庭園の国の召喚師

すみ 小桜(sumitan)

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第7章 開けてはいけない扉

第49話

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 (何でこんな事に……)

 リーフは、不安と緊張で手が震える程だった。

 「大丈夫ですか?」
 「す、凄く緊張して、はきそうです。僕、魔法陣を消す事もした事ないし、間違って扉を出してしまうんじゃないかと不安で」
 「大丈夫です。あなた一人ではありません」

 アージェは、震えるリーフの手を握った。
 リーフは、驚くき震えは止まったが、何故か心臓のドキドキがなり出す。

 「あの……手を……」
 「扉は出現する事はありません。魔術を発動させるのとは違い、口に出して呼び出さなければ出現しないのです。それに自分の名を名乗り求めなければ、召喚はされません」

 「そうなんですか?」

 アージェは頷く。
 リーフは、ホッとした。少なくとも間違って呼び出す事はないのだから。
 でも気になる事があった。

 「あの、アージェさんが召喚した時、ベランジェとか言っていたような気がするんだけど……」
 「その事ですか。それが私の本当の名です。十歳になって召喚師を選んだ時に、名を与えられます。何故そうしているかは、わかりませんが……」
 「え! 知らなかった! じゃ皆、自分の名前じゃないんだ!」
 「そうなりますね」

 そんなしきたりもあったのかと、リーフは驚く。

 「では、向かおう」

 ガッドが言うと、皆一階へ移動を始める。そして地下に降りる階段へ辿り着いた。その前に扉がある。
 その扉には、二つの窪みがあった。そこにガッドとロイがはめていた、ブレスレッドを嵌めると、ガチャリと音が鳴った。
 二つのブレスレッドが、扉の鍵になっていた!

 ガッドが扉を押すと、スーッと開く。そして階段の壁をガッドが触れると、地下の壁と天井がフワッと明るくなった。
 ガッドが手を離した所を見れば、そこにはオーブのような物が埋め込まれていた。魔力を流し込むと、明るくなるように細工がしてあったのだ。

 ガットが階段を下り始めると、ロイ、ヘリム、ゴーチェ、ダミアン、ウリッセ、オルソ、そしてリーフにアージェ、魔獣のスクランと降りて行く。
 階段は十段もなく、地下は他の階と違い天井が低かった。手を伸ばせば届きそうだ。だが、だだっ広いだけだが広さはあった。

 少し奥に進み、ガッドは歩みを止める。そして目の前にある魔法陣を見つめた。
 他の者もこれが話していた魔法陣かと驚いた。家一軒分の広さもあろう魔法陣の大きさ。聞いてはいたものの、その大きさに驚く。

 「よく描いたものだ……」

 ダミアンがボソッと呟く。やや声は呆れた感じだ。

 「いやぁ、ご苦労さま。開けてくれて助かった」

 声が聞こえ全員振り向いた。
 驚く者達が立っていた!

 「「「シリル!」」」

 オルソ、アージェそして、リーフが声を揃え叫んだ。
 シリルは、あの魔術師と一緒に立っていた!

 「まさかシリルがマスターって事はないよな?」
 「そんなはずはありません! 団長だって立ち会ったではありませんか!」

 ゴーチェが二人を見ていうも、アージェが否定する。
 儀式を受けていなければ、シリルがと言う可能性もあった。
 だがアージェが言う通り、二年前に試験を受ける前に儀式を行った。それは紛れもない事実。
 では一緒にいるのは、仲間だからなのか?
 そういう疑問で皆、見ていた。

 「これって、もしかして……まだ術がかかった状態のままなのでは」

 アージェが言う。
 シリルは、ジッとこちらを見ている。その表情は無表情だ。
 やはり、シリルを手放したのではなく、送り込んでいたのだった!
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