒に居るけれど、ご飯を食べてると言うよりも、忙しいから流し込んでるようなものだ。
「実は俺も一人で食べてるから、嬉しかったりして?」
ヒロ君は少しだけ俯いてから、ニコッと笑いかけてくれた。
笑顔に影があるのは何故だろう?
踏み込んじゃいけないんだけれども、会った時に話していた“ヒロミさん”も関係しているのだろうか。
「最初に約束があるんだけど……」
「はい、何でしょう? ひゃ、ひゃあっ」
ビ、ビックリしたぁ。
ヒロ君が真面目な顔をして人差し指を伸ばし、私の鼻に触ったから変な声を上げてしまった。
それでもヒロ君は顔色を変えずに……
「お互いのプライベートは立ち入らないことを約束しない?」
と言ってきた。
「……は、はい」
私が返事をすると、鼻から人差し指が離れた。
「後はカナミちゃんが決めてね。俺からは以上!!」
プライベートに立ち入らないことは、私にも好都合。
漫画家だとバレずに済む。
家政婦の仕事だけの関係。
お金で繋がる関係。
それでも……会いたいから良いよ。
知りたいことも、聞きたい事も沢山あるけれど今は、その関係だけで良い。
ヒロ君とその他の契約も決めた。
条件は……
・時給2,000円・残業無し
・プライベートには立ち入らない事
・毎日2時間 (18時から20時予定)
明日から毎日来てくれるらしい。
都合の悪い時は、お互いに連絡する為に携帯電話の番号も交換した。
明日から始まる秘密の契約。
「さてと、長居してごめんね。明日から来るね。よろしくお願いします!!」
ヒロ君は契約内容の確認が終わったので、部屋を後にした。
名残惜しいけれど、寂しくはない。
明日から毎日のように会えるから。
こちらこそ、よろしくお願いします、ヒロ君。
何故、ヒロ君が目の前にいるというのに、話しかけられずに私は片付けをしてるんだろう。
頑張れ、私!!
緊張して話せない性格なんて、もう嫌。改善するには自分自身が変わるしかないんだ。
ドキドキと高鳴るばかりの胸に手をギュッと目を瞑り、心に決めて話しかけようとした時に沈黙を破ったのはヒロ君だった。
「聞いてもいい?」
「あ……はい」
きっと私自身のことだよね?
「失礼だけどカナミちゃんは何歳ですか?」
あ、やっぱり……気になるよね。
ヒロ君から見たら私は何歳に見えるのだろうか?
どうしようかな。漫画家なんだから、設定作りは得意じゃない?
さぁ、考えてみて。
「対馬さんから聞いたと思うけど、俺は高校二年の十六歳」
「そ、そうなんですね」
対馬さんから何も聞かされてなく、履歴書もあるかどうかも分からない。
ヒロ君は、まさかの年下だった。
学年だと一つ上の先輩な私だけれど、高校には行っていない。
通信制高校には通っているけれど、そこに通っている理由などを聞かれるのが嫌だ。
「わ、私も……同い年です。体調悪かったりで……今は休んだりしてます。えと、自宅でデザインのアルバイトとかしてますけどね」
これなら、きっと……対馬さんがヒロ君に背景を頼んでもおかしくないだろうか?
しかし、ヒロ君は背景と聞いて何とも思わなかったのだろうか?
「そっか、だから対馬さんが背景とかって言ってたんだ」
「対馬さんは私のバイト先と関係があって、両親がいない時に私の面倒も見てくれてる感じなの」
こんな感じで大丈夫かなぁ?
上手く誤魔化せたかなぁ?
私は何故、自分とは関係のない事だとスラスラと言えたんだろう?
今の話は嘘、偽り。
それでも自分の本来の姿をさらけ出すよりはましで、徹底的に“嘘”を重ねるしかない。
本来の姿なんて怖くて言えない。
きっと、気持ち悪がれる。
「対馬さんは社員さん?」
「そうです」
「そういえば……カナミちゃんは社長令嬢なんだよね。だからかな? カナミちゃんは何をしててもサマになるね」
話が逸れたのは良かったのだが、変な方向に飛んでしまった。
何をしててもサマになる?
私が?
「ご飯の食べ方も綺麗で姿勢も綺麗だし、雰囲気も全体的にお嬢様って感じがするね。茶葉から入れた紅茶もクッキーも、部屋も全てが……」
「そ、そんな事ない、よっ」
本当は猫背で、漫画描いてる時なんてジャージを着用しっぱなし。紅茶なんて滅多に入れないし、 締め切り前なんてお風呂も入らないなんて当たり前の生活だ。
いつの間にか、見栄を張ろうとする自分が生まれて人前だけは格好良く見せたいだけなの。
トラウマがあって、……もう二度と容姿で嫌な思いはしたくないし、ただ、それだけなの。
いつの間にか、見栄っ張りになっていた。
だからヒロ君にも見栄を通す為に、トラウマを隠す為に嘘だらけの世界を作り上げる。
恋人になれなくても、その気分だけを味わえたのなら私には充分だと思うから。
ごめんね、って精一杯思うけれど……もう後戻りは出来ない。
対馬さんが投げかけた設定のまま、突き進むしかない。
しかし、”我が儘社長令嬢”はどうするべきか。
我が儘とは私よりも、もっと傲慢で高飛車な気がするけれど……!?
