庭園の国の召喚師

すみ 小桜(sumitan)

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第7章 開けてはいけない扉

第51話

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 瀕死を負ったフランクが、エミールのマスターであるはずがないと、内通者から外された。
 だから寝ているフランクには、監視をつけていなかった!

 「フランク! この者が言っている事は本当なのか! お前がマスターなのか!」

 ダミアンが嘘であって欲しいと、階段を下りた所でつったったままのフランクに問うが、彼は俯いたまま黙っている。
 それが答えだった。マスターだと言わずに語っていた!

 「何故勝手に召喚を行った! 何故魔法陣を狙うのだ! 何を望んでこんな事を……」

 ダミアンは、フランクに怒鳴る。最後には声は消失していった。怒りと悔しさと悲しみと……ダミアンは、いろんな感情が込み上げて来た!

 「何とか言ったらどうだ? 言い訳は今しか言えないかもしれないぞ!」

 ゴーチェが、フランクにそう問いかけた。
 その問いかけに、フランクは顔を上げた。

 「申し訳ありません。私の傲慢が、このような魔獣を召喚してしまいました」

 フランクは、驚く事に深く頭を下げた!
 何か、ちぐはぐだった!

 「私も召喚出来ると思ってしまった。そして、その魔獣を研究に役立てようと思ったのです……」

 フランクは頭を下げたまま、そう述べた。

 「私も? とは?」

 ゴーチェが問うと、オルソが驚いて呟く。

 「まさか、アージェが出来たからなのか? だから自分もと言う事なのか?」
 「すみません……」

 肯定と取れる返事がフランクから帰って来た。
 リーフは、意味がわからなかった。
 確かに魔獣を勝手に召喚してはいけないと聞いたが、今の話からするとアージェが召喚出来たのだから、自分にもできるはずだと言っている様に聞こえた。

 「アージェさん以外は、召喚できなかったんですか?」

 だからつい、ボソッと隣にいるアージェにリーフは聞いた。

 「え?」

 まさかこの場で、そのような事を聞かれると思っていなかったアージェは、驚いてリーフを凝視する。

 「そうだ。召喚師を選ばせておいて、召喚はさせない。だから隠れてするしかなかった。そうだろう? フランク」

 リーフの問いには、エミールが答えた。

 「何を言っていますか! 私はちゃんとお願いしてさせて頂きました!」

 アージェが、慌ててエミールに言う。

 「そうだな。だがあなたは、成功してしまった」
 「え?」
 「わからないのか? 彼らでさえ出来ない事をあなたはしてしまったのだよ。そんな事があれば、違う者が言い出したところで、させてはくれまい。ここに来たと言う事は、大方の話を聞いているだろう?」

 エミールに言われ、アージェは俯く。
 召喚を試したいと思ってもアージェが成功したせいで、以後させない事になったと言われたのだ。
 つまりフランクは、させてもらえなかった事になる。だから陰で試した!

 「やめろ! アージェは何も悪くない! 全て私が悪いんだ。私が……」

 フランクは、そうエミールに叫んだ。
 どう見ても主導権は、マスターのフランクではなくエミールにあるように思えた!
 危惧していた事になったのだ。やはり従わない魔獣もいるのだとガッドは思った。
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