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第4章 姿を現した魔術師
第32話
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「では、先ほどの事件をダミアン頼む」
「はい」
ガッドに言われ、ダミアンもゴーチェと同じく静かに立ち上がる。
「では……。犬の依頼主イサルコの娘とウリッセの娘は仲が良かったらしく、二人で行動を共にしていたようです。夕刻、その二人が犬を探しに森へ向かって戻って来ないと、ウリッセの元にイサルコが現れました。彼の話では、どうやらその犬はアージェに依頼した犬の事だったらしく、それを聞いたウリッセはアージェに聞きに向かいました。私達は、アージェにその犬は、魔獣だったと聞いた次第です。その子供達ですが、無事森で保護されるも謎の魔術師が現れ、我々を襲ってきました。っと言っても襲撃された訳ではありません。そのチャンスがあったのにも関わらず、その者は森に火をつけて、自分が来た事をアピールしました。私には、そう見えました」
ダミアンの言葉に、言われればそうだと周りの者は頷いた。
あれだけの事が出来るのだから奇襲をかければ、自分達をまとめて殺す事も出来た。でもしなかった。
殺す事が目的でないとすれば、何だろう?
そう考えていると、ダミアンは続きを話し出す。
「その魔術師は、その場を立ち去る時に、奪い取ったフランクの剣を持ち帰りました。その剣は、私達が開発した対魔獣用の剣です。もしかしたら剣の能力を知って、持ち帰った可能性があります。ですので、剣を奪う事が目的にあったのではないかと思われます。以上」
ダミアンは、軽く礼をすると、スッと座った。
この場にいる全員がダミアンの考えに同意していた。
殺さず剣を奪った。ただどうやって剣の事を知ったかは謎だ。
ヘリムが魔獣だと知っていたという事は、やはり騎士が召喚師だと知っているという事だろう。
そう誰もが、予測した。
スッと、ロイが右手を上げた。
「追加報告がある。ウリッセ」
「はい」
ウリッセは立ち上がり、軽く礼をする。
「子供達から詳しく聞いた所、今回襲ってきた魔術師の服装が、イサルコさんの知り合いの魔術師に似ていると言う事でした。またイサルコさんの話によると、ジーンさんと言う魔術師の犬らしく、彼にお願いされアージェさんに依頼したようで、イサルコさん自身は犬を見た事はないそうです。以上です」
「多分、偽名だろう」
ウリッセが座ると、ロイがそう言った。そのロイの鋭い視線が、全員を見渡す。
そしてダミアンもまた、同じくジッと聞きいる皆を鋭く見ていた。
「その犬の事だが……もしかしたら城にいた犬かもしれん。召喚師を見守る犬としてずっといた犬だ。いや、今思えば魔獣だったのだろう。エメラルドグリーンの瞳の犬だった」
そう静かにガッドは言って、ヘリムを見る。勿論、その言葉に全員ヘリムに注目する。
犬がヘリムだった事は、わかっている。ガッドが言った犬と同じかどうかが知りたい。
「あぁ。城にいたのは俺だ。ある日連れ出された」
「何故、言わなかった?」
ゴーチェが鋭い視線を飛ばし、ヘリムに問う。
「では聞くが、君はその犬の存在を知っていたか?」
「いや、知らなかったが……。だが、今、言われて合わせたという事もあるだろう?」
「そうか。それもそうだな」
ゴーチェにそう指摘され、ヘリムは頷くと口を閉ざしてしまった!
確かにゴーチェの言う通り、話を合わせて自分がその犬だと嘘をついたかもしれない。
「私はそんな犬、見た事はないが?」
ボソッとロイが呟く。
「私も見た事も聞いた事もありません。ですが、陛下が嘘をつく理由がないのですからいたのでしょう」
ダミアンがそう言うと、うむっとガッドが頷く。
「十二年程前に姿を消した」
「十二年? それで何故今さらひょっこり出て来た?」
ガットが言うと、疑いの眼差しでロイがヘリムを見る。
「勿論、逃げ出したからだ」
「逃げ出した……。それはあの魔術師からか?」
ゴーチェがヘリムに問うと頷く。
「シ、シリルは、その時、シリルは一緒だったのか?」
オルソが聞くと、またヘリムは頷いた。
「どんなよう……」
「嘘かもしれない。オルソ、まともに相手にするな」
ロイは、興奮気味のオルソに落ち着けと、そう言う。
確かに嘘かもしれない。十二年は長すぎる。しかも連れ出した目的が分からない。
(でももし、本当だったら襲って来た目的って……)
自分は全く関係がなかった事になる。逆だった。たまたま居合わせたのがリーフで、巻き込まれ方だった!
「はい」
ガッドに言われ、ダミアンもゴーチェと同じく静かに立ち上がる。
「では……。犬の依頼主イサルコの娘とウリッセの娘は仲が良かったらしく、二人で行動を共にしていたようです。夕刻、その二人が犬を探しに森へ向かって戻って来ないと、ウリッセの元にイサルコが現れました。彼の話では、どうやらその犬はアージェに依頼した犬の事だったらしく、それを聞いたウリッセはアージェに聞きに向かいました。私達は、アージェにその犬は、魔獣だったと聞いた次第です。その子供達ですが、無事森で保護されるも謎の魔術師が現れ、我々を襲ってきました。っと言っても襲撃された訳ではありません。そのチャンスがあったのにも関わらず、その者は森に火をつけて、自分が来た事をアピールしました。私には、そう見えました」
ダミアンの言葉に、言われればそうだと周りの者は頷いた。
あれだけの事が出来るのだから奇襲をかければ、自分達をまとめて殺す事も出来た。でもしなかった。
殺す事が目的でないとすれば、何だろう?
そう考えていると、ダミアンは続きを話し出す。
「その魔術師は、その場を立ち去る時に、奪い取ったフランクの剣を持ち帰りました。その剣は、私達が開発した対魔獣用の剣です。もしかしたら剣の能力を知って、持ち帰った可能性があります。ですので、剣を奪う事が目的にあったのではないかと思われます。以上」
ダミアンは、軽く礼をすると、スッと座った。
この場にいる全員がダミアンの考えに同意していた。
殺さず剣を奪った。ただどうやって剣の事を知ったかは謎だ。
ヘリムが魔獣だと知っていたという事は、やはり騎士が召喚師だと知っているという事だろう。
そう誰もが、予測した。
スッと、ロイが右手を上げた。
「追加報告がある。ウリッセ」
「はい」
ウリッセは立ち上がり、軽く礼をする。
「子供達から詳しく聞いた所、今回襲ってきた魔術師の服装が、イサルコさんの知り合いの魔術師に似ていると言う事でした。またイサルコさんの話によると、ジーンさんと言う魔術師の犬らしく、彼にお願いされアージェさんに依頼したようで、イサルコさん自身は犬を見た事はないそうです。以上です」
「多分、偽名だろう」
ウリッセが座ると、ロイがそう言った。そのロイの鋭い視線が、全員を見渡す。
そしてダミアンもまた、同じくジッと聞きいる皆を鋭く見ていた。
「その犬の事だが……もしかしたら城にいた犬かもしれん。召喚師を見守る犬としてずっといた犬だ。いや、今思えば魔獣だったのだろう。エメラルドグリーンの瞳の犬だった」
そう静かにガッドは言って、ヘリムを見る。勿論、その言葉に全員ヘリムに注目する。
犬がヘリムだった事は、わかっている。ガッドが言った犬と同じかどうかが知りたい。
「あぁ。城にいたのは俺だ。ある日連れ出された」
「何故、言わなかった?」
ゴーチェが鋭い視線を飛ばし、ヘリムに問う。
「では聞くが、君はその犬の存在を知っていたか?」
「いや、知らなかったが……。だが、今、言われて合わせたという事もあるだろう?」
「そうか。それもそうだな」
ゴーチェにそう指摘され、ヘリムは頷くと口を閉ざしてしまった!
確かにゴーチェの言う通り、話を合わせて自分がその犬だと嘘をついたかもしれない。
「私はそんな犬、見た事はないが?」
ボソッとロイが呟く。
「私も見た事も聞いた事もありません。ですが、陛下が嘘をつく理由がないのですからいたのでしょう」
ダミアンがそう言うと、うむっとガッドが頷く。
「十二年程前に姿を消した」
「十二年? それで何故今さらひょっこり出て来た?」
ガットが言うと、疑いの眼差しでロイがヘリムを見る。
「勿論、逃げ出したからだ」
「逃げ出した……。それはあの魔術師からか?」
ゴーチェがヘリムに問うと頷く。
「シ、シリルは、その時、シリルは一緒だったのか?」
オルソが聞くと、またヘリムは頷いた。
「どんなよう……」
「嘘かもしれない。オルソ、まともに相手にするな」
ロイは、興奮気味のオルソに落ち着けと、そう言う。
確かに嘘かもしれない。十二年は長すぎる。しかも連れ出した目的が分からない。
(でももし、本当だったら襲って来た目的って……)
自分は全く関係がなかった事になる。逆だった。たまたま居合わせたのがリーフで、巻き込まれ方だった!
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