「えっと、クッキーはお取り寄せなんだ。本当はね、普段は茶葉からは入れなくて、あの、その……」
「そうなんだ。クッキー食べてみよっと。カナミちゃんてさ、我が儘って感じがしないけどさ対馬さんの前だと我が儘なの?」
「……あ、いえ……えと……」
クッキーを頬張りながら投げ掛けられた一言は、返答に困る。そして何より、何故か対馬さんの前だけ我が儘、と断言されているのか分からなかった。
「対馬さんは……対馬さんとは兄妹みたいな……感じ、かな? と思います」
「ふうん、そう」
「じゃあ、やっぱり我が儘言ってるんだ?」
「……ち、違っ、……違います!! 本当にお兄ちゃんみたいな人で、えと……」
ヤバイ……
ヒロ君が必要以上に聞いてくるから、涙がじんわりと目尻に集まってきた。
クッキーのおかわりを右手に持ちながら、私を見ている。目線が合ってしまい、余計に気まずい。
対馬さんは本当にお兄ちゃんみたいな存在だから、多少の我が儘も言うけれど、それは仕事の件だったりする。プライベートに関しては甘えたり、我が儘は言っていないと思っていた。
「カナ、ミちゃん? ごめんね、泣かせるつもりはなかったんだ。ただ、ちょっと気になってね……せっかくまた会えたんだからさ、話をしない?」
「……はい」
ヒロ君にも目尻に貯まっていた涙が見えてしまったみたいで…… またもや、謝らせてしまった。
私はヒロ君に謝らせてばかりで最低だ。
気になってくれた事は嬉しい事だったのに、ムキになって否定する事ばかり考えていた。
私は我が儘なんて言わない、控えめな女なんだとか、対馬さんとの仲を誤解されたくないとか、自分のことばかり考えていた。
上手く伝えられないくせに人を責めるような態度ばかりな私は、昔から成長していないのかもしれない。
「まずは何から話そうか? えと、本当に俺が家政婦になってもいいの?」
「……はい」
「料理出来なくて下手くそでも?」
「……はい」
私は返事をすることしかできなかった。
「……というか、とりあえず座って話そう? 嫌?」
対馬さんが帰ってから、ずっと気まずい。
ヒロ君から少し離れた場所で後片付けをしている振りをしながら話をしていたけれど、 ヒロ君に言われたら座るしかない。
……というより、やっと座るチャンスを貰えたと言うか。
ドキドキと胸を高鳴らせながら、椅子を引き斜め前に座る。
「それでさ、俺はご飯作りと洗濯と……」
「せ、洗濯はだ、大丈夫ですからっ!!」
ついつい力を込めて返事をしてしまったら、ヒロ君はクスクスと笑っている。
「冗談、冗談!! 分かってるよ。必死に否定して可愛いなぁ……あはは」
否定するのを分かっていて、からかわれたのかもしれない。ヒロ君は笑っているから。
「……あと掃除もかな?」
「掃除も特には大丈夫なんですけど?」
「それじゃぁ、やることがないじゃん」
だって、お掃除も頼むなんて図々しいかななんて思うし、仕事場に入られても困るから。
本当の目的は、仕事をして貰うよりも会いたいだけだから。
この本音は口に出しては言えないけれど。
ただ、これだけは伝えなきゃいけないと思う。
今から伝える事も本音の一部だから。
「……あ、あの、いつも一人でご飯食べてるから、一緒に食べてくれるだけで嬉しいんだけど」
例えば、ご飯がコンビニ弁当だろうと手作りだろうと毎日のように一人は寂しくなる。かといって漫画に集中できなくなるので、頻繁に両親に顔出しもしてもらえない。
閉めきり間近の時は対馬さんや福島さんが一緒に居るけれど、ご飯を食べてると言うよりも、忙しいから流し込んでるようなものだ。
「実は俺も一人で食べてるから、嬉しかったりして?」
ヒロ君は少しだけ俯いてから、ニコッと笑いかけてくれた。
笑顔に影があるのは何故だろう?
踏み込んじゃいけないんだけれども、会った時に話していた“ヒロミさん”も関係しているのだろうか。
「最初に約束があるんだけど……」
「はい、何でしょう? ひゃ、ひゃあっ」
ビ、ビックリしたぁ。
ヒロ君が真面目な顔をして人差し指を伸ばし、私の鼻に触ったから変な声を上げてしまった。
それでもヒロ君は顔色を変えずに……
「お互いのプライベートは立ち入らないことを約束しない?」
と言ってきた。
「……は、はい」
私が返事をすると、鼻から人差し指が離れた。
「後はカナミちゃんが決めてね。俺からは以上!!」
プライベートに立ち入らないことは、私にも好都合。
漫画家だとバレずに済む。
家政婦の仕事だけの関係。
お金で繋がる関係。
それでも……会いたいから良いよ。
知りたいことも、聞きたい事も沢山あるけれど今は、その関係だけで良い。
ヒロ君とその他の契約も決めた。
条件は……
・時給2,000円・残業無し
・プライベートには立ち入らない事
・毎日2時間 (18時から20時予定)
明日から毎日来てくれるらしい。
都合の悪い時は、お互いに連絡する為に携帯電話の番号も交換した。
明日から始まる秘密の契約。
「さてと、長居してごめんね。明日から来るね。よろしくお願いします!!」
ヒロ君は契約内容の確認が終わったので、部屋を後にした。
名残惜しいけれど、寂しくはない。
明日から毎日のように会えるから。
こちらこそ、よろしくお願いします、ヒロ君。
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