庭園の国の召喚師

すみ 小桜(sumitan)

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第5章 魔術師の正体

第39話

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 リーフは、ギュッとヘリムの胸元の服を掴む。

 魔術師は、ニヤッとすると左手を振った!
 リーフがビクッとするも何も起こらない。いや、自分達の目の前に、微かに魔法陣が見える。
 シリルに襲われた時と一緒で、トラップ仕掛けられたのだ!

 「この魔法陣に触れるなよ」

 ヘリムがボソッと呟くと、ダミアンは魔術師を見つめたまま頷く。

 「一旦、城の中に戻りまし……うわ!」

 ダミアンがそう言いながら一歩後ろに下がった時だった。突然ダミアンが落下した!
 魔術師の方を見たまま目を離さずに下がった為、前だけではなく後ろにもトラップが設置してあったのに気づかなかったのだ!
 フランクと違いダミアンは魔術師だ。慌てて浮遊を掛け直すが、発動しない!

 「これは魔封じか!」

 その言葉が言い終わらないうちにヘリムは、リーフを放し凄い速さでダミアンの元へ向かう。
 リーフは、突然放り出され驚くもその場でに浮き、ゆっくりと地上に降りる。
 ダミアンも何とか地面に叩きつけられる前に、ヘリムがキャッチし地面に降り立った。
 だが安堵する暇もなく、魔術師の攻撃が来た!
 それは降り立ったリーフを狙う!
 リーフは、慌てて結界を張った! だがそれはすぐに、術の威力で破壊される!
 驚くもヘリムがリーフに結界を張り直し難を逃れた。

 「剣だ!」

 ダミアンが叫ぶ。
 フランクから奪い取った剣を構え、今度はヘリム目掛けて魔術師は急降下して来た!
 それを交わすも三人はバラバラになった!

 「君のマスターは誰だ!?」

 それを聞きいたのは、驚く事にヘリムだ! 彼は宙へ浮かぶ。
 魔術師はそれを剣を構え追いかける!
 ヘリムの台詞を聞いた二人は驚いた!

 「あの者は、魔獣!?」
 「そっか! ヘリムさんが弱いんじゃなくて、相手も同じだけ強かったんだ……」

 今の状況はかなりやばいかもしれないと、リーフは思った。
 自分達が浮けば、トラップを仕掛けられなくとも落とされるだろう。
 実際シリルは落とされた! それをチェチーリアは、解除できなかった。
 それを考えると、ダミアンに掛かった術をリーフが解除するのは難しい。

 「リーフ! ダミアン!」

 考えを巡らせていると、呼び声が聞こえ振り向けば、オルソ達が向かって来ていた。
 アージェとフランクそれにオルソの三人は、地面に足を付けていた。浮かんではいない。騎士だけだったのが幸いした。

 「絶対に浮くなよ!」

 チラッとオルソ達を確認したヘリムが叫ぶ。
 言われた意味がわかり、三人は走りながら頷いた。
 と三人に、魔術師は術を放った!
 結界を張るにしてもリーフからは遠く、ダミアンは術を封じられている!
 アージェ達は、剣を抜いて構える。
 だが三人に衝撃は来なかった! ヘリムが結界を張ったからだ。

 「あなたは邪魔だ!」

 魔術師は、ヘリムが三人に結界を張るのを計算しての攻撃だったのだろう。術を放ってから直ぐに、剣を構えヘリムに向かった!
 前回の攻撃も誘導して攻撃して来たので、ヘリムもそれを交わす。
 だが魔術師は、その剣を横に振った!

 「ぐわー!」
 「嘘!」

 ヘリムは、断末魔の叫びをあげ、驚く事にそのまま真っ逆さまに落下する!
 剣に突かれた訳ではなく斬られた! それでも効果があるのかと、リーフは驚いた。
 どう見てもヘリムは、気を失っている!

 リーフは、ヘリムに走り出した。
 ヘリムに浮遊を掛けるも弾かれたからだ! 二年前と同じだ!

 四人は起きた事がわからなかった。
 研究で作った剣は、刺している間だけの数秒間、相手の動きを封じる付加をつけたものだ。

 リーフがヘリムに向かうのを見て三人は慌てる。浮遊が不得意だったと思い出したからだ!
 アージェとオルソは、ヘリムの元へ向かおうとするが、フランクは何故かダミアンに向かった!
 フランクは気が付いたのだ。
 普段のダミアンなら真っ先にヘリムの救出に向かっているはず。それが今は、悔しそうに二人を見ているだけだった。
 術が封じられている!
 それは結界を張れない事を意味する。狙われればアウトだ!

 (だめだ! 走っていては間に合わない!)

 ヘリムの救出に向かっていたリーフは、飛んでヘリムの元へ向かった!
 まるで体当たりをする様にリーフは、ヘリムにしがみつく。
 自分ごと浮遊を掛けたのだ。それでもやはり、ヘリムにはかからない。
 だが地面に叩きつけられず、ふんわりと着地する事が出来た。

 「リーフ!」

 安堵したリーフは、アージェが自分を呼ぶ声でハッとする。
 真横に魔術師が降り立ったからだ!

 (殺される!)

 リーフは青ざめる!
 魔術師は、不敵な笑みを浮かべた――!
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