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第7章 開けてはいけない扉
第56話
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ダミアンが家に帰って来たのは、夜中だった。
それもひどく疲れた様子だ。
「何かあったのですか?」
「たぶん、知れる事だろうから言っておこう。オルソの孫がいた村が、焼き野原になっていた! そこに住んでいた者達の姿もなかった……」
「え!? どういう事ですか?」
「わからない! 誰もいなかった! 応援を呼んで消火活動をして、村人を探した! チェチーリアさんもオルソの孫も消え去った! 陛下も困り果てていた。儀式をしていない召喚師がいなくなったんだからな。前代未聞だ」
はあぁっと、大きなため息をついて、ダミアンは言った。
フランクは、それを聞いてごくりと唾を飲み込んだ。
まさかエミールがやったのでは? と、頭によぎる。
エミールは、召喚に興味を持っていた。オルソの孫で儀式を行ってないのなら召喚師の能力がある。しかも十歳なら色々そそのかせて、出来るだろう。
しかしそれをどうやって知ったかだった。
フランクも今日、聞いた話しだ!
しかし、ふと思う。
もっと早くから知っていれば、今日襲う事はないだろう。だったとしたらどこかで聞いていた?
そう思うとフランクは、バッと辺りを探る。
彼は、この部屋に入った事がある。何か術を施して行ったのかもしれない。
自分のせいで、オルソの孫は連れ去られた!
フランクはどうしていいかわからなくなる。
エミールじゃないかもしれない。しかしタイミングが良すぎる。
あれこれ考えても、フランクには確かめようがなかった。出来る事と言えば、ここでは大切な話はしない事だった。
予想よりアージェは衝撃を受けた様で、笑わなくなりオルソにも近づかなくなった。
フランクには、アージェの事もどうする事も出来なかった。そして、アージェが騎士団に入団すると、直ぐに研究員になった。
それから研究に没頭するようになる。
そして数年後、何も出来ずにいたフランクに、驚くような事をダミアンが口にした。
研究室で研究をしている時だった。
二人っきりになった時に、ボソッといったのだ。
「今頃オルソは、チェチーリアさんに会っているんだろうな」
そう言ってほほ笑んだのだ!
「今なんと?」
「実は連絡が来たのだ。孫の魔術師証を取得しに、孫と一緒に来ているはずなんだ」
フランクが聞くと、ダミアンは嬉しそうに返して来た。
生きていた! フランクは、どっと力が抜ける。連れ出されたわけでも殺されたわけでもなかった! 無事だったのだ!
「今頃、アージェとも対面しているだろう」
「アージェとですか? オルソさんも嬉しいでしょうね。孫同士が仲良くしてくれれうば、今までの事も報われる」
ダミアンは頷く。
そう言えば、アージェは珍しく休みをとっていた。
「これで二人の関係が戻るといいですね」
「そうだな。アージェも大人になったし、嫌ではなさそうだったので、大丈夫だろう」
だが、信じられない事が起きた!
オルソの孫とチェチーリアが襲われ、また姿を消したのだ!
今回も森が燃やされた! しかも目撃情報があり、魔術師の様だったとの事だった!
魔術師が、森を燃やすなどあり得ない! 確実にエミールだとフランクは確信する。
何とかして探し出さなければと、フランクは情報を集めるが何も手がかりを得られなかった。
オルソもアージェも暫くは、元気がなかった。
そして何を思ったのか、アージェはその後、一人で研究を始めたのだった。
それもひどく疲れた様子だ。
「何かあったのですか?」
「たぶん、知れる事だろうから言っておこう。オルソの孫がいた村が、焼き野原になっていた! そこに住んでいた者達の姿もなかった……」
「え!? どういう事ですか?」
「わからない! 誰もいなかった! 応援を呼んで消火活動をして、村人を探した! チェチーリアさんもオルソの孫も消え去った! 陛下も困り果てていた。儀式をしていない召喚師がいなくなったんだからな。前代未聞だ」
はあぁっと、大きなため息をついて、ダミアンは言った。
フランクは、それを聞いてごくりと唾を飲み込んだ。
まさかエミールがやったのでは? と、頭によぎる。
エミールは、召喚に興味を持っていた。オルソの孫で儀式を行ってないのなら召喚師の能力がある。しかも十歳なら色々そそのかせて、出来るだろう。
しかしそれをどうやって知ったかだった。
フランクも今日、聞いた話しだ!
しかし、ふと思う。
もっと早くから知っていれば、今日襲う事はないだろう。だったとしたらどこかで聞いていた?
そう思うとフランクは、バッと辺りを探る。
彼は、この部屋に入った事がある。何か術を施して行ったのかもしれない。
自分のせいで、オルソの孫は連れ去られた!
フランクはどうしていいかわからなくなる。
エミールじゃないかもしれない。しかしタイミングが良すぎる。
あれこれ考えても、フランクには確かめようがなかった。出来る事と言えば、ここでは大切な話はしない事だった。
予想よりアージェは衝撃を受けた様で、笑わなくなりオルソにも近づかなくなった。
フランクには、アージェの事もどうする事も出来なかった。そして、アージェが騎士団に入団すると、直ぐに研究員になった。
それから研究に没頭するようになる。
そして数年後、何も出来ずにいたフランクに、驚くような事をダミアンが口にした。
研究室で研究をしている時だった。
二人っきりになった時に、ボソッといったのだ。
「今頃オルソは、チェチーリアさんに会っているんだろうな」
そう言ってほほ笑んだのだ!
「今なんと?」
「実は連絡が来たのだ。孫の魔術師証を取得しに、孫と一緒に来ているはずなんだ」
フランクが聞くと、ダミアンは嬉しそうに返して来た。
生きていた! フランクは、どっと力が抜ける。連れ出されたわけでも殺されたわけでもなかった! 無事だったのだ!
「今頃、アージェとも対面しているだろう」
「アージェとですか? オルソさんも嬉しいでしょうね。孫同士が仲良くしてくれれうば、今までの事も報われる」
ダミアンは頷く。
そう言えば、アージェは珍しく休みをとっていた。
「これで二人の関係が戻るといいですね」
「そうだな。アージェも大人になったし、嫌ではなさそうだったので、大丈夫だろう」
だが、信じられない事が起きた!
オルソの孫とチェチーリアが襲われ、また姿を消したのだ!
今回も森が燃やされた! しかも目撃情報があり、魔術師の様だったとの事だった!
魔術師が、森を燃やすなどあり得ない! 確実にエミールだとフランクは確信する。
何とかして探し出さなければと、フランクは情報を集めるが何も手がかりを得られなかった。
オルソもアージェも暫くは、元気がなかった。
そして何を思ったのか、アージェはその後、一人で研究を始めたのだった。
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