庭園の国の召喚師

すみ 小桜(sumitan)

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第8章 最終決戦~いでよ!召喚の扉!

第58話

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 あまりにも驚く内容に、ガッド達はどこから問い詰めていいのかわからなかった。

 「十年以上も私達を騙していたのか! 何故、私に話さなかった! 話してくれさえいれば……」
 「ダミアンさん。落ち着て」

 ウリッセがダミアンに言う。

 「言いたくとも言えなかったのでしょう。あなたの親友が魔獣のせいで危ない目になった。彼自身でどうにかしたいと思った所で、王都からは出られない。何も出来なかった! 何も出来ない。無力だと感じるのは、つらいものです……」

 ウリッセはそう語る。
 たぶん、自分の子供が亡くなった時の事と、重ねているのだろう。

 「ほう。あの時、あなたの娘が死んでいてもそう言えたのかな?」

 エミールの言葉に、ウリッセは驚いた顔を見せた。そう綺麗ごとだ。あの時、娘のナディアが死んでいれば、この場で罵っていただろう。

 「あなたは一体何をしたいんだ?」

 ゴーチェは、苛立ち聞いた。
 フランクが死ねば、エミールは力を失い、我々に最悪殺されるかもしれないと言うのに、ウリッセを煽るような言葉を掛けた。

 「もうやめてくれ! もっと早く覚悟を決めていれば、色々と食い止められたかもしれない!」

 フランクは剣を抜いた!
 もう懺悔して、知っている事は全てはなした。後は自分が死んで、エミールをどうにかしてもらうしかない!
 もう方法はこれしかないのだ!

 「父さん! 後を頼みます!」

 剣で自害しようと、体に力を込めるもフランクは、引く事も押す事も出来なかった!

 「いいのか止めてしまって?」

 エミールは、ワザとらしくダミアンに問う。
 ダミアンは、フランクに手を伸ばしていた! 自害しようとするフランクの動きを術で封じ、動けなくしたのだ!

 「陛下申し訳ありません。バカな息子でも私にとっては、大切な息子なのです……」

 手はそのままに、ダミアンは頭を下げて、ガッドに許しを請う。
 皆、何も言えなかった。ダミアンの気持ちは痛い程わかった。

 「わかった。こうなったのは、我々にも責任がある。頭ごなしにしてしまったからな」
 「甘いな。私を倒すチャンスだったのに」

 エミールは、これで自分を倒せなくなったと言わんばかりだ!

 「甘いか? わかってないな。今回は、二対一なんだが?」
 「数でごり押しか? わかってないのは、あなたの方だ。人間には、情で訴えた方が効果がある。今だって、チャンスを棒に振っただろう?」

 今の言葉で何故自分の名前を教え、フランクをマスターだと暴露したかわかった。最初からこれを狙っていたのだ!
 作戦は、エミールが登場した時から始まっていた!
 もう怒りでフランクを殺そうとする者も、フランクが自分で死ぬ事もない。それを回避させたのだ!

 「なんて卑劣なやり方を!」

 アージェは、睨みながらエミールに叫んだ!

 「卑劣? 策士と言ってほしいものだな」
 「何が策士だ! シリルを人質に取っておいて!」

 今度はオルソが叫ぶ。

 「人質? 彼は保険だ」
 「同じ事だろう!」
 「ヘリムさん! 私とスクランさんで何とかしますので、さっさと魔法陣を消して下さい!」
 「それは構わないが、シリルは殺される事になる……」

 アージェが言うと、ヘリムは恐ろしい返答を返した!
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