51 / 67
第7章 開けてはいけない扉
第51話
しおりを挟む
瀕死を負ったフランクが、エミールのマスターであるはずがないと、内通者から外された。
だから寝ているフランクには、監視をつけていなかった!
「フランク! この者が言っている事は本当なのか! お前がマスターなのか!」
ダミアンが嘘であって欲しいと、階段を下りた所でつったったままのフランクに問うが、彼は俯いたまま黙っている。
それが答えだった。マスターだと言わずに語っていた!
「何故勝手に召喚を行った! 何故魔法陣を狙うのだ! 何を望んでこんな事を……」
ダミアンは、フランクに怒鳴る。最後には声は消失していった。怒りと悔しさと悲しみと……ダミアンは、いろんな感情が込み上げて来た!
「何とか言ったらどうだ? 言い訳は今しか言えないかもしれないぞ!」
ゴーチェが、フランクにそう問いかけた。
その問いかけに、フランクは顔を上げた。
「申し訳ありません。私の傲慢が、このような魔獣を召喚してしまいました」
フランクは、驚く事に深く頭を下げた!
何か、ちぐはぐだった!
「私も召喚出来ると思ってしまった。そして、その魔獣を研究に役立てようと思ったのです……」
フランクは頭を下げたまま、そう述べた。
「私も? とは?」
ゴーチェが問うと、オルソが驚いて呟く。
「まさか、アージェが出来たからなのか? だから自分もと言う事なのか?」
「すみません……」
肯定と取れる返事がフランクから帰って来た。
リーフは、意味がわからなかった。
確かに魔獣を勝手に召喚してはいけないと聞いたが、今の話からするとアージェが召喚出来たのだから、自分にもできるはずだと言っている様に聞こえた。
「アージェさん以外は、召喚できなかったんですか?」
だからつい、ボソッと隣にいるアージェにリーフは聞いた。
「え?」
まさかこの場で、そのような事を聞かれると思っていなかったアージェは、驚いてリーフを凝視する。
「そうだ。召喚師を選ばせておいて、召喚はさせない。だから隠れてするしかなかった。そうだろう? フランク」
リーフの問いには、エミールが答えた。
「何を言っていますか! 私はちゃんとお願いしてさせて頂きました!」
アージェが、慌ててエミールに言う。
「そうだな。だがあなたは、成功してしまった」
「え?」
「わからないのか? 彼らでさえ出来ない事をあなたはしてしまったのだよ。そんな事があれば、違う者が言い出したところで、させてはくれまい。ここに来たと言う事は、大方の話を聞いているだろう?」
エミールに言われ、アージェは俯く。
召喚を試したいと思ってもアージェが成功したせいで、以後させない事になったと言われたのだ。
つまりフランクは、させてもらえなかった事になる。だから陰で試した!
「やめろ! アージェは何も悪くない! 全て私が悪いんだ。私が……」
フランクは、そうエミールに叫んだ。
どう見ても主導権は、マスターのフランクではなくエミールにあるように思えた!
危惧していた事になったのだ。やはり従わない魔獣もいるのだとガッドは思った。
だから寝ているフランクには、監視をつけていなかった!
「フランク! この者が言っている事は本当なのか! お前がマスターなのか!」
ダミアンが嘘であって欲しいと、階段を下りた所でつったったままのフランクに問うが、彼は俯いたまま黙っている。
それが答えだった。マスターだと言わずに語っていた!
「何故勝手に召喚を行った! 何故魔法陣を狙うのだ! 何を望んでこんな事を……」
ダミアンは、フランクに怒鳴る。最後には声は消失していった。怒りと悔しさと悲しみと……ダミアンは、いろんな感情が込み上げて来た!
「何とか言ったらどうだ? 言い訳は今しか言えないかもしれないぞ!」
ゴーチェが、フランクにそう問いかけた。
その問いかけに、フランクは顔を上げた。
「申し訳ありません。私の傲慢が、このような魔獣を召喚してしまいました」
フランクは、驚く事に深く頭を下げた!
何か、ちぐはぐだった!
「私も召喚出来ると思ってしまった。そして、その魔獣を研究に役立てようと思ったのです……」
フランクは頭を下げたまま、そう述べた。
「私も? とは?」
ゴーチェが問うと、オルソが驚いて呟く。
「まさか、アージェが出来たからなのか? だから自分もと言う事なのか?」
「すみません……」
肯定と取れる返事がフランクから帰って来た。
リーフは、意味がわからなかった。
確かに魔獣を勝手に召喚してはいけないと聞いたが、今の話からするとアージェが召喚出来たのだから、自分にもできるはずだと言っている様に聞こえた。
「アージェさん以外は、召喚できなかったんですか?」
だからつい、ボソッと隣にいるアージェにリーフは聞いた。
「え?」
まさかこの場で、そのような事を聞かれると思っていなかったアージェは、驚いてリーフを凝視する。
「そうだ。召喚師を選ばせておいて、召喚はさせない。だから隠れてするしかなかった。そうだろう? フランク」
リーフの問いには、エミールが答えた。
「何を言っていますか! 私はちゃんとお願いしてさせて頂きました!」
アージェが、慌ててエミールに言う。
「そうだな。だがあなたは、成功してしまった」
「え?」
「わからないのか? 彼らでさえ出来ない事をあなたはしてしまったのだよ。そんな事があれば、違う者が言い出したところで、させてはくれまい。ここに来たと言う事は、大方の話を聞いているだろう?」
エミールに言われ、アージェは俯く。
召喚を試したいと思ってもアージェが成功したせいで、以後させない事になったと言われたのだ。
つまりフランクは、させてもらえなかった事になる。だから陰で試した!
「やめろ! アージェは何も悪くない! 全て私が悪いんだ。私が……」
フランクは、そうエミールに叫んだ。
どう見ても主導権は、マスターのフランクではなくエミールにあるように思えた!
危惧していた事になったのだ。やはり従わない魔獣もいるのだとガッドは思った。
0
お気に入りに追加
92
あなたにおすすめの小説
【R18】ハメられましたわ!~海賊船に逃げ込んだ男装令嬢は、生きて祖国に帰りたい~
世界のボボ誤字王
恋愛
「婚約破棄だ、この魔女め! 役立たずめ! 私は真実の愛を見つけた!」
要約するとそんなようなことを王太子に言われた公爵令嬢ジョセフィーナ。
従妹のセシリアに黒魔術の疑いをかけられ、異端審問会に密告されて、とんとん拍子に海に沈められそうになった彼女は、自分が何かの陰謀に巻き込まれたのだと気づく。
命からがら、錨泊していた国籍不明の船に逃げ込むも、どうやらそれは海賊船で、しかも船長は自分をハメた王太子に瓜二つだった!
「わたくしには王家を守る使命がございますの! 必ず生き残って、国に帰ってやりますでげすわ!」
ざまぁありです。(教会にはそれほどありません)
※今気づいたけど、ヒーロー出るまで2万字以上かかってました。
(´>∀<`)ゝゴメンね❤
絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました
toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。
残酷シーンが多く含まれます。
誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。
両親に
「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」
と宣言した彼女は有言実行をするのだった。
一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。
4/5 21時完結予定。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?

ここは貴方の国ではありませんよ
水姫
ファンタジー
傲慢な王子は自分の置かれている状況も理解出来ませんでした。
厄介ごとが多いですね。
裏を司る一族は見極めてから調整に働くようです。…まぁ、手遅れでしたけど。
※過去に投稿したモノを手直し後再度投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる